23. 入団面接
「さあ、今日こそ・・・」
ルカはいつもの場所で陰から掲示板を眺める。
初めての掲載からすでに四回目の月曜日を迎えていた。
「ん?あれは・・・・・」
ルカは目を凝らした。
あからさまに掲示板で待ってる様子の金髪の女の子がいる。
通り過ぎる人達も疑いの目線を彼女に浴びせながら通り過ぎていく。
もはや逆に怪しいくらい堂々と立っているな。
異端を見る目が気にならないのだろうか・・・・。
ルカは物陰から出て、何気ない雰囲気で掲示板に近づく。
それはあたかも通りすがりの一般人の如く。
金髪の女の子の横につき、掲示板を眺めるフリをしながら声をかける。
「ねえ君」
「・・・・・あたい?」
「そう君だ・・・ここには待ち合わせ?」
「・・・・もしかして異端解放団か!」
「ブッ!!」
ルカは思わず吹き出した。
声がでかいって!
ちょ・・・まずい。
周りの目がこっちに・・・!
早くこの子を連れ出さないと・・・・・。
「どうした?なんかおかしかったか?」
金髪の女の子は頭を傾けて聞いてくる。
「うん!よし!取り敢えず移動しよう!
ね!はいはい早く早く!」
ルカはそそくさと早くその場から離れようと女の子の背中を押しながら細い路地へと入っていく。
「おいおい!何だよ急に!」
路地裏に入り次第、女の子は振り向いて少し怒り気味にそう言った。
「あんまり大きな声で異端解放団などど言わないでくれ!
変に目立ちたくないんだ!」
ルカは思わず言い返す。
「ほえ?そうなのか?
チラシまで貼ってあるからここは異端者に対して
おおらかなのかと思ってたぜ。
わりぃな・・・」
金髪の女の子は素直に謝り、頭を掻く。
ルカはその意外なスタンスに面を喰らっていると、突如後ろから男の声が聞こえる。
「あの、すいません。
もしかして・・・あなた方は異端解放団の方ですか?」
「・・・・・!」
まずったな。
会話を聞かれたか・・・。
完全に疑われてるだろこれ。
俺はまだ後ろ姿のみで顔までは見られてない。
振り返らずに目の前のこの子を引っ張って逃げ切るしかないな・・・。
ルカはそう決めて女の子の手を取って路地の奥へと駆け出す。
「逃げるぞ!!」
「うおい!!急に引っ張るな!!」
金髪の女の子は何がなんだか分からない様子で腕をルカに引っ張られる。
「え!あの!ちょっと待ってください!!
僕も仲間に入れてほしいんです!!!」
謎の男の声にルカはピタッと駆け出した足を止める。
・・・・・・え??
――――
ルカはその後、金髪ポニーテールの女の子と眼鏡をかけたぼさぼさな黒髪の男の子を引き連れて、アジトへと戻った。
そして全員が椅子に座り、かしこまった雰囲気が流れる。
「はい、ではこれから異端解放団の面接を実施します」
ルカはなぜか事務的にそう言い、二人と向き合った。
「なんでルカ伊達メガネかけてんの・・・」
ナギは疑問の目線をルカに向けながらそう呟いた。
「ルカさんっておちゃらけてますよね・・・」
凛はナギにだけ聞こえるような音量でそう囁く。
「えーではまず、左の女性から自己紹介をどうぞ」
ルカが金髪の女の子の方に目線をやり、質問が始まった。
「あたいの名前はサキ!十七歳だ!宜しくな!!」
サキは元気よく手を挙げてそう言った。
「えー、ちょっと情報不足なので自分の能力も含めて教えてください」
「能力かあ・・・言わないように言われてたんだけどなあ」
サキは舞との約束を思い出し、言い淀んだ。
凛は言い淀んでいるサキを安心させるために優しく声を掛ける
「安心して。 ここにいるメンバーは全員異端の能力持ちだから。
外では言わない方がいいのは間違いないけどね」
凛も初めてここにきた時は警戒心で一杯だった。
その時の事を思い出しながらこの人達にも無駄な神経を使わせてしまわないように気を配る。
「あーそうか!なら大丈夫か!
