池ちゃん
自分の事をイケメンと言った男は、空気を読めない人だと奈々は思った。場の空気が沈黙に支配されたが、この男に気に障る事を言って、もし置いて行かれたりすると困るから少し愛想笑いをした。左右に部屋らしき所が見えるが、」意に介せず通り過ぎて行った。「ここ、エエんとちゃうか?」男は言った。本棟の入り口の反対側でまで来た所に大きなロビーがあった。その受付らしい所の反対側に回り遮蔽物で向こう側からは、見えない所で奈々を下ろした。奈々は不思議そうに言った「ここ?ここだとすぐ見つかるでしょう。」「さっき途中にあった部屋の方がいいんじゃないの?」
男は言った。「見つかる前提で、隠れな意味ないやろ。」「どっかの部屋にでも入っってみい、行き止まりで逃げるトコなかったら、バレたら、終わりやで。」「それよか、さっきの奴とは、知り合いか?」奈々が頷き言った。「友達の友達です・・。」
「まあエエか。オレは池田、池田浩平や。」
「あんたは、名前は、ゆみか?」奈々は言った「私の名前は、佐伯奈々。大学生よ。」「ラッキーセブンの7やな。」「オレの事は。池ちゃんでエエで。」「せやけど、ななちゃんは、ここで何しに来たん?」奈々は、少しふざけた喋り方をする関西弁の、池田という男に対して怒る気持ちは沸いてこなかった。不思議と安心していた。「私は、友達からここで肝試しすることを聞いて、ここにいるんです。」「友達の一緒にいた人と気が合わなくて、友達が一緒に来た他の人たちと、はぐれたみたいで、それは、そうと池田さんは、何故ここに来ているのですか?」「なんや恥ずかしいんか?」「え?」奈々が驚いて言った。「池ちゃんって呼ぶのは。」池田は、続けて言った。「ああちょっとしたゲームで負けてな。罰ゲームで、写真撮りに行くとこやったんやけどな。」
「一人で来たんや。カッコエエやろ?」奈々は罰ゲームでここに来たと言った池田に対して思った。こいつバカだ・・。でも、恐怖をやわらげようと明るく振舞ってくれている気がした。少し安心した奈々は言った。「池田さん、あの・・」「なんや?(モグモグ)」「・・何か食べていませんか?」「(モグモグ)カロリーメイトのフルーツ味や。」奈々は、今このタイミングで食べる事するの普通と思って言った。「そうですか・・もう少しここに来た経緯など詳しくお話したいと思うのですが・・」池田が答えた。「栄養補給完了。体力はこれ以上上がらなかった。口がパサパサで1のダメージを受けた。」「・・・・・」「エエけどおもろないで、オチないしな。」奈々は言った「オチなくて結構なので、それと、少しお花を摘みに行きたいので・・」真剣な顔をして池田は言った「心配せんでもエエ。」「ちゃんとしっかり見といたるさかい。」奈々が呆れた顔して答えた。「・・見られたくないので、ここにいてください。」にやけた顔した池田は言った。「冗談や。いっトイレ。」「・・・・・・」
奈々は立ち上がり周りをキョロキョロ見渡して、受付から死角になりそうな所を探した。さっき通ってきた通路に、ドアが開いていた部屋があったのを思い出し。そこに向かった。部屋に入る前に池田が後ろから付いて来ていないのを確認して部屋に入った。部屋の中は、どうやら診察室の様だった。古びた机にベットが置いてあり、奥には薬品棚であろう棚があった。ここでするしかないと奥の棚あたりにズボンとパンツを下ろしてしゃがんだ。