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情報過多の荷物持ちさん、追放される  作者: エム・エタール⁂
聖女さん、追放される (神聖学園編)
26/124

23話


「それで、これからどうするの」

「そうねえ。どうしましょうか」


 僕達は、焼き尽くした館から出て来た。

 中身だけ、取り敢えず外装は残して時間稼ぎ。


 正直、そんなこと考えるなら放置でいいのではって思ったけど、悪用されるといけないからだって。

 絶対、私怨入ってたな。


 まあ、僕もちょっと、悪くなかったけど。


「家、どうするの。君の家に戻る?」

「ワタクシの実家。実はあんまり太く無いのよね、位はあったんだけど。それに、あそこもグルらしいわよー。通りで婚約破棄スムーズにいったわけだわ」


 ふーん、実家に裏切られるね。

 気持ちはわからないな、僕にとっては最初から、

 まあ、いなかったし、別に。


「……じゃあ、屋無し生活? コツ教えようか? まあ僕もそんなにしたことないけど、」


 今までの時間ほぼ、管理されてたしね。

 むしろ、屋根ない方が開放的でいいまであるか。


 まあ、冒険者時代は、少しでもアレンのために色々工夫してたから、教えられることはあるよ。


「そうねえ。それも確かに楽しそうだけど、誰かに見られたら面倒かしら」

「一応、お尋ね者だっけ」

「そこまではいってないわよ。でも、それくらい酷いわ。何せ、誰が敵で誰が味方のフリした敵かわからないもの」

「ま、よくあることだよ」


 世界の人間全員敵! それくらい、

 まあ、でも、それでも、僕の場合はアレン、信じられる人は居たけども、


 ……人、は、それだけ。それ以外は、まあ、ね。


「まあ、でも私には、絶対に味方になってくれる人がいてくれたらしいですからね。気は楽よ」

「おや、そんな人が、」

「……拗ねるわよ?」


 ……ま、否定するほどではないか、肯定もしないけど。


「はーあ。あなたが本当に、男の子だったら良かったのに。……やっぱ、めくってみていいかしら?」

「何を!? 今ズボンだけど!? 同姓でもセクハラは成立するんだぞ!?!?」

「……そうだったわね」


 二回目だぞ、何で前より目がマジなんだよ。


「……そう言うってことは、ちょっとは可能性、あるのかしら……、」




 ……聞こえちゃうんだけど、口に出すなよ。もう。




「派手にやってやったものね、上にもとっくに捕捉されてるでしょう。これからは、この国が相手と言っていいわ」

「でも、別にもうここなんて、どうでもいいんでしょ?」

「ええ。ですけど、ワタクシの利はまだ残っていますので。精々、弱みでも見つけて牛耳ってやりましょうか」

「それは怖い、楽しそう」


 そしたら、僕らみたいのなくなるのかな。


 ……む、そうなると、奇しくも元婚約者の王子と同じ目的地になるのか?

 それは……、あ、そうだ。


「そういやさ、メート、ピンクちゃん。王子とは婚約してないって言ってたけど」

「まあ、でしょうね。あの馬鹿殿下的には、その場でやるつもりだったでしょうけど。ワタクシの立場からも、その場で散々こき下ろしてやりましたし」

「ピンクの方も、求めてるそぶりは見せなかったけど」

「どこの世界に王族に自らアタックする平民がいるのよ。本性を隠してるだけだわ」

「ふーん、そんなもんか?」


 確かに、カマトトぶってた所は間違いと思うけど……。どうだろ、


「ムーー! ですわ、」

「え、なに?」

「やっぱり、胸がでかい方がいいんですかそうですか。あなたまで、あの女に!!」

「いや、むしろ、君が胸デカかったら助けてなかったかもよ」

「……あなた、そっちが趣味?」

「おいこら」


 それだと、僕のフェチがナルシシズムになっちゃうだろ。誰が世界一の貧乳だ!?


 そもそも、僕は別に好きな、敬愛する、めっちゃ女としてもだいしゅきな人が、


「……それって聖女、国一番の大聖女より、凄い人かしら」

「勝手に大までつけるなよ追放中。もっともーっと凄い人だよ」

「うぅ。やめてーっ、聞きたくないわー!」


 はは、そういえば、僕この国にアレンの素晴らしさを布教しにも来たんだっけ。

 三日三晩語ってあげようか? 君なら不足はないよ、国一番の聖女様、


「はあ、話を変えるわ。それで、学園、勇者の方は、何かわかったのかしら」

「変わってないが?」

「え?」

「ああいや。偽勇者の話ね」


 そうだそうだ、元々、そのことが聞きたくてここまで来たんだった。


 ……そう考えると、僕が今日のに間に合ったのって、あのピンクのおかげもあるんじゃ……、

 まあ、別に言わんでもいいか。ただ、休日にちょっと、知り合い? に、会いに来ただけだし。


「……偽勇者、なんて、誰も見たことがないって。あのピンクちゃん以外」

「あら、そうなの?」


 そうだ。レリアは、何を知って、


「でも、私、見たことあるわよ」

「……え、」

「全身黒尽くめの鎧姿で、顔も隠していたけれど、多分背丈的に学生……。って、確かあなたにも言ったわよね?」

「……鎧姿とは、聞いてない」

「あら?」


 ……まあ、きちんと、情報は聞いておくべきだったな。うん。


「それで、どこで見たの」

「あれは、そうね。あの女が、中庭の階段の上から、別の女に突き落とされた時。そこを颯爽と受け止めたの」

「ふーん? あのピンクなら、一人で何とかできそうだけど」

「そうね。その後はすぐに去っていったから、確かにほとんどの人は見てないだろうけど……。少なくともその女どもは見てるはずだわ」


 うーん、どうだろうね。

 わざわざ、突き落とした相手をそのまま眺めているなんて、なかなかに性格悪いと思うけど。


「……思い返してみれば、それもワタクシのせいにされたんですよね。はー、ムカつきますわー。あの女も、その時目が合ったんですから、私が犯人じゃないとわかっているでしょうに」

