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与えられた禁忌の魔術で復讐を ~凛として咲く仇花~  作者: 一ノ瀬 凪
第一章 異世界で芽を出すクロユリ
20/67

20. 勇者 VS 鳥型魔物

「お前は警笛を鳴らせ!俺は勇者様に伝える!!」


 衛兵は魔物の襲来に備えて慌ただしく動き出した。


 カン!カン!カン!


 早苗は音の鳴る方に振り返る。

「何の音?」

 


「勇者様ぁああー!!!魔物が接近中です!!」

 衛兵の叫び声が勇者全員に響き渡った。


「・・・・・!!」

 卓也はすぐ辺りを見渡し、索敵する。


「あそこだ!!」

 卓也は叫び、魔物が飛んできている方向を指さした。


 舞は全員を見渡して問いかける。

「本物の魔物!?どうする!」

 

 瞬太郎はこの状況に笑みを浮かべていた。


「よっしゃあ!模擬戦は止めにしてあの魔物を倒す実践訓練といこうや!」


 声を荒立てて瞬太郎はそう叫んだ。

その発言に早苗は驚いた様子で聞き直す。


「本気!?」


 早苗は信じられないという反応を示していたが、卓也は瞬太郎の発言に前向きな反応を示す。


「いや、やるしかない。 

 衛兵より俺達の方が戦力になる」


 卓也は覚悟を決めた表情でそう言った。

舞もその言葉で覚悟を決めて呟く。


「・・・了解!」

 

 舞は玉風の国での一件でかなり戦闘に対しての抵抗がなくなっていた。

覚醒で力を得た影響も大きいが、サキに会いに行く為にも早く魔物達を討伐したいという気持ちが、よりその精神力の強さを生んでいる。


 全員が戦闘態勢に入った時、向かってくる魔物がこちらに威嚇の声を上げる。


 ピィェェエエエエ!!!!!!


 魔物は大きい翼を広げ、勇者達を見下ろす形で上空で停止し、鋭い目玉で睨みを利かしている。

その身体は黒紫に光るオーラのようなものに包まれており、禍々しさを感じさせた。



 舞はあまりの巨体に思わず呟く。


「大きい・・・!」

 


「やるぞ!!!」

 卓也の叫びと同時に全員魔術の詠唱準備を始める。


「土槍・ガトリング・スピアァァア!!!」

 先に瞬太郎が動いた。

詠唱と同時に地面が盛り上がり、土で出来た無数の槍が魔物に向かって飛び立つ。


 鳥型の魔物は上空を旋回しながらそれを器用に回避する。

魔物は旋回しつつ翼を広げ、大きい弧を描いてなびかせた。

途端、両翼それぞれから竜巻が発生し、瞬太郎を目掛けて勢いよく飛んでくる。


 瞬太郎は初めての魔物の魔術に動揺する。

「風の魔術!?」

 


「狂風・インサニティハリケーン!!」

 舞が隣からそう唱え、二つの向かってくる竜巻に最上級の風の魔術をぶつける。


 風を切る高音と共に竜巻は消し去られ、狂風は貫通して魔物へと向かっていく。


 魔物は間一髪で舞の狂風を回避したが、あまりに強烈な風圧にバランスを崩し、地上に向かって落下していく。


「よし!」

 舞は小さくガッツポーズをする。


 しかし、魔物は地面ぎりぎりで体制を整えて地上へと降り立ち、ダメージを負った様子はない。

だが、戦い方の座学を学んできた勇者も伊達ではない。

 卓也は早苗の方に顔を向け、合図するように叫ぶ。


「早苗!!」


「わかってる!!」


 卓也の合図に呼応して早苗は氷の魔術を唱える。


「氷床・レッグ・キャッチ!!」

 魔物の足元から突如として氷晶が現れ、地面と魔物の足を一瞬にして凍結させる。


 魔物は身動きが取れなくなり、甲高い鳴き声をあげながら身体をばたつかせた。


「捕まえた!!」

 早苗は卓也に向けて叫ぶ。


 それに呼応するように卓也は神経を集中させて詠唱に入る。


「焼き鳥にしてやる・・・灼熱駻馬・インフェルノ!!」


 卓也は魔物目掛けて両手を向ける。

すると爆発するかの如く乱暴に炎が現れ、その炎は暴れ馬の形を成しながら魔物へと向かっていく。


 その熱量で所々にある地面の氷も瞬時に水へと変わり、いかにその炎が灼熱なのかが伝わってくる。


 ピィェェエエエエ!


