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情報過多の荷物持ちさん、追放される  作者: エム・エタール⁂
聖女さん、追放される (神聖学園編)
27/124

24話


「た、大変じゃー!!」


 色々あったけど僕たちは、無事に学園へ戻って来て、


「…………あ。レコウ、おかえり」

「おう! あのあと様子見に行ったら、全部まっさらになってたから驚いたぞ!」


 ……やっばあ、忘れてた。


「……あー、無事に聖女様も助けられたよ、ほら」

「あら、あなた、いたのね?」

「酷いの!? まあ、それは良かったのじゃ」


 あれ? なんだ、そのことで慌ててたんじゃないのか。


「それより、大変じゃあ!!」

「うん、何が?」

「パーティじゃ!!」

「うん。何が??」


 ……ふむふむなるほど竜女説明中。


「つまり、あの王子達が今度パーティを主催すると」

「もう、すぐにじゃ!!」

「それで、そこで今度こそ正式に、婚姻の宣言をすると」

「するらしいのじゃ!!」


 それを、さっきレコウは本人達から聞いてきたのか。


「どう思う、元お姫様?」

「一応ぎりまだ立場は姫よ。まあ別に、今更その男のことなんてどうでも良いけれど、思うところはあるわね。ワタクシが、上に立つのに邪魔そうだわ」


 おー、怖。カッコいいよ。


「…………こほん。それで、そのパーティはいつやるのかしら。それまでに、何かしら弱みを握っておきたいのだけど、」

「だから、もうすぐにじゃ!」

「うん、つまりいつ? 一週間後くらいかしら、あまり時間はないようね」

「いやだがら、もうすぐにじゃってば!!」


 ……嫌な予感がするな。

 流石にそんな大掛かりなパーティ、昨日の今日ではできないと思うんだけど。


 でもこれは、元々レリアが追い出された時のでやりたかった事なのか。

 となると、前々から早くにやろうと準備していたのか?


「えっと、もしかして、明日とか?」

「今日じゃ!」

「ふぇ?」

「この後すぐじゃ!!」

「ふえーーー!?!?」


 マジでぇ!! じゃあ何でお前らそこら辺うろついてたの!?

 な、何か、パーティの準備でもしてたのかな?? いや何してくれとんねん?!


「ど、どうしよう元姫様!?」

「レリアって呼んでよ」

「レリア!?」

「ん、そうね。……どうしましょうか???」


 やばーい!?

 お、落ち着け、流石にこの状態のレリアに何かさせるのは無理だ。

 まずは体力を回復させるのが優先、しょうがない、今回は見送ろう。


 どうせ、僕が行っても、大してできることは、


「あ、そうじゃ、招待状を渡されたのじゃ」

「うわ便箋すらも贅沢。でも、悪いけど今は、」

「是非とも、来てくれって念を押されたのじゃ。お前に一番に、俺たちの夢を祝福してもらいたいって、」

「なんでぇ!?」


 あの馬鹿王子、なに考えてるんだ!?


「しょうがないわ。私のことはいいから、行って」

「ん、ぐぅー。もう、仕方がない。とりあえずレリア、これ!」


 てってれー、アレンのご飯、病気中用消化吸収良好栄養満点作り置きバージョン〜、


「セシィちゃんの手作り!! ——もぐもぐ。……うわ〜ん、他の人を思って作った味がするー」

「うん、元気そうだね!?」


 つい、アレン用のご飯あげてしまったよ。

 でもまあ、よくよく考えたら僕がアレンを病気になんて絶対させないし、使い道が無かったものだからね。

 食べ物を、無駄にするのはいけないから。


「よし! じゃあ早く、ドレスに着替えるのじゃ!!」

「うん。いや、僕は男装中だよ!」


 どうしよ、タキシードなんて持ってるわけないし、

 アレン用の礼服なら、準備しといたこともあるんだけど、


「そう言われると思って、これを渡せって言われたのじゃ!」

「え、なにこれいふく、サイズぴったり!」

「今日、仕立てたらしいのじゃ」

「あいつら、それで外でてたの!!」


 いや、だとしても早いし自分で取りに行くなよ。貴族なんだから、人でもよこせばいいだろ。けっ?


