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与えられた禁忌の魔術で復讐を ~凛として咲く仇花~  作者: 一ノ瀬 凪
第一章 異世界で芽を出すクロユリ
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14. 不可解な襲撃

「なにこの傷!!なにがあったの!!」

 舞は近くにある布切れなどを使ってサキに応急処置をする。


「教会の宿舎が・・・夜襲されて・・・今も・・・追われて」


「なんで・・・そんな」

 舞はパニックで現状を正確に理解できないが、サキを安全な場所に連れ出さないといけないことは理解できた。


 舞は窓から顔を覗かせ、外の様子をみる。


「・・・・・!!」

そこには松明を持って誰かを追っている様子の追手が三人見えた。


 このままだと、サキの血痕を辿られたらすぐ見つかっちゃう!


舞は窓際からサキの元へと戻り、傷だらけのサキに声を掛ける。


「サキ・・・歩ける?」


「ああ、お陰でなんとか・・・少し休まった」


 なんでこんな事に・・・街で夜襲があるなんて全く予想してなかった・・・。

 サキ・・・酷い傷・・・。

 許せない。 追手は何者?

 いや、そんな事は一旦どうでもいい。

 サキを安全な場所に避難させないと。


「逃げよう・・・!」

 そう言って舞はサキの手を取り、宿の非常口を抜けて外に走り出す。


 教会が襲われたなら教会の方角は危険だ・・・!

でも宮殿も夜は入れないように全ての扉が閉められているし、衛兵も夜は国境にしかいない・・・!

ってことは、国境まで行かなきゃ助けは期待できない・・・!!



 舞とサキは裏口から路地裏を通り、細い道を抜けていく。

路地裏の曲がり角を一つ二つと曲がり、三つ目の角を曲がったところで舞は立ち止まる。


「おいお前ら!!とまれ!!」

 

 曲がった先で追手と鉢合わせてしまった。


 ちっ! 狭い通りなら見つからないと思ってたのに!


 舞は迷路のような路地裏道をサキの力のない小声の指示のもと、右へ左へと走り抜ける。


「フロストウォール・・・」

 サキは氷の魔術で細い道を塞ぎ、追手の足止めをしてくれていた。


「ごめんサキ・・・無理しないでね・・・!」

 舞はサキのか細い詠唱を聞き、魔力が尽き欠けているのを悟る。


 これじゃ時間の問題・・・!

サキの魔術がないとすぐ追いつかれる!

国境まで持つかどうかはかなり怪しい。


くそッ・・・!あたしも魔術が使えれば・・・!!


 舞が動きながら思考を巡らせていると、サキの身体が遂に限界を迎える。


「うっ・・・・」


ドサッ


 サキは体力が尽き、足がもつれて道に倒れ込む。


「サキッ・・・!!」


 舞はサキに駆け寄り、サキの身体を支え起こす。


 サキの息遣いが荒い・・・・。

走りながら魔術を使っていたから体力が限界なんだ。



 サキの身体はうなだれており、全身に全く力が入っていない様子だった。


 あたしが何とかしないと・・・・!


 舞はサキの身体を自分の背中に無理やり乗せていく。

サキは舞に申し訳なさそうな顔をしながら小さく口を開いた。


「ごめん・・・舞」


「あたしの事はいいから背中で休んで!」


 舞はそう言い、おんぶした状態で道を走る。


くっ、もうサキは魔術を使えない。

あたしの足だけで追手を巻かないと・・・!


あたしがサキを守るんだ!!!


----------


「ハア・・・ハア・・・・」


 舞達は国境付近までもう少しという所で追手に囲まれてしまった。


「ごめんな・・・舞・・・こんな事になっちまって」

 サキは傷だらけの身体で舞の背中から呟いた。


「大丈夫。 今度はあたしがサキを守るから。 安心して」

 舞はサキにそう声を掛けたものの、現状は万事休すだ。


「もう逃げられねえぜ」

 賊の男はそう言い、槍と盾を持ってじりじりと近づいてくる。


 どうするあたし・・・どうする・・・!


「フレイム・・・!」

 サキは魔力を振り絞って炎を傭兵に飛ばす。


 しかし、真っ直ぐ放たれた炎は賊の盾によって難なくいなされた。


「甘いぜ。事前に魔術の対策でこいつを支給されてるんだ。

 とはいえ動きにくい分、お前らを追うのは一苦労だったがな」


 賊のその言葉に舞は色々な疑問が浮かぶ。


「あんた達の目的はなに!

 なんで追ってくるの?

 教会の襲撃が目的なんじゃないの?」


「教会の襲撃だあ?そんな目的なんてない。

 俺達はただ依頼をこなすだけだ」


 舞は時間稼ぎで会話の時間を引き延ばそうと質問を続ける。


「依頼?

