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にゅーA世代の乙女たち。 Z世代は終わりを迎え、大きいは希少となった。

Z世代の終わり。

それは突然の現象に於いて訪れた。


にゅーA世代。

世間では女子の大胸筋が最近育たないと、そういう噂から始まり騒ぎが大きくなったため政府が動き調べた結果。


それらは事実であった。


理由は解らないが、胸が小さい女性しか生まれなくなっていた。

いや、確率では生まれる事もあった。その確率、実に三毛猫のオスと同じ。



凡そ3万分の1。



巨乳、胸が大きい女性は希少な存在となった。みな、A止まり。


そんな昨今。

貧乳が当たり前の世界。


彼女の昨日までもそれはそう。周囲と同じつつましやかな生活を送っていた。

今日も特別何事も無い日常。そうなる筈だったのだが…………。




私、今川弥希。

昨日寝る前に、ほにゃららー動画とかそんな感じのかなり昔の動画サイトで育乳について説明されていたんだ。


何の気なしに、まぁ試しにやってみるか……ぐらいの感じで試してみたの。


そしたらね数日後、私の大胸筋はだーい。きょーお。きーん。ってぐらいにたわわに育っていたんだ。

始めは何か、圧迫を感じただけだった。何か、寝苦しい気が毎日してね。


まぁでももう朝だよね。

目覚まし時計よりも早く起きた私。

そんな私は違和感を直ぐに感じた。


「……あれれ?」


むっ、胸が……大きくなってる?

こ、コレは…………うは凄い。


いやでもおっも……。


当然今までのブラではソレは入らないし支えられない。

でも時間が無い。どうしようもう行かないと学校に遅れてしまうよ。



うーん。うーん。悩んだ私は思いついた。

何かで見たことがある知識。


布を巻くと良いんじゃない!

大きさも隠せるし、抑えられるし。

と、とりあえず他に思いつくまでコレで行こう!



って思ったけど、そんな都合の良い布は家には存在しなかった。

学校終わったら、買いに行こう。


あーもう、何で親がいない時にこんな事になっちゃったのよー。

……両親は今、温泉旅行に出かけていて家には誰もいない。


いや、いるのだけど……。

唯一の兄妹であるお兄ちゃんは残念ながら引き籠もっている。


もう顔、半年以上は見ていない。

兄が部屋で何をしているのかは解らないが、宅配のダンボールが日に2個とか届く為、生きていることは生きているみたいだった。


偶に部屋からも出てくる。

だけど顔は見ていない。


そうなのだ。何か、変なアニメとかの美少女キャラのお面を被っているのだ。

もう見た目は我が兄ながら変質者のソレ。


この前は家の廊下でバッタリと会った時「ヒッ…………」と小さい悲鳴を上げたら頭を撫でられた。


もう恐怖しか無い。

昔は優しいし格好も良い兄だったのだけどなぁ。


しかし、そんな兄に対し、両親は放っておいている。

何故ならば、金銭的には自立しているみたいなのだ。

家に毎月お金も入れている。唯、お面を被っているだけと。



私は世間一般で言う所の『引き籠もり』って言葉の意味を見失いかけた。


だけど今、家にはそんな兄しかいない。

それで私は今とても困っている。


試しにタオルを巻いたんだけど生地が少し厚いし長さが短い。

コレでは巻けないし兄に強く巻いてなんてとても頼めない。


どうしたものか……。今日は学校の中間テストの日なのにぃ。


時間ももう限りなく少ない。というか無いよ「むーん……むーん……」と私はリビングで悩んでいた。

あ、とりあえず落ち着いてトイレでも行こうと思いトイレのドアを開けようとした時にドアが開いた。


「キャッ……」


ビックリして床に尻餅を付く私。

そんな私を見ている美少女…………のお面を被っている誰か、というか兄。


表情は勿論お面で見えないケド何時もよりも顔を? 何かを見られている気がした。

咄嗟に、本能で床に付いている手で胸を隠した私。何故ならば、上半身は何も身につけていなかった。





急いでいたのと家でここ最近…………結構な日数は出会っていなかったので油断をしてしまった。



「……………………みっ、見た?」

「…………………………………………」



私の問いかけに何となく狼狽えている美少女仮面(兄)。

その瞬間、あり得ないタイミングで兄のお面が外れ落ちた。と同時に兄は私の上空をジャンプしてそのまま逃げるように二階へと行ってしまった。


残されたのは美少女のお面と困っている私、あっ、とりあえずおトイレ行かないと!




