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与えられた禁忌の魔術で復讐を ~凛として咲く仇花~  作者: 一ノ瀬 凪
第一章 異世界で芽を出すクロユリ
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8. この世界の成り立ち


 素朴な木製の丸テーブルを囲むように座り、凛はまだ落ち着かない様子で手をモジモジさせていた。

そこにダンがお洒落なカップに入った暖かいハーブティーを運んでくれる。


「はいよ、嬢ちゃん」


 トンッという音を立てて凛の目の前のテーブルにそれは置かれた。

湯気と共に一瞬鼻をかすめる爽やかなハーブの匂いが凛の気持ちを少し落ち着かせる。


「・・・ありがとうございます」


 凛はマグカップの暖かみにも安心感を得て、思わず笑みが零れる。

これまでずっと気を張った状態が続いていたが、なんとなくその緊張感から凛は解放された気がした。


 その様子を見たルカは少しだけ微笑み、手をパンっと叩いて話を始める。


「よし!それじゃあ取り合えず説明していきたいんだが。

 その前にリンちゃんは何を知ってて、何を知らないんだ?」


 ルカの質問に凛は率直に答える。


「実は、この世界の事を殆ど何も知らないんです・・・」


 ルカは凛の返答に対し怪訝そうな顔を浮かべる。


「殆ど何も?

 それはまた不思議なもんだな・・・。

 まあいっか、リンちゃんの事は後で教えてもらうとして、

 何も知らないを前提に説明していこう!」


 ルカはケロっと表情を戻し、説明を始める。


「まず初めに一番重要な君の魔術についてだ。

 君の扱う魔術はこの世界では"禁忌"とされている代物だ。

 あそこの壁にある貼り紙を見ればわかると思う」


「・・・!?」


 凛はその貼り紙をみて今回の出来事の自分の危うい行動に気づき戦慄した。


"黒魔術使い、身柄の拘束で報酬金2,000,000G "


「ダンからも紹介所の際に忠告されたかと思うが、

 リンちゃんの魔術がもし四大国の人間に知られれば即ターゲットになり、

 捕まれば何をされるかわからない。最悪死刑だ」


 それに補足するようにナギが続く。


「リン!あんたはダンに助けられたの!感謝しなさい!」


 ナギは腕と足を組みながら大きな態度でそう言った。

凛もダンの事を命の恩人だと心から感じる。


「ダンさん、ありがとうございます。

 ・・・でも何故皆さんはそんな危険な私を助けてくれたんですか?」


 凛は率直な疑問を投げかけたが、その次の瞬間、時が止まったかのような空気となる。


 あれ、まずいことを聞いてしまったかな・・・?


「嬢ちゃん。実は俺達も、嬢ちゃんと似たようなもんなんだ」


 ダンは少し切なそうな声でそう言った。

そこにナギは強気な口調で話しを続ける。


「ウチらは世間からするとお尋ね者扱いの"異端者"の集まりよ」


 凛はそう言われてもピンときていない様子だったので、ルカがさらに補足していく。

 

「そういう事!ダンは謎の身体強化魔術、

 ナギはなぜか複数魔術の適正持ち、俺は謎の魔術の使い手!

