13. 本当の友達
「・・・なるほど、話はわかりました」
顎鬚を触りながら、玉風の国の訓練官は答える。
「・・・どうですか?」
舞は顔色を伺いながら話す。
「舞様のお話が本当なら、炎と氷の二属性を扱えるというのは
個人的には大変興味深いですし、貧民街にそのような人材が埋もれてるのは
嘆かわしいと感じています。しかし、流石に職に困ってるからといって
飛び級で王国直下に配属と言うのは中々難しい話です」
訓練官は率直な見解を話した。
「・・・なにか手はありませんか」
舞はサキを救いたい一心で食い下がる。
「王国への配属は無理として、民間の職業の場合は
その二属性の力が本当の場合、逆に民を困惑させてしまう可能性もあるので
その話を聞いてしまった以上、斡旋は出来かねます。
ただ・・・・」
「ただ?」
舞は訓練官の顔を下から覗き見て聞いた。
「もしかしたら四神教の教会でしたら修道女として働くのは可能かもしれません」
「本当ですか!!」
舞は満面の笑顔で飛び跳ねる。
「勿論、確定ではございませんよ!あくまで可能性の話です!
ぬか喜びになってしまったら大変申し訳ありませんが
私の方で司祭に明日話をしてみます」
「ありがとうございます!」
舞は勢いよく頭を下げ、その後、サキのいる宿泊施設に戻った。
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舞はサキの待つ部屋に戻り次第、サキに訓練官と話した内容を掻い摘んで話をした。
「まじか・・・!」
サキは驚きを隠せない表情を浮かべる。
「まだ可能性が出来ただけだけどね!」
舞は期待させ過ぎては可哀想と感じ、訓練官の言葉を借りてそう言う。
「それだけでも全然ありがてえよ・・・。
本当に色々とありがとな、舞」
サキは申し訳なさそうにお礼を口にする。
でも訓練官の言う通りまだ確定ではない。
あたしも動けるところは全部動いていかないと。
「じゃあ今日は遅いし、もう寝よっか!」
「おう!こんなフカフカの場所で寝れるなんて最高過ぎだろ!」
「ハハッ!きっとぐっすり眠れるよ!じゃあおやすみ。」
舞が明かりを消し、二人は笑みを浮かべたまま目を瞑る。
教会で働けたらサキも修道女かあ。
サキが修道女の服着たらかわいいだろうなあ。
修道女姿のサキを見るためにもあたしが頑張らないと!
舞は不純な感情も含まれてるが、サキの為にも気合いを入れ直して眠りについた。
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翌日、舞はサキの為に宿を一泊延長し、午後からは宿にサキを残し、宮殿へと足を運んでいた。
「司祭さんとのお話はどうでした!」
舞は訓練官に会うや否や第一声でそう聞く。
「おお舞様。早速いらしたのですね。
本日早朝に司祭とのお話は済みましたよ。
司祭が明日お時間が取れるそうなので、そこでサキさんと直接話すとの事です。
教会近くにある宿舎を御貸しするので本日はそちらでお休みになって下さいと」
「わざわざ宿舎まで貸してくれるんですね!脈ありっぽいですね!」
舞は好感触な雰囲気を感じた。
「そうですね、脈ありかどうかは・・・どうなんでしょう。
私も司祭と話す機会はそこまで多くないのですが
ちょっと変わった方なので読めないんですよね」
訓練官は表情を曇らせてそう答えた。
「教会の人ってそんなイメージありますけどね!
あとは雇ってもらえるのを祈るだけですよ!」
舞はそれを真に受けず、ポジティブに捉える。
そして一刻も早くサキに報告したい気持ちが先走り、すぐさまその場を後にして宿へと戻っていった。
よしよし、今の所順調だ!
あとはサキと一緒にいれるうちに言葉遣いとか教えてあげて
司祭との面談に失礼がないようにしてあげよう!
―――
「・・・・・・・・以上です」
サキは舞の指導のもと、時間ぎりぎり一杯まで丁寧な言葉の練習をしていた。
「よし、良い感じ!だいぶ良くなったよ!」
「マジか!よっしゃあー!いけそうな気がしてきた!」
サキは腕を振り上げ自信満々な様子だ。
実際サキは見違えるほど綺麗な言葉を使えるようになった。
「それじゃあそろそろ教会の宿舎にいこっか!送ってあげる!」
「でもこの宿一泊延長したんだろ?勿体無くね?」
「あ!忘れてた!
・・・・折角だから宮殿とも近いしあたしが代わりに泊まる事にする!」
「おーそうか!
もう明日からは宮殿に戻るんだろ?
次はいつ会えるんだ?」
「七日間は勉強だから・・・八日後だね!」
「じゃあ次会うときには修道女になってやるぜ!
結果楽しみにしててくれ!」
次の会う約束も取り決め、舞はサキを宿舎に送り届けて無駄に延長してしまった宿に戻ってきた。
サキ大丈夫かなあ。
うまくいけばいいなあ。
八日後、会えるのが楽しみだな・・・。
サキとは本当に心からの友達になれた気がする。
・・・早苗達とは本当の友達なのかな。
もしかしたら学校で上位のグループに居たいっていうあたしの願望で一緒にいただけなのかもしれない・・・。
もうこの世界では大勢の同級生からの目を気にする必要なんてないもん。
だからこそ気付いたことなのかな。
・・・いやだからといって早苗達と離れることはできないし。
卓也は唐突にイケメンな事言うからちょっと意識しちゃうし。
瞬太郎は・・・気遣い無しで話せるアホな奴。
でも、サキとも一緒に居たい。
けど修行を終えたらこの国からも離れなきゃいけない。
この事もサキに言わないといけないなあ。
億劫になる・・・。
・・・あ・・・でも魔物たちを倒し終わったらあたしはこの国に配属されるじゃん!!
そしたら早苗達とはバラバラになるけどサキはこの国に居るんだ!
一緒に居れる!
・・・そういう人生も悪くないかも。
その時にはあたしが勇者だってことをカミングアウトしよっかな!
舞は早苗達との付き合い以上に、サキとの関係に心地よさを感じ始めた自分に気づいた。
舞はその複雑なモヤモヤした気持ちのまま眠りについた。
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その深夜、街も眠りについて明かりも灯らない時間。
ドンっ!!
「・・・・・!!」
舞は突然の音に夜中に飛び起きた。
だれか、ドアを破って入ってきた・・・?
舞は入口の様子を確認する為にベッドからそっと降りる。
足音を立てないように忍び足でゆっくりと動き、入り口の方を覗く。
「・・・・!!」
舞は目を見開き、胸が一気にぐっと苦しくなる感覚になる。
舞の目線の先には切り傷や打撲などの負傷で血を垂らすサキがいたからだ。
「サキ!!!」
舞は叫び、サキの方へと駆け寄っていく。
「・・・・・マイ・・・」
目が半開きになり、満身創痍のサキは力なく呟いた。
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