「ふぅ…………」

トイレから出た私。スッキリはしたけど何も解決はしていない。

残された時間は10分も無い。もう行かないとねな時間帯。


「あっ……」と思いとりあえずTシャツだけ着ないとと廊下を歩く。

片手で隠しきれない胸を何となく押さえてもう片方の手はつい拾ってしまった美少女のお面。


そして階段を登った先には誰かが居た。

というか、この家には私と兄しか今いないから兄がいることになる。


見上げるように顔を見ると違う美少女のお面を被っていた兄に半分手ぶらで胸を隠しながら階段を登りきった私という構図。



兄の手には何か布のようなもの。

その手を私へと差し出している。


「ほら、取れよ」という感じで差し出されている布。

兄は喋らない。


私は恐る恐るお面を持つ手を伸ばしてその布を掴むと同時にお面を取られた。

まぁ、お面はそもそも兄のだ。


その兄の差し出した布を片手で広げるとそれは唯のTシャツだった。

………………ああ、そうか。単に着ろと。


そして兄は部屋へと戻る。


そんな兄の後ろ姿をみて、すかざず渡されたTシャツをパパッと着て兄に声を掛けた。

「お兄ちゃん、助けて欲しい」と。




時間が無いの、直ぐにリビングに来てと話し、階段を降りる私とほんの少し間を開けてから降りてきてくれている兄。


私はリビングのソファーへ座り兄が正面にいる。

今日の兄は少しダボダボの服を着ていて分かり辛いけれども兄はガタイが少し良い。


兄は凝り性で一時期、筋トレに嵌まっていて私に「なっ、ちょまっちょになっただろ?」

とかちょっとマッチョを略して私に話しかける事が偶にあった。


でも、兄は段々私へと話す事が少なくなっていった。

兄が最後に私へと話した言葉は確か「ちょま」だった。


そのガタイの良さに美少女のお面。

外に出たら先ず捕まる。私なら普通に見逃さない。


そんな変態な兄に私は助けを求めた。

……兄は正面のソファーへ座り、私の言葉を待っている。


私は時間が無いのを思い出し兄に話した。

「……あのね、何故かね、突然なんだけど胸が大きくなったの。外や、学校でバレたら多分大変な事になるから助けて欲しい」


と私は兄に恥ずかしがりながら、胸を張って話した。


後5分ぐらいしか時間は無い。




兄は私の話を聞いた後、指を頭にトントンとしていた。

何かに対し考えてくれている時の兄のポーズだ。


ダボダボの服の腕の部分は肉が落ちたのか細めの腕が見える。

私は胸を張る様に兄に見せつけている、いや、見せている。


兄は突然ハッと何かを思いだした様に「ちょま」と話し何処かへと行ってしまった。


ハァー…………。どおしよ。もう時間も無い。でもこのまま学校へ行ったら間違いなく大変な事になる。一日中、猫背とかで乗り切れるかなぁ……。


トトトトトトと音がして兄がリビングに顔を出した。……お面だけど。

そして兄が私へと何かを投げた。


反射で私はソレを上手く掴んだ。

反射神経は意外に良い方で掴んだ物を見てみるとそれは白くて長い包帯だった。





「行ってきます! ……ありがとうお兄ちゃん」


と玄関で私を見送るまっちょな美少女だけど兄。

兄は親指を立てて私を見送った。


駅まで自転車15分程。私は急いで自転車を漕ぐ。


胸を気にしながら結構必死に自転車を漕ぐ。

包帯に大事に守られている私のたわわになってしまった両胸はちょっぴり苦しそうだけど、とりあえずは大丈夫そうだった。


しかし、かなり強く巻いたので中々に圧迫されている為か結構息は苦しい。




駅近くの月極の自転車置き場へ自転車を置いて急いだ。

何歩かに1回から数分に1回と胸を確認する回数も慣れと同時に減った。

だけど、この包帯が頑張るのを止めたらどうなるか……。

想像しただけで恐ろしい。



それ位に大きい胸の女性はいなかった。



思うに確率3万分の1。

それってそうそう出会えない確率かしら。おおよそ3万人に1人の割合なんだ。


今は生まれた時にある程度解ってしまう世の中で、生まれた子が将来胸が大きくなるかなども『ある程度』は解ってしまう筈だった。


けれども私は数日間のトレーニングでこんなにも大きくなってしまった。


まぁ別に……悪い訳では無いのだけれど……恐らく目立つ。

悪目立ちという言葉もあるし、問題にもなってしまうかも。


学校へ急ぐ私。

でもすれ違う人や、満員電車の人の目はとても気になった。

気が気でいられない程にはもうドキドキ。



同じく学生も多いけど圧倒的にサラリーマンの男性が多い満員電車。

年齢は様々だろうか。


電車というのは結構揺れる。

あらかじめ、その路線に依って揺れるポイントとかも存在し、電車に乗り慣れてくると、ソロソロ来るっ、ていう感じでどれ位の揺れが来るとかも覚えてしまう。なので、ソロソロという時に体重を掛ける方向もある程度は決まっていて、今日も身体が勝手に慣れている方向へと重みを掛けた。


その時に何故か、別の方向からの重みが来たて瞬時に対応出来ずに隣のサラリーマンの男性の腕に少し、ほんの少しだけ、私の抑えられているであろう胸が当たった。


あ、わわわっ。


ヤバって思ったけどもう事後。

私はその人の顔を見られないし当たりに行ったのは電車の揺れがあったとは言え私の方なのだ。


そう言うのでも無いんですゴメンナサイとばかりに私は少しだけ身体を動かし、空間、隙間のある方向へと逃げた。はぁ。早く……人減らないかなぁ。


息苦しい。しかも色んな臭いがまじって結構な感じで混沌と化しているのが満員電車。


ここ数年、ウイルスが流行し皆マスクをするのが当たり前の世の中へと変貌した。

その後、数年かかりウイルスの落ち着きと共にマスクを外そう、外しても良いですよという動きが社会全体で起こるが、習慣や依存、周囲を気にする余り中々外せない、外すのに抵抗がある人も一定数は存在していた。