 リンちゃんは黒魔術! 要するに俺達は異端仲間ってことだ!」


 ルカは満面の笑みで凛に仲間という言葉をかけた。

凛は異端者がどうとか以上に、その仲間という言葉に初めての感情を覚える。

心が温まるような、心地の良い感情を。


「リンちゃんはまだ知らないし実感も湧かないと思うが

 俺達"異端者"に対しての世間のあたりはかなり厳しい。

 "異端者"と知られれば社会的に迫害の対象になる」


 ルカはダンとナギの方に目を配り、何かの了承を得た。


「俺達についてちゃんと説明する。

 まずリンちゃんとさっき戦ったナギ。

 彼女は世にも珍しい全ての属性の魔術を扱える特異体質の女の子だ。

 リンちゃんはそもそも知らなかったと思うが、

 この世界で魔術を扱える人間は限られているし、使えたとしても

 生まれつき使える魔術は決まっている。

 だがナギは全属性を使える為、他の魔術師より遥かに多くの魔術を扱えるし

 なにより一人で別属性の魔術同士を掛け合わせた強力な魔術も使える。

 生まれつきの能力でみれば最強の特性の人間と言っていい」


 そのルカの説明にナギは自慢げな顔をして頷いていた。


「どう!やっとウチの凄さがわかった!?」


 ナギは凛の方をみて笑顔でそう言う。

ルカはナギを調子に乗らせないように水を差そうとする。


「まあ全属性と言っても基本四属性のことを指していて

 リンちゃんのような黒魔術が使える訳ではないんだけどね!」


 ルカはリンを煽るようにそう言った。


「・・・余計な事言うなし」


 ナギは少し拗ねた様子で目線を外にずらす。

凛はナギが特別な存在と知り、むしろ安心していた。


「道理で強かったわけですね・・・!

 私、初めての対人戦だったので基準がわからなかったから

 魔術師はみんなナギさんレベルだったら生きていくのに自信無くすところでした」


 凛のその発言にルカは笑い出す。


「ハハハっ!ナギは基準にはならないだろうね!

 ナギの実力は"規格外"だ!それと互角だったリンちゃんもまた"規格外"だよ!」


 ルカが楽しそうにそう言う中、凛は素朴な疑問が頭に浮かぶ。


「でも何でそんな皆さんが迫害されてしまうんでしょうか?」

 

 その質問にルカは少し真剣な表情に移り変わる。


「そうだな、その話をする前に前提を理解してもらわないといけないだろう」

 

「はい。お願いします」


 凛はどんな話なんだろうと固唾を飲む。

 

