明美と優喜
斎藤明美、優とは血が繋がってはないが、同じ苗字である。地元で有名な名物おばさんが、明美である。オバサンって言っても綺麗な見た目であるし、年齢は40代だが、そう見えない不思議な人で色々と相談に乗ってくれたりする優しいお姉さんである。優が子供の頃、優が毎日家に帰っても親が仕事でいない日が多く、鍵を紐に通した物を、首からぶら下げる様にして、ネックレスの様にしていた。食事などの生活必需品は、親戚のオバサンが月に一度買い出ししてくれていた。夜遅くまで、外で過ごす事が多かった優は、近所から、あの子は捨て子だから、親に愛されていないとか、不倫相手との子供だからほったらかしなのだとか色々噂されていた。この日も夜遅くまで、神社の境内を一人遊びしていた。ところが、この日だけは違った。夜の神社は、とても静かで木々に囲まれているので、世界から隔離されたような空間であった。優がふと視線を感じて目を向けると、こっちをジッと見ている女の人がいた。外は真っ暗で、街灯もないから、良く見えないけど、髪の長い女の人が影のように見えた。なにか用事があるのかな?と思ってその女の人を見つめていたら、近くまで来た感じがした。あれ・・・おかしい・・さっきまで遠くにいたのにワープしたみたいに、一瞬消えたみたいな感じだったけど・・・とおもっている内に優から、5メートルぐらいまで来ていた。その姿は異様で、全身白い服を着て顔は下を向き、空を浮遊していたのだった。優は正体不明の未知な人が怖くて、腰を抜かした。怖くて恐くて、声もでなかった。そのときその女の人は、こちらを覗きこむような姿勢で優の目をジッと視た。眼球の白い所がない真っ黒な目で、なにか炎の様な物が映っていた。必死に逃げないと思い、足がもつれるように、コケる様な形で走りだした。あれは、ヤバイって思い走りながら一瞬後ろを振り返ると、宙に浮かびながら、両足を揃えて追ってくる。このままでは、自分の家の鍵を開けている間に捕まると思っていた。その時、明かりが着いた家が、近くにあったので、息も切れ切れながら、その家に飛び込んだ。そこは近所の子供塾をしている人の家だった。慌てて息も切れ切れで、「た、た助けて~」と叫びながら行くと、玄関近くに、うなされた女の人が寝ていた。怖くてその人を揺すって起こすと、「邪悪なものが、玄関に入って来ようとしている。とても力が強い」と言い玄関の扉を抑えに行った。「君は、とても良くないものを連れてきたようだね。」そうしてその女の人はお経や、呪文みたいな言葉を、何度も唱えはじめた。「般若波羅蜜多~」そうすると、優を追ってきた奴は、はじめは、ものすごい形相で鬼のように怒り狂った顔で玄関の扉に張り付くようにいたが、次第と落ち着いたみたいで、どこかに消えていった。優はその女の人に「ありがとう・・。」「・・ごめんなさい。」って伝えた。ここに来るまでの事をこと細やかに喋った。そうすると女の人は、怒りもせずに、興味深そうにこちらを見ていた。「私は明美だ。」「君の名は?」「斎藤優喜です。」「あの・・勝手に家に入ってすみませんでした。」「斎藤って近所の家のかね・・・」「君は、・・・いや斎藤君、今までこんなことは何度もあるのかね?」「初めてです・・・。」「あれは、この世のものじゃない。良くない物、邪悪な物で、普通は見えない存在なんだ。俗にいう幽霊って存在だ。決して遊び半分で死者をないがしろにする行為をしたり、面白半分に肝試しや、呪文を言ったりしてはいけないよ。」「それは、死者を怒らせる事になるからね。君だって悪口を言われたり、勝手に家に入ってきた人がいたら怒るだろう。」「そんなことした事ありません。」「本当にそうか?」目を細めながら手を曲げ顎を支える様に考えこむ仕草をした。「すると・・君・・は、もしかしたら、なにかのきっかけで覚醒してしまった事で見えたかも知れないな。」「覚醒ですか?」「そう第3の目と呼ばれるものだよ。」「君にはこれから沢山の不思議な体験をするかもしれない。そして不運な事があったりする事もあるだろう。しかしだが、心身共に鍛える事により、良くない現象を抑えたりすることが出来るようになるだろう。」「はい・・・」
「いいかね、体と心を強くするんだよ。」「また君とは近いうちに会うことになるだろう。」「あれもいなくなった事だし、早くお帰り。」「はい・・ありがとうございました。」改めてお礼を言い家路を急いで帰った。これが初めて明美さんとの出会いだった。その日を皮切りに、優は、幽霊を日常で見えることになった。そのことを近所の子供に話すと余計に気味が悪いといわれ避けられた。それから数日たった日に、親が仕事から帰って来て、勉強が疎かになっていることで、半ば強制的に明美さんの子供塾に通わされることになった。その時の明美さんは、「待っていたよ。優君、これからよろしくねって言った。」明美さんには、色々沢山の事を学んだ。基礎教育から占いや思想や宗教に歴史に及ぶまで何から何まで沢山の事を教えてもらった。年齢だけは、教えてくれなかった。女性に年齢を聞いては失礼だよって言っていた。優は、明美さんに初めて恋をしていた。
明美さんがとても素晴らしい人なのに旦那さんがいないので、不思議で、「先生はこんなにも立派で素晴らしい人なのになあ~」と言ったら、「優君、君も素晴らしい人だよって言った。」「ただ私は、変り者だからか、理解されないのか、分からないが、恋愛経験がなかった。優君が大人になったら、私を、もらってくれるかい?」と笑いながら言った。「いいよ。明美先生」そういう日々を過ごす内に優は、子供から大人と成長するに連れて塾を辞めて、次第と忘れていった。優は、明美さんに言われてからずっと、毎日習慣になったトレーニングしていたせいか、体は、同年代の人に比べて筋肉質な体になった。明美さんの影響なのか、他にも色々な事に興味を持つことになり、色々な書物を読み漁った。幽霊は、見えても見ないよう無視して過ごすことをして相手にしないと付いてこなくなった。あの日のあの時までは・・・・
優くんは、とても成長した。私の胸がときめく程に、なのに私の事を忘れてしまったのだろうか?初めてあった可愛いあのこが、あんなにも男前になって早く私にプロポーズしに会いに来て欲しい。今日も優の部屋を覗いている。最近はコーヒーが好きなようだ。毎日同じ缶コーヒを飲んでいる。優が飲みかけの缶コーヒを、たまたま運よく手に入れる事が出来た。私の宝物の一つだ。優君のお風呂を覗けた時は、ビデオカメラを持ってくれば良かった。あんなにも立派になって・・・♡。
甘い果実を食べてしまいたい。彼の引き締まった肉体を嘗め回したい。偶然を装って話出来ないだろうか?優君が私の学習塾を辞めた時は、すごく辛かった。
それにしても、こんな私だが、好きになってくれるだろうか?あっそうだピンチの時助けに入れば好感度UPでそのままwww・・・ぐふふ♡♡
そうと決まれば行動あるのみ。待っているのだ、優君。