結局、外す人と外さない人。

個人の裁量、行く所に依るなどの分かれた対応を求められた。


私もこの胸が突然大きくなるというのが何かの病気だったらとも思わずにいられなかったケド、今の所は変な痛みも何も無い。


少し、敏感になった気がするけど、まだ良く解らない。


なるべく刺激は与えないように、今日は特にひっそりと1日を過ごしたい。

これ以上は誰にもバレたくない。



そんな気持ちのまま学校へと向かった。

今日テストなのになぁ。


はぁーあ。

ギリギリまで勉強したかったけどもう今日はそんなメンタルでは無いよ。


でもでも今の所は何とかなっている。

さっきも兄に助けて貰えなかったら今の自分は此処には居ない。


あーでも久々に兄を見たなぁ……最後に見たのというか、どれ位振りだろう、兄を見たの。


何か……全体的に大分痩せたのかしら、まぁでも引き籠もっていればそうなるわよね。

今朝少し見えた腕が結構細かった気がした。

んー。相変わらず話しもしてくれないし。


あ、でも「ちょま」って言ってくれてたね。アレもう口癖だよね、あはは。




クラスの席に着いて今日のテストの順番を黒板を見て確認していたら後ろから、背中をツンツンとつつかれた。


振り向くと「おっはよぉー」とクラスメートのよみちゃんこと笹川夜美が今日も元気そうだった。



「おはよみー。今日も元気だねー」

「昨日もよっく寝たし。そりゃー元気だよー」


「良く寝たのか、今日テストだよ?」

「だってテスト中に眠くなったら困るでしょー」


「……それは天才のソレ。お主、天才じゃったか!」

「おうよ。いやでも今日は苦手教科しか無いから鉛筆転がすの」


「あはは。本当に転がしている人、見たこと無いよ」

「音が鳴るだろうね。コロコロと……」

「だよねー」

「あれ……やきちゃん今日何か…………何時もと違うね」


「……………………そ、そう? ソンなこと無いでしょ! あ、才女に見える? ふふ」

「嫌々、私の知っているやきちゃんはそうでも無いぐらいなんだけどなぁー」


「そうでも無いって、言い方よ」

「うーん…………何処が違うんだろうなぁ? なんとなく暖かみを感じるというかーんー何だろうなぁ」


「…………き、気のせい気のせい! あ、もう時間だね。頑張ろうね、テスト」

「うん、一緒に赤点とろうぜ!」

「嫌じゃー」



……危ない危ない。流石に何時もの私を知っている人には気付かれちゃう……。

一夜にしてだと違和感しか無いかも。


……上手く誤魔化さないとなぁ。


この学校で、私の知る限り胸が大きい子は誰もいない。

女子の生徒だけでも2、300人ぐらいはいる筈なんだけどね。


今の私は結構バインバインなのだよ……バレたら途轍もなく目立つ……。

ど、どおしよ……………………。


「はいー。これからテスト始めます」

うーん、1時限目は数学。集中しないと。





 ◇◇◇◇





「はい。そこまで! ……では回収しますので持って来て下さい」


…………こんなもんかなぁ。

多分、赤点は回避出来てるけど、微妙な出来映えだなぁ。


集中してたら、胸の圧迫は余り気にならなかったけどやっぱ締め付けられてる感が気になるよね。

少し息苦しいし。ああ開放されたい。



「やきちゃーテストどうだったー」

「んん、あぁ、まぁまぁかな。うん、何とかね」


「……ぐぬぬ。わっ、私もまぁまぁだけど赤点ラインをギリギリ越えてるかどうかのまぁまぁなのに」

「……それはまぁまぁと無理に言わなくても」


「ママぁー」

「ままちゃうし……」


「いや、何だか今日のやきちゃん。おかぁさんみたいなんだよね」

「……………………」



1つ前の世代はZ世代だったらしい。にゅーA世代前なのだ。

Z世代ではそれなりの若者が現れ、世間を賑わせていたらしい。

もう――年以上前の事だ。私も生まれていない。その当時は胸の大きさは皆それぞれ。

大きい方が喜ばれたとかなんとか。……でも当時はその程度の話し。


今は――――――――殆ど生まれないのだ。

凄く小さな確率でしか。


政府が特別の人工知能を使って調べた結果、νaトロンという物質が関わっているという報告がされた。

そこから始まった、にゅーA世代。


ある意味で私は一夜にして母になった様なものだ。

とか飛躍した思考が少し面白いと思ったけど周囲にバレるのは、誰かにバレたり見られたりするのは恐ろしかった。


うちの母親も小さい。

だから遺伝とかも考えられない。


今朝多分、兄に見られたケド。

……うっ。


考えたら落ち込んだけど身内というか、兄妹セーフ的な所で納めておかないと恥ずかしいし私のメンタルが保たない。


「次は現国だねー」

「ん。あぁ…………そうだねー」


「つ、次こそ赤点回避神回避。頑張るぞーおー!」

「そうだねー」


私の頭は忙しかった。

そして気が付いたらテストは始まっていて残り20分とかになっていた。

ギャー。急げー。ボーッとして遊んじゃったよおー。



「はい。そこまでー」


ふぅー。時間ギリギリー。もう少し考えれば出来た問題も幾つかあったなぁー。

あー。余計なこと考えて時間、損しちゃったよう。


後10点ぐらい違ったかもなぁ。

残念。あーあせったケド何とかなったかな。あれれ?