「……え、眺めてたの」

「いえ、たまたま。近くを通っただけだけど。聖女だから、周囲で喧騒があると聞こえてしまうのよ」


 うわぁ、想像したらめちゃくちゃ怪しい。

 これ、実行犯じゃないとしても、真犯人だと思うだろ。


「……そもそも、聖女ならその程度の悪意、簡単に看破できますわ。落ちたのだって、自分から抵抗しなかったとしか、」

「……あー、そういえば。あの子、自分が聖女だって自覚がなかったような。ただ、予言の勇者を見つけたから、聖女だって呼ばれてるだけだって」

「…………あら?」


 ……おっとー?

 これは、いや、流石にね、


「……でも、ワタクシの聖女の勘は、あの女が敵だって」

「まあ、僕の心も、あの女は敵だって言ってるけど」


 心の、臓の、装甲板が。誰が板だ。


「これは……、私も、一度あそこに戻った方がいいかしら」

「できるの?」

「普通はダメ。でも、どうせこの国の中ならどこも同じだわ。それならいっそ、馬鹿殿下とかもいるあそこの方が、大々的に探されづらくて隠れやすい」


 ふむ、逆転の発想だ。


「なるほど、確かに」

「それじゃあ、あなたの部屋に、匿ってくださいね♪」


 ……何か、嬉しそうだな。

 別に、レコウの部屋もあるだろ。一応、男女別ってことで、贅沢に二部屋ももらってるんだぞ。


「そうと決まったら、早く行きましょ〜」

「……まあ、いいけどさ」


 最近は、ご飯が山盛り過ぎて片付けるのにも苦労してたしね。


 精々、僕の分までお腹いっぱい食べると良いよ。




 誰にもバレずに、人間一人を潜入させる。

 普通なら、大変な作業だけど、


「へえ、空間魔法? 別次元空間? 初めて見たわ、凄いわね、」

「そう? まあ、好きに寛いでなよ」


 僕には、これがある。

 どうせ、もう使ったことはバレちゃってるんだ、あんまり気にしなくていい。

 多少使用時に阻害もされるが、大して問題にならない程度だし。


「凄い貴重品ねえ、あの館にあったのがカスに見えるわ」

「実際、全部カスにしたしね」

「あ、これ、なか空洞だわ。収納スペースね、何が入ってるのかしら〜」

「……ほんとに好きにしてるね」


 いや、まあ、傷とか一切つかないし、別にレコウもいいだろうけど。

 というか隠し空間を見つけるの早くない? それも聖女の能力なの? むしろ盗賊とかの技では?


「これ、手帳?」

「ああ、そこに入れてたんだっけ」


 別にこの空間に入るのなんて、限られた存在だけだけど。

 一応、気持ち的に隠しておいたんだよね。


 でもまあ、もちろん、もうあんな事故で読まれないように対策はしてるけど。


「あら、鍵もないのに開かないわね」


 ふふん、保存の中でも、ガチガチに固定の設定にしておけばこれくらい、


「それなら、本来の使い方とは違うけど……『聖読』! 昔の掠れた文字を解読する聖女の魔法なら、閉じた本くらい、」

「…………は?」

「えっと? 勇者、僕、ラブラブ? あ、これあなたの日記?」

「ちょ、おま、おい、やめ、ヤメロー!?」


 うそぉ!? 何それ!! 絶対聖女関係ない魔術の技だ!? っ、やめ、ひ、あっ、何すんじゃコラー!?!?


「おりゃあーー!?」

「あら、まだ全然読めてないのに」

「いや、どんだけ面の皮厚いんだ!?!?」

「今ちょっと、体調悪くて化粧厚めにしてますので、」


 うぐぐ、それ言われるとあんまり強く出られないだろ!


「……それにしても、あなたの想い人って、勇者、だったのね」

「……一方的に慕ってるだけだよ」

「はーあーですわーー。それなら、ただの大聖女じゃ、振られてもしょうがないですかわー?」


 ……勝手に大って付けるなよ、何か僕がふったことになってるし。

 いや、まあ、そうかもしれないけど、


「なるほど、それでねぇ。納得がいっちゃったわぁ。……その勇者さんって、そんなにカッコイイの」

「そりゃ、もちろん。……って、見たんじゃないの?」

「まあ、文字だけじゃピンと来ないわよ。それにまだ、殆ど読めてなかったし」

「挿絵——。いや、なら、良いんだ、何でもないよ、うん」


 あっぶなー!? セーーフ!?!?

 ギリ、致命傷ですんだよ、僕にとっては実質無傷だね!?!?!?


「うう、女子としては聞いてみたいのに、女としてはやっぱり聞きたくないわー!」

「奇遇だね、僕も女としては語りたいのに、女子としては死ぬほど無かったことにしてしまいたいよ!?」


 やっぱり僕たちは同じだね。


 ハハハ、






 ……それにしても、何か忘れてるような……。

 ま、聖女様も無事ドラゴンの財宝眺めて寛いでるし、いっか。ん?

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