30. ルカ VS ロイド
くそ!どうしたんだリン!!
理由はわからないが魔術が発動できないのか・・・!
目の前にいるこいつは強い・・・。
対峙しているだけでわかる。
そして攻撃の決定打は俺にはない。
凛の黒魔術がなければせいぜい時間稼ぎができるだけだ・・・!
中々絶望的だが・・・やるしかない・・・!
リンの覚醒まで時間を稼ぐ!!
「リン!一旦離れろ!」
ルカのその声に反応し、凛は困惑しながらも後ろに下がった。
「なにやら揉めているみたいだが待ってはやらんぞ」
ロイドはそう言い、戦斧を振りかぶる。
ロイドはルカへと向けて駆け出し、構えるルカに対して瞬時に間合いを詰めた。
それと同時に戦斧は斜めに振り下ろされる。
その戦斧の動きを目で追いながらルカは間一髪で横に転がり躱す。
だがロイドは振り切った重そうな戦斧を軽々しく振り回し、転がった先のルカに追い打ちをかける。
くっ!こいつどんな馬鹿力してんだ!
ルカは顔を引き攣らせ、迫る戦斧に目を向ける。
ロイドの戦斧はあっという間にルカの首元を捉えていて、首元スレスレに戦斧の先端が近づいていく。
まずは一人目・・・。
ロイドはニヤリと笑い、血しぶきが舞うのを楽しみにする。
「ソル」
ブウゥン!!
ルカのソルという呟きと同時にロイドの戦斧は空を切った。
消えた・・・?
確実に捉えたはず。
「こっちだバーカ」
ルカは数十歩先の場所に瞬間移動していた。
「・・・・ほう、面白い」
ロイドはそう呟き、不敵に笑う。
俺の魔術の手札は二つ。
〈ディストピアランス〉と〈ソル〉のみ。
魔術を消す〈ディストピアランス〉と
短距離を高速移動できる〈ソル〉だけだ。
しかも俺はリンちゃんのような
魔力量はないから連発で魔術の発動は控えたい。
「ならこれならどうだ」
ロイドは戦斧を地面に刺し、こちらに手の平を見せる。
「アースクエイク・・・!」
ロイドがそう唱えると、ルカの方へ広範囲に地面から岩が棘状に隆起していく。
ズドドドッ!!
轟音を立ててルカを囲むように岩が隆起していく。
「土の魔術師か・・・ディストピアランス!!」
ルカが魔術に左手を向けそう唱えると、隆起していた岩は瞬時に動きを止めた。
ロイドは自分の魔術が止められた様を見て、声には出さないものの目を見開き、驚愕の表情を浮かべた。
「魔術を打ち消すか・・・・・その魔術、興味深い」
ロイドは顎を手で摩りながらそう言った。
「まだまだこんなもんじゃないぞ」
ルカはもう手札を使い切っているが相手に様子見をさせる為、虚勢を張る。
「ふむ、殺すのが惜しくなるほどに貴様は異端能力者だな。
・・・興味が湧いた。貴様の思想の行き着く先はなんだ?」
ロイドは余裕そうな表情でルカに問いかける。
「俺達の思想の行き着く先だと・・・?」
ルカは一瞬返すべかどうか考えたが、今は時間稼ぎのフェーズだと思い直し、質問に答えることにした。
「・・・この世界は異端者に厳しい世の中だ。
何もしなくても無条件に迫害され、力を隠し、怯えて暮らすのを強いられる。
俺達はそういう異端者達が普通の生活ができる世を造る」
「ではその為にはなにが必要と考える?」
「異端者のイメージの改善が第一だ!
異端者の能力の仕組みを暴き、世の中に役立てる方法を見つけ、
世間に認めてもらう!」
「なるほど、だがそれを言うのであれば我々も目的は同じだ。
四属性の魔術とは何か、異端の魔術とはなんなのか。
それを研究し、実験を繰り返し、答えを探している。
仮にその答えが世間に広がれば貴様らの掲げる目的と同一だ」
ルカはロイドに犯罪組織と同じだと扱われ、頭が少し熱くなる。
「・・・だがお前らは!
