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与えられた禁忌の魔術で復讐を ~凛として咲く仇花~  作者: 一ノ瀬 凪
第一章 異世界で芽を出すクロユリ
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6. 影に潜む謎の集団

 すっかり日が沈み、街が星空の明るさにかすかに照らされている夜。

指定の時間に、指定の場所の謎の人物の銅像の前についた。

この付近は人気は少なく、通行人はほとんど見当たらない。


 私がただのいじめられっ子の少女のままだったら確実にこの場所には来れなかった。


 見知らぬ大男と夜に二人で待ち合わせ等、普通に考えたら怖すぎる。


 しかし、今は力がある。

 逃げ切ることも可能だろうし、最悪殺すことも・・・。


 そんな事を考えていると、大男が黒いローブを深く纏い、まるで誰かに自分の正体を察せれないような恰好で近づいてきた。


「おう嬢ちゃん。よく来てくれたね。案内するからついてきな」


 大男は小さくそう言い、ローブを翻して歩き始めた。


 凛は言われるがままについていく。


 罠だったらと考えると警戒は解けない。

 ちゃんと周りを見ておかないと。


 路地裏に入り、迷路のように入り組んだ細い路地を無言で歩いていく。

周りに人影はなく、自分の足音が普段より大きく感じる。


 コツンコツン


 大男と少し距離を空けながら歩く。


 しばらくして細い路地裏の途中で大男はピタリと止まった。

男は石壁に垂れ下がる大きな布をめくる、すると隠し扉が現れた。


「こっちだ。入りな嬢ちゃん」


 私はいつでも覚醒できるように、復讐の気持ちを保ちながら扉をくぐった。




「やあやあ!!初めましてリンちゃん!!」


 顔の整った華奢で陽気な男が椅子の上で足を組みながら私に手を振ってくる。

突然の陽気な挨拶に凛は面を食らい、目を見開いたまま震えた声で挨拶を返す。


「あっ・・・初めまして。」


 戸惑う凛の様子を見て、大男は陽気な男の紹介を始める。


「嬢ちゃん声がうるさくてごめんな、こいつはルカ。

 一応俺達のグループのリーダーだ」


 受付の時はこの大男も相当うるさかったが人の事を言えるのだろうかと凛は内心思った。


 彼はルカというらしい。 明るい茶色でくるくるの髪の毛が印象的だ。

 年齢は二十歳程度だろうか、背丈はそこまで高くなく、カジュアルでラフな格好をしている。

 良く見ると、陽気なルカの後ろの影にも人の気配がする。


「ナギ!お前も出てこい!」


 大男がそういうと、物陰から足音が近づいてくる。


「チッ・・・警戒しなさすぎじゃない?」


 初対面から態度の悪い凛と同い年位の女の子が出てきた。

背丈は155cm程度の凛よりも小さく、かなり小柄だ。

瞳はぱっちり開いていて顔は人形のように小さい。

白に統一された上下の服装が紫陽花のような淡い紫のボブヘアを際立たせる。


「こいつはナギ。生意気だが悪気はないんだ。

 嫌わないでやってほしい。そして俺のことはダンと呼んでくれ」


 大男のダンに全員の紹介をされ、とりあえず悪い人達では無さそうなのを感じ、安堵する。


「宜しくお願いします・・・」


 状況が飲み込めないまま凛は簡易的に挨拶を済ます。

するとルカが話しを切り出した。


「さてさて、時間は少ない。本題に入ろう!」


 ルカは組んでいた足を降ろし、姿勢が前のめりになった。


「早速だけどリンちゃん・・・君は黒魔術を使えるのかい?」


 さっきまで明るい雰囲気を醸し出していたルカは、急に重苦しい雰囲気で真剣な眼差しを凛に向けて質問する。


「・・・黒魔術?」


 凛は雰囲気の変わったルカに怖気づく。

そして"黒魔術"という初めて聞く言葉になんと答えればいいかわからない。

魔術の種類についても衛兵に聞いておくべきだった。


 困惑する凛の様子をみてダンは助け船を出す。


「ルカ。おそらく嬢ちゃんは本当に何も知らねーんだ。

 先ずは一から説明してやった方がいいんじゃねーか?」


「ダン。 とはいえ俺達は誰もリンちゃんの魔術を見ていないんだ。

 先ずは本当にあの黒魔術なのかどうか確かめてからで遅くない」


 何の話をしているんだろう・・・。

 もしかして私の魔術は特殊なの・・・?


 ルカは立ち上がり、無造作に置かれてる木箱を整理しだした。

すると、木箱の下に地下へつながる扉が姿を現す。


「リンちゃん、申し訳ないが先ずは君の力を見たい。

 下に広い闘技場のようなスペースがあるんだ。

 そこでうちのナギと手合わせをお願いしたい」


「え・・・」


 凛は急な提案に動揺して言葉が詰まった。

逆にナギはニヤリと笑みを浮かべて大きい声を出す。


「待ってました!! 本物かどうか確かめてやる」

 

 ナギは闘志剥き出しの様子で小さい拳を握る。

ダンはそのナギの様子を見て目を瞑りながら溜息をつく。


「はぁ。 やっぱそうなるか・・・。

 すまんな嬢ちゃん、あまり手荒な真似はしたくないんだが

 嬢ちゃんの力が本物だとわかれば協力する。だから一度付き合ってくれ」


 ダンの後押しで凛は引くにも引けない気持ちになる。


 この下に降りて大丈夫なのだろうか。

もしかしたら罠かもしれない。

まだこの人達を信用できない・・・。


どうしよう。思考がまとまらない・・・。


いや・・・最悪私の魔術なら太刀打ちできる。

下に降りれば答えはある。


「わかりました。手合わせします」


 凛はそう言い、階段に足をかけた。


 壁の陰に隠れた"禁忌の魔術師捕縛"の貼り紙に気づかずに。


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※2023/6/19~ 上記曜日に変更してます。


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