46話
戦場、それは僕らの死ぬ場所。
で、あってたまるかって思ってたら、意外とあれ?
今、僕達は、町へ帰っていた。
あれ?
「ちっ、まだ俺は、いいとこ見せれてねえのに」
「…………ああ。だが、彼の元なら、また機会はあるだろう。それも大きな、な。」
「な、何でだろう?」
「……やっぱ、彼、だよな?」
「…………ふむ、そう呼ぶのすら惜しい、漢だということか?」
「……何の話してるの??」
本当に何話してんだ。
それにしても、どうしてこんな早く?
副君なにか知ってる?
「……いえ。でもきっと、セレン班長の重要さに気づいたのでしょう」
ふーん?
まあ推測するに、というか遠くから聞いた話では、どうにもあの撃ち弾けさせた魔族、それなりの大将首だったらしいね。
それで、僕の班になにか功績をって話になった後、実は僕達が一切の研修も受けてないことが発覚して、
一応、問題にはなったらしいね。何でも魔王様直々に苦言をていしたとか、結構合理的で捨て駒も大事にするタイプなのかな?
そもそも、僕たちがいきなり前線に飛ばされたのって、よくよく考えなくても僕のせいなんだよね。
君たちは、巻き込まれた形。まあ命を救ったから許してとは、マッチポンプ過ぎて言えないかもな。
でもこれで元通り、君たちはゆっくり研修受けてきなよ、大して時間はかけてくれないかもだけど。
僕は、
「あはは。悪いね、一人だけお城に呼ばれしちゃった。先に行って見てくるよ」
「はい! セレン班長、お元気で!!」
いや死なないよ!?
ちょっと、拘束されるくらいは、覚悟しなきゃかもだけど、
それで、逃げたら、君たちとは、うん。
元気でね、また、会えると、、
どう、なんだろうね?
お城、魔王がいる城、つまり魔王城。
というわりには、あんまり禍々しくないけど。
周りを大人の男たちに囲まれながら歩く、うーんストレス。
拘束とかはされてないけど、露骨なんだよもっと自然にしてろよ。
さて、お、あの部屋?
……ふむふむ、魔王がいる部屋、じゃないね?
何だろ、尋問室とか、面会室みたいな、
おー……、あ、隣の部屋に誰かいるな。
これは、つまり、
「あ、ここに座ればいいんですね。どうも、」
見られてるし、聞かれてるな。
マジックミラー……、車? 何だこの夢?
まあいいや、技術の収斂、というか正しく魔法の鏡だな。むしろこっちが正解じゃないか? 見た目はただの壁だけど。
「えっと、話? 何を話せばいいんでしょうか」
とりあえず、カツドン? とかいうのを出してくれ。
よくわかんないけど、いやこれ食べ物か。
なるほど、目の前でご飯を食べることで、相手を煽ることが目的だな、嫌らしい手段だ。
ま、僕は慣れ過ぎて効き目もないけど、
あれ、違うか? 僕がもらえるほう? なんで??
「……はい。今回の功績の件についてですね。まあ、皆さんの働きのおかげです」
皆さんっていうか、主に僕の部下がな!
……というか僕がな、隠すけど。
「え、はい。確かに狙って当てましたね。運が良かっただけですよ。銃は、撃つ練習しましたしね、」
六発も、それだけあれば誰でもできるよ。
しかし、問題は火力。
つい全力で強化しちゃったからね、そこ突っ込まれると困る。
なんか、たまたま凄い銃弾が混ざってたとかで、誤魔化せないかな。
あ、聞かれた。
しょうがない、そんな事、僕が知るか!!
で、なんとかするか?
なんか、あの、爆撃魔法使ってたし、うまい具合に暴発して自滅したんでしょう、きっと。
え、どうやってそれに耐えた?
ほら、いい感じの窪みが、それに盾かまえて、奇跡的にね。
運良く、こっちのほう爆撃が薄かったんですよ。……むしろ濃かったけど。
なぜそれを先に知れた? いや、そんなの、見ればわかる……。って、部下の子が言ってました!! あれ、誰が言ってくれたんだっけな〜……、
その前の突撃? みんなが頑張ってくれたんですよ。敵の練度も低かったですし、
なに、精鋭だった? うそぉ、弱かったよ?? いや、我が国の、教育の賜物ですな、はっはっはー……、
あや、教育は受けてないけど! でも、何もしてなくてもそんなんなるくらい! この国がね! 凄いんだよね!!?
その後の手際のいい爆破??? いや、ほら、あの程度、スラムじゃ常識だから!!
みんなあんなんだから、この国のスラム修羅の世界だから、気を抜いたら心臓までスられる世界だから、スラム舐めんなよーー!?
それにね、ほら、あの、あれ……、
みたいな感じのことを、僕は持てる技術、全力を使ってやりました。
結果、一先ず疑いは晴らせました。
自分でやっといてなんだけど、この技術やべーな、
疑いの目を向けてきてた奴らが、最後にはむしろ好意的な目まで向けてきたもん。
いやー、ま、僕の演技は、一国の王すら欺くからね。この程度、お手のもんよ。
——……っ、はい!
ん、何だ? 連絡してるな、男の声? いやこれは、
あれ、みんな、退室していくの?
じゃあ僕も、という感じじゃないね、
うん。僕と、一対一で話したい人がいるらしい。
どこにっていうと、うんさっき、連絡してた。
でもこの世界、携帯とかないはずなんだよね、少なくとも今のは近くに話してただけ。
この、マジックな壁の向こうにね。
最初からこっち覗いてた人だ、誰だろう、人相は把握できるけど。
……色々、気になる点はあるけど、まあ一応特筆する点としては、
もの凄い魔力。
「えっと、魔王様が僕に話ですか? はい! 光栄です!!」
さて、こんなに早く、目的を果たせるとはね。
魔王様、人間と共存を目指してるらしい?