その怪しい薬を人に売って金儲けにしているだろ!」
ルカの反論をロイドは鼻で笑った。
「ふん、青いな。
何をするにも資金は必要だ。
我々が生きている時間には制限がある。
早急に目的を成す為には金儲けの工程は必要な事だ」
「そんなの言い訳だ!
その薬で不幸になる人間がいる以上、認めてなるものか!」
「では逆に問う。
貴様はどうやって異端能力の仕組みを暴くつもりだ?」
「それは・・・!」
ルカはまさかの質問に言葉が詰まる。
確かに仕組みをどう暴けばいいかなんかはわからない。
四神教の教祖レンはなぜ四属性の扱い方を理解していた?
しかも異端能力は何種類あるかすらもわからない。
その謎の解明は途方に暮れる旅だ・・・。
「貴様らのしてる事はただの子供のお遊びだ。
理想を口にするがまるで現実味のない戯言に過ぎん」
ロイドはそう吐き捨て、戦斧を握り直す。
「そういう餓鬼を見てると・・・虫唾が走る!!」
ロイドは目を見開き、血管の浮き出した顔でルカの方へと飛び出した。
「くっ・・・!」
ルカは言い返せなかった自分に腹が立った。
落ち着け俺! 冷静になれ・・・!
今は戦闘に集中しろ・・・挑発に乗るな!!
ルカは自分に言い聞かせ、ロイドの動きに集中する。
「ハァッ!!」
ロイドの戦斧が再びルカを襲う。
ブウゥン!!
ルカはそれをバックステップで後ろへと飛んで避ける。
だがロイドもそのままの勢いで前へ踏み込み、戦斧を横に振り切ろうとする。
ブウゥン!!
集中しているルカはそれも読み切り、しゃがんで躱す。
そして隙の生まれたロイド目掛けてルカは拳を強く握り、ロイドの腹に全力で腕を振りぬいた。
ゴンッ!
「硬っ・・・!」
ルカの拳はロイドの腹筋に敵わず、ダメージを与えられない。
ルカが拳を痛がった一瞬の隙でロイドは右膝をルカに振りぬく。
「ぐはっ・・・!!」
ルカの腹にロイドの膝が入り、ルカは後方へ吹っ飛んだ。
ズサァア!!
吹っ飛んだルカは地面を転がり、腹部を抱えながら地に伏せた。
「なんだ今の拳は、ハエが止まったかと思ったぞ」
ロイドは余裕の表情で嘲笑したのち、何かに気付いたかのようにいやらしく口角を上げた。
「さては貴様、攻撃の魔術は持ち合わせていないな?」
ちっ・・・!
決定打にならない攻撃を繰り出したのが仇になったか。
俺に攻撃の魔術がないのを見切られた。
こいつ一人でも相当厄介なのに・・・。
しかし、あの椅子にふんぞり返ってるあいつは手を出してこないのか。
「ふん、もっと踊れるかと期待したが、興が冷めた」
ロイドはうずくまるルカに近づいていく。
「ソル」
ルカは瞬間移動し、ロイドから距離を置く。
「逃げるのだけは上手な鼠め。
まあいい、貴様に攻撃の手段がないのはわかった。
なら・・・・こっちにしよう!!」
ロイドは身体を半転させて後ろに下がっていた凛を眼光に捉え、駆け出した。
なんで覚醒できないの?
わからない。
私が戦力にならないとルカさんが危ない!
なのにどうして・・・・。
ダッダッダッダッ
凛がパニックに陥り頭が真っ白になっている中、ロイドの足音が徐々に凛の耳に響いていく。
「リンッ!!!!!」
ルカの声が響き、凛はハッと正気を取り戻す。
「遅いっ!」
凛が顔を上げた時には不気味な笑みを浮かべ瞳孔を開かせたロイドが、もう目の前で戦斧を振りかざしていた。
凛はそのロイドの表情に鎌を構えた死神を連想し、戦慄した。
直感的に死を感じる。
逃れたくても逃れられない。
次の瞬間に訪れる死を、私の心が否定しても脳が理解し、死をイメージしてしまっている。
あぁ・・・避けれない・・・死んじゃう・・・わたし
ズシャアァ!!
そして残酷にも次の瞬間は訪れ、目の前に血しぶきが舞い上がった。
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