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与えられた禁忌の魔術で復讐を ~凛として咲く仇花~  作者: 一ノ瀬 凪
第一章 異世界で芽を出すクロユリ
27/67

27. 同時襲撃作戦


「この魔道具・・・・凄いですね。

 これが世の中に出回ったらとんでもない価値になりますよ・・・!」


 キースは興奮を抑えきれない様子でカレンにそう言った。


「凄いわよね。私も初めてこれを使った時は驚いたわ。

 ウィズダム創設者の職人達が作ったこの街を守る為の連携用の魔道具。

 私達もこれくらいの代物を作れる技術があれば良かったんだけどね」


 カレンは自身の力不足を感じているかのような口調でそう答える。


 カレンとキースはトランプの基地にいた。

ここには過去の偉人たちが作った唯一無二の魔道具が存在する。


 キースが驚愕していた魔道具は現代でいう通信機だった。

基地にある大きい基盤で子機に対して通話の発信と受信ができる装置で、この基地を拠点に他の異端解放団に指示を出している。


 聞くところによるとこれはトランプの扱う雷の魔術をエネルギーとして稼働する魔道具で、開発した魔道具職人達はトランプが少年の頃にトランプの能力を分析し、エネルギーとして応用できる事に気付いてこの機械の開発に至ったらしい。

難点は会話ができる範囲はせいぜいウィズダムの半径程度が限界で、あまりに距離が離れると会話にならないという事だ。


 ピーピー


「・・・カレン、聞こえるか?」

 誰かの声が通信機から聞こえてきた。


「聞こえているわ」

 カレンが応答する。


「・・・・・東のアジトの目の前に着いた。

 ナギが来たらまた連絡する」


「わかったわ」


 ブツッという音と共に通信が途絶える。


「今のは・・・・・トランプさんですか?」

 キースは聞いたことのない声から誰かを予想して質問する。


「そうよ、彼はもうアジトに到着したみたい。

 あとは他のメンバーの到着を待つのみね」


--------------------------


 凛が使役した死体から聞き出したハウンドドッグの情報を元に異端解放団は新たな作戦に動いていた。


聞き出した情報はウィズダム内にハウンドドッグのアジトは合計三つある事と、そのアジトのいずれかに薬の開発の魔道具が設置されている事と、今夜アジトのどこかにハウンドドッグのリーダーが来ている事だった。


 この作戦での目的は、リーダーの抹殺と薬の開発施設の破壊だ。


 異端解放団も三つの班に分かれ、同時にアジトに突入する手筈で動いていた。


アジトの場所はウィズダムの東側に一つ、北側に一つ、西側に一つある。


 西のアジトはダンとサキ。

西口から近いのでダンは既に到着しており、サキは異端解放団のアジトから現在向かっている。


 北のアジトは凛とルカ。

二人も現在北へと移動中だ。


 東のアジトはトランプとナギ。

トランプは元々東のアジトの存在を知っており、今回の襲撃に合わせて近くで監視していたのでアジトの目の前で待機中だ。


 ナギは西口から距離はあるが風の魔術で移動速度は速い為、東のアジトでトランプと合流する事となった。


 先程、薬の輸出を妨害した時点で明日以降はハウンドドッグの警戒が強くなるのは間違いない。


その為、決着をつけるならリーダーも来ている今夜中に決め切る。

全員はそう意思決定し、行動をしていた。


--------------------


 ダンは建物の影に身を潜め、西のアジトの突入ルートを確認していた。


「・・・あそこが入り口か」


 すると、後ろから走る足音が聞こえてくる。


 タッタッタッタ


「ふぅ、お待たせっす!」


 走ってきたのはサキだった。

サキは急いできたのか、少し息を荒げながらも無事合流が完了した。


「思ったより早かったな、金髪のねぇちゃん」


「あたいはサキな!名前で呼んでくれよ!」


 出会って早々にサキはダンに突っ込んだ。


「ああわかった。今日は頼むぞサキ。

 通信機で代表に連絡を頼む」


「ラジャー!!