「これ、ここの伝統的なやつだわ、上物の。あなた、本当に彼らに気に入られたのね」

「えーー、嬉しくない。本当にこれ着てくの?」

「仮にも他国の人にねえ。まあ、馬鹿だからしょうがないかしら」


 この聖女様、めっちゃあいつらに辛辣だな。

 まあ、自分が追放されたパーティの焼き直しなんて、イラつきもするか。


 パーティ、追放、嫌いな女、

 うーんしょうがない。どうにかするかあ。


「どうする、パーティ? ぶち壊す??」

「そうねえ。せっかくなら、魔物でも出現して、台無しになってくれないかしら。あの女の聖女としての能力も疑われるし、ワタクシの価値も上がりますわ」


 自分で言っといて何だけど、酷いな!?

 君、やっぱちょっと、悪役令嬢っぽいよ、


「いっそ、それで未来の上層部が全員消えれば、ワタクシの邪魔をするものはいない」


 って、夢が言ってました。僕は言ってないです。


「でも、魔物なんてどうやって」

「あら、あなたなら、どうにでもできるのでわ?」

「うーん、できるけど、」

「ガオー、じゃー、!」


 うん、とりあえず最終手段として、ダンジョンの魔物でも解き放ったろ。


「よし、着替えオッケー。制服もいいけど、やっぱこれが落ち着くのじゃー」

「うーん、僕は落ち着かない。きっちりして、いや隙間空いてるけど、」


 これでもか、これだけ締め付けてもか!? くそー、


「それじゃあセシィ、我をエスコートしてくれよな」

「ああ、そうなるのか。喜んで、マドモアゼル?」


 何だこれ、滑稽だ、まあ仕方ない。

 ……ドレス姿のレコウに、辺な男が寄ってきてもいけないからね、

 消したくなっちゃう。


「むーーー、やっぱ私もパーティ出るっ」

「いや、無理しないでよ。というか普通に無理では?」

「『透過』! あなたも見破れなかった聖女お得意の術よ、これならいいでしょう?」

「いやいやいや、無茶だって、」


 絶対、聖女とか関係ない本人の魔術の腕だ。


「……なるほどのお。でもそれじゃあ、どっちにしろ、ただ付いて来てるだけの人じゃないかの〜」

「……あなた、」

「ほれ、我のペンダントを貸してやろう。ここから覗けば、いい感じに気分を体験できるぞ」

「なかなか、悪い人じゃないのね」


 なんだこれ?

 えっとつまり、レリアを収納空間に入れおいて、その胸飾りに覗き穴をつけると。

 確かに先に発動しておけば、誰かにバレることも多分ないとは思うけど。


「それなら、僕の方についた方がいいんじゃ?」

「……セシィちゃんの胸の上、それも悪くないわ、」

「でもこっちなら、目の前じゃぞ」

「そうね、そういうことよ」


 なんだこいつら。

 でもちょっと、胸あつかいされて嬉しい自分もいる。悔しい!




 結局、そのまま会場に来てしまった。


「ああ、来てくれたか」

「どうも、殿下」

「ケインでいい。他の皆はそう呼んでいるのだろう」


 ……いや、別に、メガネとか剣馬鹿二人とか呼んでるけど。


「じゃあ、ケインさん?」

「呼び捨てで構わない」

「ケイン君、」

「……まあ、それでいいだろう」


 くそう、こっちだってなあ、君のことなんて別に呼び捨てでも構わないんだよ!?

 でも今それやると、変に目立っちゃうだろーがー!!


「じゃあ、僕はそろそろ。自分の仕事もありますので、」

「(そうよ、私のエスコートがあるのよ!)」


 レリアさん!? 僕以外には聞こえないような小声とはいえ、王子が目の前にいるのに喋らないないでくれる!?