 炎の馬に襲われた魔物は、燃え盛る炎に埋もれながら悲鳴にも似た鳴き声を上げる。

数秒後には鳥型の魔物は火だるまとなり、地面に倒れ込んだ。




「よし!! 初陣にしては上出来だろ!」

 卓也がそう言い、勇者達は喜びの声を上げる。


「やったあ!」


「よっしゃあ!」


 舞、瞬太郎も飛び跳ねて喜ぶ。


「さすがに実践は緊張するわね・・・」

 早苗がそう呟き、三人の方へ歩み寄ろうとしたその時。


 ピィェェエエエエ!!!!!!


 鳥型の魔物は火だるまの状態で叫びながら動き出し、そのまま早苗の方向へ勢いよく突っ込んでいった。


 全員、詠唱が間に合わないのを悟る。


 まずい!!

 油断したっ!!

 早苗を助けられない!


 ドドドドドドッと足音の轟音が早苗に近づく。

卓也は目の前の状況を見て危険さを悟る。


 あの巨体に火だるま状態で突っ込まれたらやばいだろ・・・!!


「いやっ・・・!!!」

 早苗は目を瞑り、一瞬で死を覚悟する。


 こんな死に方したく――


 ズシャアッ!!!


 肉が斬れる音がした。


 早苗が目を開けるとそこには剣を振り切ったクライアの後ろ姿があった。


「・・・間一髪ですね」

 クライアは横顔を早苗に見せながらそう呟いた。


 早苗は目をまん丸にしながら何が起きたのかを確かめる。

後ろを振り向くと真っ二つになった鳥型の魔物が燃えている。


クライアは一瞬にして早苗の前に入り込み、突っ込んできた魔物を一刀両断したのだ。


「初の魔物戦を上手く立ち回れた喜びで油断しましたね。

 実践での油断は簡単に命を落としますよ」


 クライアは剣を鞘に納め、そう言った。


 早苗は腰が抜けて立ち上がれない。

クライアの言葉に対しても開いた口が塞がらない様子で返事もできなかった。


 クライアは早苗に歩み寄り、尻もちをついている早苗に無言で手を差し伸べる。


「ありがとう・・・ございます」

 早苗は差し伸べられた手を取り、放心状態で返事をする。



 やばい。 胸が高鳴ってやまない。

私の心臓の音が聞こえるんじゃないかって心配になるくらい。

握った手に凄い勢いで汗が噴き出てくるのがわかる。



「あっ!すみません!」

 早苗は汗を恥ずかしがり、咄嗟に手を離す。


 早苗は命が助かった安心感と、クライアへのドキドキで感情が大混雑していた。

普段冷徹な表情を浮かべる早苗だったが、この時は頬を赤らめ、女性の顔になる。


「なにはともあれ、皆さんが無事で良かったです」

 クライアは全員を見渡してそう言った。


「クライアさんありがとうございます」

 舞は頭を下げてそう言った。


 卓也と瞬太郎はクライアの実力を改めて目の当たりにし、悔しさの感情の方が勝っていた。



 速すぎて見えなかった・・・。

 わかってはいたが実戦でもこれ程とは。

 チートみたいな奴だな・・・。



 くそ!

 あいつばっかりに良い所を持ってかれる!

 腹が立つ・・・!

 もっと強くなりてえ・・!



 そんな中、早苗だけはクライアに対して抱く感情が変わっていった。


 クライアさん・・・好き・・・。

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投稿頻度を週四回で行っています!

投稿する曜日〈 月、火、水、木 〉

※2023/6/19~ 上記曜日に変更してます。


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