ま、この国の現状を見る限り、どこまで本当なのか。
どちらにしろ、僕の味方ってわけでもないし。けど、
「おまえか、例の班を指揮した、いや例の事件を一人で起こしたのは」
無駄に荘厳な声、重く低く壁越しに発された声。……うーん。まあいいや。
それにしても事件って、いろいろ不審ではあるけど、一応は戦果なのに。
それに一人でって、やっぱバレてるのかな? 僕の演技はちゃんと見てたはずなんだけど、
「いえ。みんなの力があったからこそです、。ですが流石は、魔王様のご慧眼。僕が率先して戦果を上げたことをわかっていただけるとは」
否定も、肯定もダメ、
傲慢も、謙虚もダメ、
軽視も、信仰もダメ、
蒙昧も、聡明もダメ、
うん。いつも通りの、完璧な普遍だ。
これで人間の王は、どうにでもなったんだけどなー、
「……そうか。あそこにいた兵士を全て殺害したのも、おまえの扇動?」
何体かには逃げられたけどね。
それにその後で遠慮なく爆撃してきやがった奴もいるから、あんまり結果は変わんなかったけど。
ということを、上手いこと謙遜に、それでいて誇るように言う。
手慣れたバランス、疑いながらも好意的、自然と心理に溶け込むように……、
って、あれ?
「……なにも、感じなかったのか?」
む、疑われてる? 上手すぎたか?
まあ確かにスラム上がりと、その設定としては、もっと礼儀がない方が自然か。
でも副君とか、意外と状況に合わせて見繕える子はいるし、これはちょっと子供を舐め過ぎてるせいかな。
んー、そこまで計算してやっても良かったんだけど、あくまで遊び。
命もかかってないのに、全力を出す気にはなれないよ。
「はい! 祖国の力になれて、嬉しい限りです!!」
嘘ばっか、いや嘘しかないんだからしょうがないけどね。
どちらにしろ、スラムの子がこんなこと言うわけないけど、それも含めて建前だよ。
わかれ?
「……っ。…………そう、か」
……ちゃんと伝わったか??
うーん、……ん、何だ?
『お』、これ、いつぞやレリアがやったみたいに、心覗いてこようとしやがったな。
でも、あの子の方がまだ上手いよ。いいや、素通りさせたろ。
僕の奥の奥、そこまで行けば、どうせ何も見えないし。
「なっ、! これ、」
「どうしたんですか、大丈夫ですか?」
うーん、もう演技も面倒臭いや。
流石に、これはおかしいもん。どう思われたかなーっと、
事前に準備しといたら、見られても完璧な仮面も作れたんだけどね。
「お、まえ! 誰だ⁉︎」
「あはは、どこにでもいる、底の底ですよ。魔王様?」
ま、スラムでここまでいくかは知らないけど、戦争なんてやってるなら、きっと見慣れるよ。
この程度で、喚くな。
……なんて、ちょっと意地悪しちゃったかな。
別に、この国なんてどうでもいいけど、この子、
「っ、おまえ、ただの子供じゃ、いやただの魔族ですらない!」
「おっと、そうかもね、じゃあ」
もういっかな。
魔王も見れたし、正体もバレそうだし、このままおさらばしても。
収納空間から別の場所に飛んで、レコウを探しに行こう。
さようなら、
「な! 待て、!?」
「お?」
かなり慎重に空間魔法の準備をしてたのに、気づかれた?
いや、違うか、僕の言葉に込めたニュアンスを読み取ったか、
わざと、わかりやすいようにしてるもんね。これも一種の癖だ、なおらないね。
壁が、崩れる。
あらら、慌て過ぎて自分の魔力で魔法壊しちゃったね、
目が合う。
合わせてやる。
「……っ、」
「ふふ、」
そこにいたのは、小さな少女。
僕と同じくらいの高さ、ものすごく高い不自然なブーツを含めて。
いや、大きな角を含めれば、いやこれも飾りだ、ただのカチューシャだ、
振り広がった長い長い髪、わざと結ばないで横に大きく見せてるの? 動物の威嚇みたい。
ゆらめく彩色、光の反射で一刻と姿を変え続ける虹のような髪。
……魔力のせいか何かかも知れないけど、洗ってない油のせいのテカテカした色にも見えるな。
大きなローブ、豪華な飾り、少しでも自分を大きく見せようとして、逆に小ささが目立ってしまわないのかい?
ほら胸も、僕より、大きい、は?
いや、確かにそうだけど、普通に歪な膨らんだ胸。
またロリ巨乳? いやだったら僕がこんなに落ち着いてるわけないだろ。
……っとー、ふむふむ、
「七枚重ねは、流石に虚しくならないの?」
「オマ⁉︎ マジで待てやこらー⁉︎⁉︎」
僕なら、やるとしても五枚までだね。
気持ちはわかるけど、後できっと死にたく後悔するから。
「オラー!!」
「あ、ちょ、抱きついてくんな!?」
せめて魔法使えよ、魔王だろ!?
くそっ、重っ、せっかく空間魔法準備したのに、
仕方ない、一回解除して、いやもうこのまま無視して飛んでやろうか??
ってうわ?! 何この子、魔力すご、というよりひど!?
めっちゃ垂れ流してくるんだけど?? うわ、気持ち悪!!? 邪魔!?!?
あ、やば、これ、魔法に干渉してる、
待って、空間魔法の暴走はシャレにならないって。
離れろ、削り取られたいの!?
「逃すかーっ!!?」
「さらに魔力を出すなーっ?!!」
あーもー! くそー!!!
『収納‼︎』