 ・・・・聞こえるかー?」


 サキは通信機を起動し、声をかける。


「聞こえてるわ」

 通信機からカレンの声が聞こえてくる。


「あたいはダンさんと合流したからいつでもおーけーだ!」

 サキは陽気な様子でそう言い、通信は終了した。


「・・・・サキ、お前はこういう時、怖くないのか?」

 ダンは危機感のなさそうなサキに疑問を投げかける。


「怖くはないなー。

 こういう場面に慣れっこだからかも」


 サキは頭の中で今までの出来事を振り返る。

貧民街での暮らし、舞との逃走劇、色々な危機をくぐり抜けて生きてきた。


「・・・・そうか。

 出身は玉風の国だったよな。

 実は俺も同じ国出身なんだ」


「あ!そうなのか!お揃いだな!」


「ああ、俺も自分の能力のせいで国から追われる身となってここに辿り着いた」


「まじか、そこまで一緒なんだな。

 あたいもきっとこの炎と氷の二つの魔術を扱えるせいで

 追われるようになっちまったみたいなんだ。

 ・・・・それに気づいた親友があたいをここまで逃がしてくれた」


「いい友人を持ったな」


「あたいの初めての友達なんだ。

 必ずまた会おうって約束した。

 その時までは死んでも死ねねえ」


 サキは真剣な表情でそう言った。


「ふん、死んでも死ねないか。

 そんな話聞いちまったら俺も死んでも守らなきゃいけないな」


 ダンは微笑みながら落ち着いた声でそう返す。


「ちょ・・・・それはなんか照れ臭いな!!」


 なんか、一瞬心臓がふわついた。

なんだこの感覚・・・。

くすぐったいような変な感じだ。

舞と一緒にいる時の感じと似てたけど・・・ちょっと違う。


--------------------


 カレンはダンの報告を受け、残すところはあと三人の合流を待つだけだ。


「後はリンちゃんとルカくん、ナギちゃんの到着を待つのみね」


「そうですね!」


 カレンの言葉に気合いが空回りしたような声でキースは返事をする。


 もうすぐ始まるんだ。

トランザさんの命を奪った根源の組織、ハウンドドッグとの戦闘が。

皆さん・・・トランザさんの仇を討ってください。


「・・・トランザさん、もうすぐですよ」


「!!!」

 カレンはキースの言葉に反応し、キースの方へ振り返る。


「いま・・・なんて言ったの?」

 カレンは動揺した様子で聞いた。


「いや、独り言です!こんな時にすみません」

 キースはおどおどしながら謝罪する。


「違う!!

 ・・・名前、言わなかった?」


「あ、え、トランザさん・・・・ですか?」

 キースは何が何だかわからない様子でそう言った。


「あなた・・・トランザを知ってるの?」

 カレンは目を大きく見開いてそう聞き返す。


「あ、はい・・・。

 最初にアジトで話していた僕の命を救ってくれた方が、

 トランザさんの事でした・・・」


「その話・・・・あの子だったのね・・・」

 カレンの瞳には突然と涙が浮かび上がった。


 キースは困惑し、どうしたらいいのかわからず固まってしまった。


 え、カレンさんどうしたんだろう・・・。

トランザさんと知り合い?


 カレンはキースに背を向け、顔に手を当てていた。


 ピーピー


「・・・あーあー。

 ルカだ! 北のアジトに到着したぞ」


 タイミングが悪い・・・。


 キースは一瞬そう思いカレンの様子を伺ったが、返事をするのは僕の方が良さそうだと思い、代わりにルカに返事をする。


「ルカさん!キースです!連絡ありがとうございます!

 ナギさんがまだなので待機していて下さい!」


「わかった!」


 ブツッ


 通信が切れ、基地に沈黙の時間が流れる。


 あーどうしよう・・・。

もう皆続々とアジトに到着してる。

あとはナギさんが到着すれば準備完了だ。


 カレンの鼻をすする音だけが聞こえる。


 カレンさん・・・凄い悲しそうな顔をしてた。

こういう時、なんて声を掛けるべきなんだろう。


「・・・急にごめんね」

 沈黙はカレンの言葉で破られた。


「いえ・・・謝らないで下さい!僕は全然大丈夫ですよ」

 キースは両手をぶんぶん振りながらそう言った。


「・・・この件がひと段落したらトランザの事、

 もっと詳しく聞かせてちょうだい」


「わ・・・わかりました!」


 キースは何が何だかわからないままだったが、涙を浮かべたカレンを見てしまった為それ以上は踏み込めなかった。


 ピーピー


「カレン、ナギと合流した。

 いつでもいいぞ」


 トランプから通信がきた。

これで全員がアジトに到着したことになる。


「了解。 通信を全体に切り替えるわ」


 カレンはそう言い、通信機の基盤に触れる。

その時には既にカレンは涙を振り切っていた。


「みんな聞こえる? 全員指定の位置についたわ。

 合図と同時に一斉にアジトを攻め落とすわよ。

 各自、突入後に私への連絡を忘れないで。

 本丸のアジトは一つ。 最終的には全ての戦力をそこにぶつける。

 相手はハウンドドッグ、危険な相手だから油断しないで」


「「了解!」」


「じゃあ行くわよ!!

 三・・・二・・・一・・・突入!!」


 カレンの号令と共に、ハウンドドッグとの戦闘の火蓋は切って落とされた。






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※2023/6/19~ 上記曜日に変更してます。


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