「おーい。よみちゃん生きてるかー」

「…………燃え尽きたんだよお」


「尽きちゃー駄目でしょ。今日はあと1個あるよ」

「うー。結構難しかったよー。あ、やきちゃん。あの問題、あの漢字なんて読むの?」


「え? 何問目?」

「いやあの入るに国じゃなくて玉ってやつ」


「ああ、にゅうぎょくね。いりたまでは無いよ?」

「…………ですよねー。ああおなかすいたー」


午前中のテストは終わり、午後に世界史がある。

もう少しで今日も終わり。ふぅー。


「ご飯食べよっか……ってあ、今日何も持ってきてないから購買行ってくるね」

「ふぇ。珍しいね、やきちゃんが持ってこないの」


「いやー今日遅刻ギリギリでねー何も用意出来なかったんだ。ちょっと買ってくるね。あ、何だったら先食べててー」


「ういういおー。お先してるね」


クラスから廊下に出る所で担任の先生に声を掛けられ、放課後、少し荷物を移動するのとかを手伝って欲しいと頼まれた。


うう、こんな日に限ってあるあるだけど仕方が無いよ。

解りましたと返答した。


いっそよみちゃん巻き込んじゃおうかしらとか考えながら購買へと向かう。

やっぱ購買は込んでいて、もう品物も限られてきていたけどパンを2個。


あんパンだと思った? うぐいすパンでしたーというパンと1000本勝負という総菜パンが買えた。


飲み物は製品名「大きくなぁれ」というこの世代の女子に喧嘩を売っているとしか思えない牛乳を買ってクラスへと戻る。


もう私は大きいんだよ…………とか少し複雑な心境になった。


でも人混みは少し怖いね。身体が少なからず揉まれる状態になったし。

でも取りあえずは大丈夫だった。

良かった良かった。と、この時の私は思っていた。


しかし実際は、その縛られた拘束はその状態を保つのが限界だった。

そんな状態に気が付かない私は美味しそうなパンを買えてニコニコしていた。



「ただまーよみち」

「おかおかやきち、購買は混んでいたかい?」


「うんうん。すごーく混んでいたよん」

「デスよねー。だから私は来る前にコンビニとか前日にスーパーで購入が最近はデフォ」


「今朝は忙しかったのだよー。でも美味しそなパン買えたから良きなのだ」

「あはは、本トだ。最近の食べ物ネーミングセンスが変だよね」


「だよねー。あ、さっき担任のののりちゃんに放課後手伝ってって頼まれたんだけどよみちゃんも手伝ってよ」


「あーうー。今日は急ぎがあるから無理なのだーゴメンねい」


「くはー残念おけおけ。泣きながら頑張るよう」

「…………うーん。今日感じるやきちゃんの母性は何なんだろうなぁー。今週末最大の謎爆誕だよ」

「もう少し大したことにしてもいいんやでー。いや良くないか、ようわからにゃーの」


結構よみちゃんは鋭い。

今の私は隠しものをしているんだ。でも朝より窮屈さを感じなくなったね。

以外にイケるな、コレ。


ホント兄に相談して良かった。

アレがなかったら今日テスト受けられなかったかもまであるし。うんうんせふせふ。




……次の時間のテストもあっという間に終わり、放課後。

さて、のののりちゃん先生に頼まれた事をしないと。


頼まれたことは3つ。