「順を追って説明していくよ。ナギの属性の話から派生するとね、

 魔術は基本的に炎・氷・風・土。世の中にはこの四つの属性しか存在しない。

 ・・・という事になっている」


「という事になっている?」


 凛は頭を傾けて聞き直す。


「ふふ。本当に何も知らないんだね!なんだか驚かされるよ。

 説明させてもらうとね、この世界には四つの神が存在して

 それがさっき伝えた四属性に基づいた、炎・氷・風・土の神達がいるってことなんだけれど

 その神々がこの世界を創造し、のちに人々に自分達の力を分け与えた。

 ・・・っていう言い伝えが浸透しているんだよね」


「はい」

 なんとか理解しようと頭を整理しながら凛は話を聞く。


「その言い伝えはこの世界の人間ならみんなが知っている。

 ただその言い伝えの始まりにはどういう物語があったのか。

 これはほとんどの人が知らない。その物語の根源を辿る昔話をしよう」


 ルカの話し方に凛は引き込まれ、真剣な顔つきになる。


「それはまだ魔術というもの自体が何なのかの定義がなく、混沌としていた時代に遡る。

 突如、一部の人々に顕現した謎の能力、魔術というものは、当時、未知の力だった。

 勿論、世の中に誕生したばかりの魔術師達は、まだ魔術の扱い方を知らず、

 力のコントロールができずに危険な事故が多発したんだ。

 魔力を持たない一般の人々はその人智を超えた力を持つ魔術師達に怯え、恐怖し、

 世の中では能力を使うこと自体が規制され、魔術師は異端者として扱われた」


「そんな時代が存在したんですね・・・」


「そんな魔術が危険視された時代に、魔術を完璧にコントロールして扱える

 一人の男が突如として現れたんだ。彼の名は"レン"。

 彼は魔術の正しい扱い方や、人の役に立つ魔術の活用法を教えた。

 最初こそ周りからの見られ方は良くなかったが、

 実際に魔術によって生活は便利になり、段々と人々に認められていき

 レンを師匠と崇める魔術師達も数多く彼についていった。

 そしてレンは、四神教という宗教団体を立ち上げた」


「宗教・・・」

 凛はその言葉に自分の母親を思い浮かべてしまい、顔に嫌悪感が出てしまっていた。


「彼が立ち上げた宗教団体、四神教は

 魔術を用いてより良い世界を築く為に、魔術への悪いイメージの払拭と

 魔術を活用した新たな生活を体感してもらう為に世界を回った。

 その時に彼は各地でこのような本を配っていた」


 ルカは凛に日焼けして茶色くなった一冊の本を差し出す。


「ありがとうございます。これがその本なんですね」


 凛は本を手に取り、おもむろにページをめくる。


「なるほど・・・」


 凛がそう呟くと、ルカが話を続けた。


「そう、その本には魔術に対する解釈と定義が記されている。

 それが、

〈炎・氷・風・土を司る四人の神によって、人類の進化の為に新たな力が与えられた。〉

 つまり魔術というものは四人の神が与えた能力だと定義したんだ。

 それは当時、重要な役割を担う定義だった。

 さらには、属性別での簡易的な魔術の扱い方も記載されている。

 これによって魔術という謎の力におびえていた当時の人々は、その教えの影響からか

 魔術に対しての捉え方が少しずつ変化していった。

 なにより、弾圧されていた魔術師達が魔術の活用法を学び、人の役に立つことで

 存在が承認され始めたのが当時の一番の変革だ」


「その人、凄いですね・・・」


 凛は宗教を毛嫌いしていたが、四神教は素直に凄い。そう思った。


「ああ。レンはカリスマだった。

 自身を神の代理人とし、誰もそれを疑わないほどに世界は良くなった。

 やがて彼は、彼についていった数多くの魔術師達を四つの属性別に分け

 それぞれの集落を造らせた。そこに属性に合わせた神の教会も一緒にセットでね。

 そして四人の神をぞれぞれ信仰する一般の人々も集まり始め、

 やがて集落は国となり、今の四大国までに成長したのさ。

 勿論、各国には今でも四神教の教会が存在して、

 今も尚多くの人に支持されている一大宗教ってわけだ」


「そんな歴史があったんですね・・・。

 じゃあ今の民衆はその教祖を本物の神の使いと信じているってことですか?」


 凛は理解が正しいかをルカに確認する。


「その通り。"レン"は神の使いで、今は天界に還ったとされている」


「なるほど・・・でもなぜルカさんはその全貌を知っているんですか?」


 凛は首を傾げてそう聞いた。


「実は彼が失踪し、天界に還ったとされた後に、

 当時俺の爺ちゃんがやっていた喫茶店に"レン"が訪れたらしいんだ。

 その時、爺ちゃんがさっきまでの話を聞いたらしい。

 爺ちゃんは普段話さない人で、冗談でもそういう事を言うタイプでは

 なかったから、俺はその話を信じている。

 ただなぜ"レン"がウィズダムを訪れ、その後身を隠したのかはわからない」

 

 ルカは丁寧に説明した。


「でも、一つ間違いないのは

 その方は世界を平和に導き、今の形を作った偉大な人なんですもんね!」


 凛は感心してそう聞き返す。


「そう。当時四神教を立ち上げたレンは偉大だった。

 彼が今も生きていれば今の四神教にはなっていなかっただろうな」


 ルカは目線を落として哀しげにそう言った。

 

