本棟
そのころ、別に分かれた奈々は、明美という存在によって、優喜の事を取られるじゃないかという不安に募らせていた時、どこからか声がした。
「ずいぶん悩んでいるみたいですね。」「あの女が邪魔なんですよね?。」「すっごっく分かりますよ。」「あの女の存在を消す方法を教えて差し上げましょうか?」「だれよ!あなた?」奈々が答えた「私は・・まあ誰でもいいじゃないですか。」「ここは、どんな場所かご存じですか?」奈々が言った「陰気臭い心霊スポットでしょ。」怪しい人だが、明美という女に取られたくない奈々は聞きいっていた。「ここに纏わる話は知っていますよね?(笑)」「なーに簡単な事ですよ。ここは昔病院だったのは知っていますよね?」「病院のカルテに気に入らない人の名前を書いてしまえば全ては解決しますよ。」奈々は怪しいと思いながらも聞きいっていた。「本棟の扉は開けときましたのでご自由にどうぞ。」そういうと先程の声がした所には声が聞こえなくなっていた。なんだか唖然としたが、入り口が開いていると言っていたが、本当に開いているのか、とりあえず確認の為に向かう事にした。そうして入り口に向かうと誰かがいた。暗闇の中人影が動く。向こうもこちらに気づいたようで、向こうから話しかけてきた。「やっと・・・みつけたよ。探したんだよ。あれからずいぶんとね。急に連絡してこないから心配で心配でね。・・・」
「優君なの?」「私もだよ・・お互いの思いは通じるんだね。」「両想いだね。」「でもなんで?」「優君、私より先にここにいるの?」お互いが暗闇の中、顔の見える位置まで歩いて来た時にその人の顔が浮かび上がってきた。正体が分かった。優じゃなかった。武史だった・・。「何言ってるの?俺じゃなくて、あいつのことばかり。」「俺から彼女を奪った奴なんて!」
「あんたの彼女になった事なんてないわ!」「優君が、どれだけ心配しているの分かっているの?」怒鳴るように武史に言った。「優君優君ゆうくんって何度も何度もうるさいな~」「あんなクズは、友達でも何でもない。」「あいつの事忘れて、もう一度お・れ、おで・と、じあわせ~に・・なろう」奈々は、武史の顔が瘦せ頬がこけて充血した目で、笑っているの様な怒っている様な顔で、何か違和感を感じ、逃げ出そうと走り本館の中に必死に駆け込んだ。「なぜお・・でくぅ・・ら・逃げるn・だ。ゆ・・みぃ・~」低い唸り声をあげ、奈々を追いかける武史。まるでホラー映画で見るゾンビみたいな声をあげていた。奈々は「誰か、助けて~!」と叫びながら、本棟を走り隠れる場所を探した。だが隠れそうな所が思いつかなかった。息も切れきれで、もうダメだと思い、優がくれたお守りを握りしめながら足がもつれて倒れ込んだ。お守りに喋りかけるように言った。「優君。ごめんね。・・私もう走れない・・。今度会えたら、きっと・ちゃんと・・告白する・・からね。」と言った時、「優が、ゆみを取り返しにこっちに向かって来ているぞ!」と声が聞こえた。そうすると武史は怒り狂った声を出して引き返していった。「お・・おでおで・・のゆぅ・・みぃをーーー・・」