 誰から何を依頼されてこんなことするの!」


「ハッ、冥途の土産に依頼内容だけ教えてやろう。

 お前の後ろに匿ってるその金髪の女。

 そいつが生きてようが死んでようが構わねぇから連れてこいってことだ」


「・・・・!!」


 

 狙いは最初からサキ・・・?

なんで・・・?

あたしの・・・せい・・・?

あたしが二属性の話をしたからどこからか広まって二属性使いのサキが狙われたってこと?

サキを助ける為だったのにこんなことって・・・。



「じゃあおとなしく死んでくれ」

 

 賊は槍を構えて舞へと向ける。


 サキは遂に諦めがついたかのように舞へと呟く。


「マイ・・・この三日間、人生で一番楽しかった」

 

 舞は耳元で囁かれたその言葉で涙が一気に込み上げる。

自分の力不足を呪い、情けない気持ちと舞を失う想像が胸を締め付ける。



 嫌だ・・・死んでほしくない・・・。

色んな話を聞いてくれて、色んな話をしてくれて、この世界に来てよかったと思わせてくれた・・・あたしの大切な友達・・・。

サキには生きてて欲しい・・・!!

また一緒にあの丘の上の景色を見たい。

一緒にこの世界を見て回りたい。

サキのいない世界なんて、もう考えられない!!


サキは絶対に・・・絶対に死なせないっ!!!!


 ブワッ!!!


 突如、舞とサキを囲うように暴風が巻き起こり、舞の身体から黄緑色のオーラが湧き出る。


「ぬわっ! なんだこの風・・・!」


 重い盾を持った賊たちも思わずよろける。


「サキを・・・サキをやらせはしない!!!」

 舞はキッとした目つきで賊を睨め付け、両手を賊にむける。


「全てをなぎ倒す狂風・インサニティハリケーン!!」


 そう舞が唱えると、高密度の強風が両手から弾け飛び、賊はとんでもない勢いで後ろに吹っ飛ばされた。


「ぐわああああああ!!!」


 目の前で一人の賊が吹き飛ばされ、他の賊も怖気づく。


「・・・やばい・・・死ぬ死ぬ死ぬ!!」


「こんなレベルの魔術、防げる訳ないだろ・・・俺は逃げるぞ!!」


 怖気づいた賊達はたちまち装備を捨てて逃げ去った。

舞は賊が逃げ去るのを睨みを利かせて見送る。


 ヒュン


 舞の身体からオーラが消え去り、舞は膝から崩れるように地面に膝をついた。

同時に背中に乗っていたサキも地面に尻もちをついた。


ハァ・・・ハァ・・・。

なに・・・今の・・・。


 凄い力が湧き出てきた。


「マイ・・・!なんだ今の魔術!!強すぎるだろ!!」


 サキは目の前で起きたことに目を丸くして驚愕していた。


 魔術・・・。

そうか・・・覚醒したんだ・・・!!


でもそれ以上に・・・


「サキ・・・生きてて良かった・・・!」

 舞はサキに抱き着き、堪えてた涙が決壊したダムのように溢れ出た。


「おいおい・・・ありがとな・・・舞」

 サキは抱き着く舞の頭を優しく撫でる。


 すると背中側から傭兵の呻き声が聞こえてくる。


「ぐっ・・・痛てぇ・・・」


 舞の覚醒した魔術を食らった一人の賊は吹っ飛んだ先の噴水広場でうずくまっていた。

どうやら骨が折れたようで自分では動けないようだった。


 そうだ!

あいつに今回の真相を問いたださないと・・・!


舞はそう思い、サキを路地裏の壁に寄りかかるように座らせる。


「サキ。 サキはまだ怪我が酷いからここで休んでて。

 あたしはあいつに今回の件の話を聞きにいく」


 そう言い残し、舞は倒れこんでいる男の方へ向かった。

そして男の前で仁王立ちし、舞は右の手の平を賊へと向ける。


「ねえ。死にたくなかったら今回の依頼が誰の依頼なのか答えて」


 舞はいつでも魔術が発動できるような雰囲気を出し、賊を脅す。


「・・・やめろ・・・話す・・・話すから」

 賊は惨めな姿で狼狽えながらそう言った。



 こいつら・・・絶対に許さない・・・。

サキをもう二度と危険な目に遭わせてなるものか。

裏で誰が糸を引いていたのか必ず吐かせてやる。



「ただ・・・聞かなかった方が良かったと思うぜ・・・。

 へへ・・・今回の件を依頼したのはな、し――


 ヒュン ズシャ!


 一瞬過ぎて何が起きたのか舞は理解が追いつかなかった。

分かったのは、突然目の前で男は血しぶきを上げて絶命したという事だ。

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※2023/6/19~ 上記曜日に変更してます。


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