 あと、レコウのエスコートだよ、一応。


「ん、ああ。またでな」

「はい。では、」

「……うん、」


 ちょ、なに、近寄んな、王子じゃ無かったらぶっ飛ばしてるぞ!?


「やはりその服、似合っているな。選んだ甲斐があった、」


 ……耳元。めっさゾワッとした。

 きっつ、耐えられた僕を褒めてほしい。


 というか、そういうのは女にやれよ、いやだとしたらあってたのか? お前、婚約者を紹介しに来たんじゃ無かったのかよ。


「(——、——?! ————!!?)」

「おー、よく騒ぐペンダントじゃのー」


 そしてレリア? 何を君はそんなに怒っているの、いやまあわかっちゃうけれど。


「ちなみに我もちょっとイラッとした」


 あらら、不評。

 残念ですが王子、ここにいる女子三人にはそのムーブ、ウケなかったようですよ。


 でもまあ、そんな絵本みたいな言動が、クリティカルヒットする人も多分いるので。

 ほら、例えばそこの、いつも以上に桃色に身を包んだ女子とか、


「(あの女、やっぱ苦手ね)」

「(うーんやっぱり、演技なのかなあ? レコウはどう思う?)」

「(むー、我は何故か、避けられてるからのー)」


 メートちゃん、今日婚約発表されるとは聞いているのかいないのか。

 いや普通、聞いて無いわけないけども、あの馬鹿殿下だとありえなくもない。

 王太子の妃としては、場に慣れてないとばかりに、キョロキョロしている。


「(騙されないで。あの女、前もああやってワタクシのこと糾弾してきたのよ)」

「(ふーん、そんなことしたら、印象悪くなりそうだけど)」

「(ええ、自分の手は汚さず、周りの事を否定しなかっただけ。中々のやり手よ)」

「(うーん、そうだねえ)」


 まあ、本当にただの何も知らない平民では、ないだろうけど。

 そういやここにその、冤罪押し付けて来た令嬢もいるんでしょ。

 まず、そっち先に捕まえた方がいいんじゃ、


「(それもどうせまとめて、ワタクシのせいにされてますわよ。まあ、落とし前は後で、きっちりつけてもらいますが)」

「(おお怖い、好きだよ、そういうとこ)」

「(んーー、もーー、)」


 はは、悪い悪い。ずっとみんなの前で男装で過ごしてるせいで、ついね。

 これじゃあ、王子のことを笑えなくなっちゃうよ。


「ほう、悪くないな?」

「おう、似合ってるじゃねえか」

「ああ、流石は殿下の見立て通りだ」

「よかった、無事に渡していただけたようですね、レコウ様」


 あ、馬鹿、五引く一人。

 お前ら、せめて前日に言えよ、


「いやー、わりぃわりぃ、サプライズってやつでよ」

「ただ、伝え忘れていただけだろう、馬鹿が、」

「全く、お前に任せたのが失敗だったな」

「ええ、そう思って、あなたにも確認するよう言ったはずなのですが」


 何だこいつら、


「……ほら、姫さんが穴に落ちたとかで、王子が慌てていたし、その護衛で、」

「ああそうだ、お前も落ちたんだっけか。よく無事だったな、流石だぜ、」

「あんなもの、学生の行ける範疇には無かったはずなのだが」

「ええ、学園の方にも伝えておきましたが」


 あ、そうなの。

 僕としては、都合のいいイベント程度の認識で、危険とすら感じてなかったな。

 いや、だとしても誰かはパーティ教えろよ。


「朝早くから部屋にもいねーしよ」

「おかげで、一日中町を探すことなってしまったぞ、まあいいが」

「結果的に、無事に見つけられたからな」

「殿下も楽しんでいらしてましたし、ええ」


 ……それでも、僕は悪くないからな!

 もっと前からいくらでも機会は、いやこいつらと知り合ったの最近か。

 うむむむむ、


「あー、そろそろ始まりますね。楽しみですー」


 よし、戦略的撤退!




 様々な目的が思惑する。

 僕の人生、初パーティ。


 いざ、開幕。

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