ゴミ捨てと資料を運ぶのと視聴覚室のカギを閉めること。


30分ぐらいで終わるかなぁ。

うーん。資料次第だよねー。

今週は日直だから仕方がないか。


ゴミは理科室にあって結構両腕一杯にして頑張って持てば1回で済みそうだった。

うーん。頑張りますか、うん。では外の焼却場まで運びに行こっと。


此処から外の焼却炉まで結構あるなぁ……少し前が見えにくい所が問題だよね。

あとバッグ持ってこなければ良かった。


終わったら教室に寄らずにそのまま帰ろうとした結果、バッグが邪魔になった。

仕方が無い。肩でしょって荷物を前に……。


そんなにゴミは重くないけれどダンボール箱1個まるまるで前に抱えると前が見えにくい。


な、なんとか歩けるとは思うケド……。外へ出てなるべく端っこを歩いていたら上から水が振ってきた。

というか水を被った。バシャッと。



「……………………」



荷物を下に置いて上を向くと「あっあっ、ご、ごめんなさーい……バケツの水こぼしちゃってー」

と知らない人が上から話している。


「だ、大丈夫ですかー」

「な…………なんとか大丈夫です」


そう答え、持っていた荷物を下ろして上着を脱いだ所で背中に「ポン」と何かが当たった。


「あー。ゴメンゴメン」


振り向くと野球部の人が大きな声で謝りながら走って私に向かってくる。

立て続けに酷い目に遭っている私に更なる出来事が。


スルスルスルスル…………包帯は私の胸を離れ地面に落ちた。

そう。背中のテープ止めが拍子に外れてしまった。


「わっわっ……」


私の包帯という拘束具が解き放たれてしまった。

結構キツめに巻いていたのが失敗だった様で……。


下を覗くとそれはもうアレでした。脳内には壮大なBGMが鳴っている。



――――そんな私の現状。


更には先程上着も脱いでいたので薄着が拍車を掛けるが如くコレもうエッ――――――――



しかも更には水がしたたっている良い女の私。





時が止まったかの様に目の前の野球少年に思いっきり胸の部分を見られている。


「うはっ……………………」


その後、素早い動きで直ぐに包帯を回収。

何故か鼻血を出してうはうは言っている野球少年を背にし、一目差に近くの草むらへと逃げたのだけど少年が騒いだのか人を呼んだ様で人がわらわらと集まりだした。


ど、どうしようコレ。

草むらに隠れつつもう心臓ドキドキでバクバクしながら人が集まりだした方を見ていると既に10人以上が来ていた。



「今なんかさ、凄い胸の大きい子がいたんだけど!」

「…………マジかよ。そんなの都市伝説か……いや、何か中に入れてたんじゃね」


「マジか、あの巨乳って奴だろ伝説の……」

「そうそう、三毛のオスと同じ位っていうレア中のレア」


「えーそんな女子、この学校にいたっけ?」

「そんなんいたら目立つだろ、普通に……」


「だよな、レア度SSSじゃねーか」

「いやマジで凄かったって! しかもこう……水がしたたってさ! おっと鼻血が……」


どどどど、どうしよう……このまま逃げるにもこの草むらを出ないと逃げられない。

何か、何か無いの? 顔を隠すものとか……あーん、もう、どうしよー。



お兄ちゃんたすけて!