あたいは炎と氷の二属性持ちの異端者だ!どっちの魔術も使える!」
サキは意外とあっさりと手の内を明かした。
それを聞いたルカは少し真剣な表情になる。
悪い子では無さそうだな。
二属性持ちならナギに近い存在か・・・。
たださっきの掲示板前での振る舞いや、開示するのを迷った能力の話を即答するあたり、ちょっとアホそうだ。
ルカは早々にサキはアホではないかと疑いだしていた。
「なるほど。
では異端解放団に入ろうと思ったきっかけを教えてください」
ルカはサキに更に質問を重ねていく。
「えっとー、色々あってずっと住んでた玉風の国から
出なきゃならなくなって、二日前にこの街に来たばかりなんだ。
正直、まともに教育も受けてないから生活の仕方もわからなくて・・・。
そんで、あのチラシを見かけて、あたいみたいな異端者でも
この街での生き方を教えてくれるかも!って思ってきた!!」
サキは身振り手振りを目一杯しながら感情的に説明する。
「なるほど。
生き方がわからず路頭に迷っていた訳ですね。
わかりました」
ルカは紙にメモを取る仕草をする。
実際に何かを書いているのかどうかは怪しい動きだ。
「えー、では続いて・・・眼鏡君」
ルカはそう言って眼鏡の男の子の方に向き直る。
「眼鏡君!?
僕の名前はキースです!!
あとあのー・・・」
自己紹介の途中でキースは言い淀む。
「どうしましたか眼鏡君」
「キースですぅ!!
あの、その、実は・・・僕は異端の力はありません」
キースは俯いてそう言った。
「・・・では論外なので追い出します」
ルカは立ち上がり、キースを拘束しようとする。
「ちょっと待ってください!
決して敵ではありません!協力するつもりできたんです!」
キースはルカの拘束に対してもがきながら叫んだ。
「・・・では、なぜ異端解放団に入りたい?」
ルカは腕を止めてキースに聞く。
「僕は・・・異端の力の研究をしてるんです!
今まで秘かに誰にもばれないように研究をしていて・・・。
なので、皆さんを研究させてほしいんです!
勿論、対価として活動のお手伝いはしますので!!」
キースは熱意をもってルカにそう提案した。
「んー・・・・・・それでもダメです」
ルカは結局お断りした。
「ええ!!なんでですか!何でもしますから!」
キースはルカに食い下がり、ルカの服の裾を掴む。
ルカはその必死なキースを見て、無言で自分の椅子へと戻り、キースの方へ向き直す。
「・・・まず、研究したいと言われても眼鏡君を信用しきれない。
眼鏡君が異端者であれば、
言い方は悪いがお互いに弱みを握っている状態になるから
ある意味で一定の信頼はおける。 しかし君は一般人だ。
うちの情報をリークされたらこっちだけが窮地に追いやられる。
要するに異端能力者でない時点でこちら側だけが一方的にリスクがある訳だ。
そして仮に信用に値したとしても、俺達の活動に参加するのは危険だ。 やめておけ」
ルカは急に真面目になり、突き放すようにそう言った。
「いやしかし・・・!!」
「ダメなものはダメなんですー」
ルカは子供をあやすかのようにキースに物を言わせない。
聞き分けのないキースにナギも少し苛立ち始め、追い打ちをかける。
「ねえ眼鏡。
ウチらはお互いが異端同士だから寄り添いあって生きてるの。
ウチらにとっちゃ今の世界は生き辛くてたまらないわ。
それを興味本位で研究させてくれ?
そんなモルモットみたいな扱いしてくるなら
軽蔑の目で見てくる奴らや迫害してくる四神教となんら変わらないわ!
そんな生半可な理由で入団できると思わないでよね」
ナギはキースの動機をも否定して説教をした。
「・・・すみません。言葉を誤ったのは認めます」
流石にこたえたようでキースは肩を落とし、意気消沈した様子だ。
凛はちょっとキースを気の毒に思い、ルカとナギをたしなめてキースを庇う。
「まぁまぁルカさんもナギちゃんも落ち着いて・・・もう少し話を聞いてみよ?」
凛はルカとナギを交互に見ながらそう言い、キースの方に顔を向ける。
「キースさんは、何の為に異端能力を研究しているんですか?」
「・・・僕は以前、異端の力に救われました。
5年前に犯罪組織ハウンドドッグの取引現場に
たまたま居合わせてしまった事がありまして・・・」
キースはその時の話をつらつらとし始める。
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