「どういうことですか?」


「彼は魔術師を四つの集落に分けて暫くした頃、忽然と姿を消した。

 その後の彼を知る者はいないとされている。

 彼がいなくなった後は彼の弟子の魔術師達が魔術を教え、

 集落を成長させ、国となっていった」


「はい」


「しかし、月日が流れ、今となってはかつての崇高な教えも俺達の生きづらさに直結している」


「・・・・」


 凛は次話される内容が良くない事なのを察し、唾を飲み込んだ。


「その本の教えはいつの間にか解釈の仕方が変貌していき、

 本に記されている四つの属性以外は害とみなす教えとなり、

 俺達のような"異端者"は神から見放された存在として、教会からは敵対視。

 その教えが浸透した世の中からは迫害を受ける始末となった」


「・・そんな・・・なぜ!」


 凛は現代の四神教はどうなっているのかが気になった。


「一時期、"異端者"が関わる事件の件数が世間に目立つようになったんだ。

 四つの基本魔術は扱い方が浸透し、暴発等の事件はかなり減ったが

 まだ母数の少ない"異端の能力"は説明書がない。だがそれを会得しようと挑戦した"異端者"が

 度々大きな事件を起こしてしまっていたんだ。

 それを民から相談された教会は対策をした。それが新たな解釈。迫害だった」


 凛は悲しそうな表情を浮かべる。


「なぜ四神教は歩み寄ろうとしなかったんですか・・・」



「きっと教祖がいない今、答えがないからだと思う。

 結局四神教も創始者が優秀だっただけで、

 現四神教の実態は、現状の地位・権力の維持が目的となっている。

 おそらく自分達の理解を超えた四属性以外の力、"異端者"の力は導けないと感じ

 四人の神とは関係がない存在と切り捨て、責任が四神教にこないようにしているんだ」 

 

「・・・・」


 凛は絶句し、開いた口が塞がらない様子だった。


「だが、この迫害によって世の中的には

 "異端者"による事件の件数が減ったのも事実なんだ。

 教会の目が光る四大国で"異端者"は能力を隠し、ひっそりと暮らすか

 バレて四大国から追い出され、ここのような未承認国家に流れ着くか

 の二択しか残されていないおかげでね」


「なにが正解なんでしょうね・・・」


 凛は寂しそうに呟く。


 がたっ!


 ルカは急に勢いよく立ち上がる。


「だからこそ、俺たちは団結し、ここで助け合って生きている。

 今は俺達も生きるのだけでも必死だし、つらい事もある。

 状況的に"異端者"の俺達が大人しくしている事は世間にとっても良いのは事実だ。

 だがそれは今だけだ。

 "異端者"は今でこそ母数が少ないが、徐々に増えていっている。

 いずれ、"異端者"を抑えつけるのも限界がきて、悲しみの連鎖が生まれてしまう。

 だから、俺は"異端者"の受け皿となる何かを造りたい・・!

 "異端者"でも普通の幸せを傍受できる世界を造りたいんだ!

 かつての四神教教祖のように!それが俺の夢だ!!」


 ルカはそう言い切ると、少し熱くなり過ぎたと思ったのか、恥ずかしそうに咳払いをして再び椅子に座る。


 凛は急に大きな声を出したルカに驚き、目を見開き固まってしまう。


「・・・・」


 そのルカと凛の様子を見て、ダンが吹き出すように笑う。


「・・・フハハハハハ!!

 久々に熱くなるルカを見たな」


 ダンは楽しそうに高笑いした。

ナギはルカに追い打ちをかけるように突っ込みをいれる。


「しかもまだダンとルカの説明全然できてないし!」


 ナギは長い話を聞くのが苦手なのか既に退屈そうにしていた。


「あーごめんごめん!

 改めてダンの能力から解説しよう。

 ダンは身体を強化する能力が扱える。

 身体を大きくさせたり、硬質化させたり、棘のような形状にも出来たりするんだ。

 ただこれが魔術なのかどうかもわからないんだけどね!」


 ルカは茶化すように話した。

ダンはルカの説明に不服がありそうな表情を浮かべる。


「・・・まあそんなとこだな」

 

 不服な気持ちを押し殺すようにダンは同意し、ルカは話を続ける。


「そして俺は、謎の魔術を扱える!

