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隠された世界  作者: ガイア
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みんなの行方

武史の顔を見て、心配そうに体を抱えた優喜は言った。「なんでこんな事に・・・」「明美さんは、ケガとかしてないですか?」

「うむ。・・・優よ。私の心配より、腕は大丈夫か?」優喜の腕から血がポタポタと地面に滴り落ちていた。優喜は言った。「・・・そうですね。少し・・痛いです。」「カバンにタオル入れてきたので後で巻いておきます。」明美が言った。「とりあえず武史を安全な所に運ぶぞ。先に止血しておけ。」優喜は、カバンからタオルを取り出して、噛まれた所に巻きつけ、くくりつけた。そして明美に言った。「どこに運びましょうか?」明美が答えた。「本当は外に運びたいのだが、あの狭い所から運び出すのは、困難だから、ひとまず前にいた所まで運ぼうか。」「優は武史の頭の方を持ってくれ。」「私は、足の方を持つ。」優喜は何も言わず、武史の両腕の脇に手を入れ抱え込むように持った。そして優喜は言った。「明美さん、いいですよ。明美は両足の膝裏あたりを持ち上げた。優喜が後ろ向きに進む。「暗くて危ないから、曲がる時は、指示するからな。」明美が言うと優喜は答えた。「はい。お願いします。」お互いに武史を運ぶ事に集中した。地面がボコボコと隆起している為後ろ向きでは、歩きづらい。「そこを左に曲がるからな。」一歩ずつ足元を確かめるように歩き出す。そうして別棟の中まで来て。武史をゆっくりと下ろした。そうして明美は疲れたのか、座り込んで言った。「やれやれ・・本当に手がかかる教え子達だ。」優喜の腕に巻いたタオルは真っ赤に染まっていた。「明美さん・・すみません。」「少し休ませてもらいます。」「まだ血が止まらないみたいなので・・」優喜も地べたに座り込んで言った。明美が気になる事があるのか、そわそわとしながら言った。「・・武史の様子も気になる事だから、少しゆっくりしよう。」優喜が、ポケットから携帯を取り出した。携帯が鳴ったので誰からか気になり画面を見る。時刻が夜の2時を回っていた。ここに来た時は、確か十一時前だったはずだ。あれからずいぶんと経ったが、武史以外から連絡が無いことに不安だったが誰かからショートメールが届いていることに、少し安心した。早速メールを開いてみる。そこには、奈々からの、メールに書かれていた文章に驚いた。

【明美は嘘を言っている。武史はおかしくなっているから、気を付けて。3階の繋がっている合流地点で会いましょう。 奈々】

(明美さんが嘘・・それに武史の事まで、奈々は、帰らないで、本棟は鍵がかかっていたと明美さんは言っていたのに、どういうことだ?)

優喜が携帯を真剣に見て考えていると、明美が言った。「そういえば優の携帯が鳴っていたな。」「何だ?誰からか連絡があったのか?」優喜は明美にこのままの内容を言っていいのか迷った。

結局優喜は、言わない事にした。「単なる携帯会社からの宣伝メールでした。」この事を言えば、明美と奈々の中がさらに悪くなるし、少し明美と奈々が自分らより先にこの場所に来ていた事がひっかかった。明美が言った。「間の悪いことだな。そのメールが無ければ、優はケガをすることも無かったのにな。」優喜は、とっさに話題を変えた。「そういえば、明美さんは携帯持ってないのですか?」明美が言った。「縛られるのが嫌でな。それに時間が取られるのが面倒なのでな。」

優喜が明美さんらしいなと思いながら言った。「便利ですよ。辞書替わりにも使えますし。音楽も聴けますよ。同じ趣味を持った人とも繋がる事も出来ますよ。」明美は、考え込むようにして言った。

「まあ一考の価値あるかもしれないが、その話は、一先ず置いといて、これからの事を話そうか。」明美が咳払いをして言った。「武史が目を覚まさして、事情を聴くとして、他の友達もいるみたいだしな。」「優達は、何人でここに来たのだ?」優喜は答えた。「僕と武史、それに明に隆に啓介の5人です。」「明美さんは、多分ですけど、武史からここに来る事を聞いたと思いますが、僕らより先に来た理由は何ですか?」明美が答えた。「その話を聞いて心配して来た。」「本当は止めるべきなのだが、言って聞く様な、お前らじゃないからな。」「だから先に来て少しでも安全にと思ったまでだ。」「それよりか、今は、他の友達と連絡取るのが先じゃないか?」明美は、本当は優と良い関係になる為だったが、今は、そういう事を考えている場合ではなかった。

優喜は、明美に言われた事で、親友の武史の事ばかり考えていたけれど、みんなの安否を確認するために、電話をかけた。


読んで頂き感謝です。感想頂けるととても嬉しいです。


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