何か無いの、何か何かとバッグの中を手探りで探す私が手にした物にビックリした。

え…………何でコレが此処に。




――――――――――よし。息をたっぷりと吸ってタイミングを計る。



「それで何処に行ったんだよそのSSS級美少女はよ」

「いねーじゃねーか。お前幻でも見てたんじゃね?」


「そんなの二次元にしかいないだろ」

「いやいやその草むらに逃げてさ――――――――」


――――――――――――――――――――――――――――――――ザッ。




っと颯爽に草むらから飛び出る私。




「お、出て来たって…………え?」

「おわ……ホントだ、あの膨らみは…………マジもんじゃ――――」


「おおー。凄ぇーマジかよ!」

「俺、昔の動画以外で始めて見たよ、あんなデカイの」


「いやいやお前ら…………あの仮面の方気にしてやれよ……あっ逃げた」

「何かのキャラクターのお面被ってたな。あのSSS級美少女」


「あのお面も美少女キャラじゃね?」

「おい! 追うぞ! 写真部! 写真撮ったか?」

「もち……撮れたはず!」




急げ急げ! 逃げろ逃げろ……何処へ逃げよう――――――――あ、あそこに一旦待避しよう。





…………私が一旦逃げた先は視聴覚室だった。カギは私が持っているし。

…………多分、此処へ入った事は誰にも見られてないはず。


あーもうどおしよーコレ。

下を見るとたわわすぎる大胸筋が格調高く張っている。たぽたぽ。


包帯はあるケド…………テープとか無いかしら。

視聴覚室を探したら普通のセロハンテープがあった。

こ、これで抑えて補強すればいけるかな?

少しひんやりとした視聴覚室に私はひとり。



……結構な人数に見られちゃったかなぁ。少しは距離あったけど……。

いや、駄目だろうなぁ。バレたよね。思いっきり。


ハァー。取りあえず巻いてから次だね。

あぁーしかもゴミとかどおしよ。


一旦は時間を置いて、資料を運んでからゴミを見に行こう。




濡れてしまっていた制服の上着をハンカチで何とか乾かしてから着込む。

多分大丈夫! 外したお面に「助けてくれてありがとう」と言いバッグへしまった。

資料を持ち教室へと周りを気にしながら向かった。



その後、犯人が現場へと戻るようにゴミを見に行くとそこは綺麗に掃除されていて人も誰もいなかった。

心の中でかたづけてくれた誰かに謝ってから家に帰る事にした。






「…………あーもう、今日は最悪だった」

と独り言を誰も周りにいない事を確認してから話して家へと辿り着く。


ポストを覗くと親からの手紙が入っていた。

……うーん、何故葉書?


裏を見ると両親が何処かの外国での風景と共に写り「当分帰らないから、そのつもりでよろしくねー」

という言葉が書いてあった「……何なのよ一体もう」


ああもうこれ以上問題を増やさないでーと思いつつも玄関のカギを開けた。



家になんとか辿り着きリビングのソファーに着地。ほっと一息を付くとテーブルにコップが置かれた。

……色からしてオレンジジュースかしら。


ふとコップを置いた人物を見上げると美少女のお面を被っていない美少女がいた。



「ちょま……いや、おか…………えり」

「…………………………………………誰!」



目の前の兄では無い美少女は一体どんな兄なんだろうか?

いや本当に兄なのか?


はたまた全然知らない人だったり?




次の日学校へ行くと美少女のお面を被ったSSS級美少女の写真!

という題目で、この彼女を探せ! 『WHO IS SHE』


とお知らせ掲示板に貼ってあって、学校中の話題になっていた。

私の胸は大っきいまんまだし。更なる問題が積み上がってゆく今日この頃だった。

今日はエイプリルフールという事ですが、今日仕事がお休みの私は誰にも会わない。

つまり嘘を誰かにつけない。


というコトで私も一言『この物語は続きます』




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