 さっき闘技場で見せたような魔術を消失させる魔術だったり、

 近くの範囲なら高速で移動できる魔術だったりだ。

 他にも何かできるかもしれないが、今はこの二つしか上手く扱えない。

 しかも自分でもこれがなんの魔術なのかもわからない!」


 ルカはなぜか自信満々そうに自身を説明した。

凛はルカの能力に驚き、思わず呟く。


「えっ・・・凄い能力ですね」

 

「だろー?俺はまだまだ可能性に溢れたミステリアスな男だ!」


 ルカは凛に反応を求めるように身を乗り出してそう言い、凛は苦笑いを浮かべながら答える。


「確かに能力はミステリアスですね・・・」

 

 ルカと仲良さそうにする凛を見て、ナギは凛に牽制するかのような質問を投げる。


「ねえリン。あんたの事もちゃんと教えてよ」


 ナギは鋭い目つきで問いかけた。

まだ完全に信用はしていないとでも言いたげなその質問に、凛は少し緊張する。


「私は・・・」


 この人達ならある程度話しても大丈夫そうだけど、

むしろ何を話さない方がいいのかな・・・。


 凛はどこからどこまでを話すべきか迷ったが、覚悟を決める。


「信じてもらえるかはわからないですが、ありのままお話します」


 結果、元居た世界からここに至るまでの話と、死の目前で能力が覚醒した話と、復讐を目的にしている話をオブラートに包んで話す事にした。


 殺すつもり。 などという直接的な言葉は流石に出さずに、なにかしらの形で復讐したいという言い方に変換をして。


 そして、今まで自分の辛い過去を聞いてくれる人が居なかったからか、凛は思っていた以上にベラベラと口を滑らせて話してしまった。


この世界で勇者として迎えられた四人に、元の世界ではこんな仕打ちを受けていて、こんな酷い目に遭ったと。


聞いている側はきっと面白くもない話だと理解しつつも、ただ凛は自分の気持ちを理解してほしいという一心になっていた。


 途中、話している最中に色々思い出してしまい、凛の瞳に涙が浮かぶ。

自分でも初対面の人になに喋ってるんだろうと変に思う。

だが、それでもこの人達は真剣な眼差しで、頷きながらただ無言で話を聞いてくれる。

凛は心が浄化されるような、心臓に閊えていた暗くて重い何かがスッと消えた気がした。


「ひぐっ・・・ひぐっ・・・。

 リンちゃん、大変だったんだねぇ・・・ひぐっ」


 凛が話し終えた途端、ルカは子供のように泣きじゃくり始め、ダンも指で眉間を抑えている。


「そうか・・・辛かったな嬢ちゃん。

 嬢ちゃんはその勇者として迎えられたメンバーに

 復讐を成し遂げることが生きている意味なんだな」


 ナギはどちらかというと異世界という存在に驚愕している様子だった。


「・・・別の世界なんて存在するのね」


 凛は泣くルカを見て困り出す。


「ルカさん、そんなに泣かないでください」


 凛は初めて自分のありのままの話を聞いてもらえた。

泣いてくれたルカや、親身になって聞いてくれたダン、素直に話を受け止めてくれたナギを見て、とても暖かい気持ちになった。


「嬢ちゃんはもう俺達の仲間だ。

 このアジトは今後好きに出入りしてくれて構わない。あとこれを渡そう」


 ダンは凛に大きな手を握った状態で差し出す。


 凛は両の手の平をダンの手の下に向け、物を受け取った。


「これは」


「リンちゃん用特別ブレスレットだ。

 今日紹介所にはそれを発行しにきたんだろう?

 ちゃんと黒魔術は伏せた状態でプロフィールも偽造してある。

 しばらくはそれで仕事の受注はできるし、金が溜まるまでは

 このアジトを寝床に使っても構わない」


 ダンは紹介所で働いている為、裏側で色々融通を利かせてくれたみたいだ。


「何から何までありがとうございます・・!!」


 凛はこの街での生活が可能になった事に歓喜した。

ルカは涙をぬぐいながら凛の方を見る。


「肩身が狭い同士助け合いだ!

 俺達はリンちゃんに出来る限りの手助けはする!

 ただ、俺達もリンちゃんの力を借りたい時には助けてくれよな!」


 ルカは涙がぬぐい切れていない笑顔で凛に手を差し出す。


「勿論です!」


 凛も数年ぶりの自然な笑顔で、ルカの手を握り返した。



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投稿する曜日〈 月、火、水、木 〉

※2023/6/19~ 上記曜日に変更してます。


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