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いのちの詩(仮題)

作者: 浮き雲

 この詩は「孤独感」を詠ったものではありません。「淋しさ」と(ついでに)「哀しさ」を詠ったものです。

 「咳をしても一人」や「障子開けおく、海も暮れきる」などの作者、尾崎放哉氏は種田山頭火氏と並ぶ自由律俳句の著名な俳人のひとりです。

 「咳をしても一人」は、私自身、淋しさを詠う詩として好きな作品です。以来、咳と淋しさは、わたしの中ではつながっているようです。

 作品は、家族と仲たがいをしたときに、勢い任せに書いたものです。実際、風邪をひきかけていたように気憶しています。弱り目に祟り目です。





冷たい風に(さら)されて 後悔だけが(せき)をする


はなから、通じることはない


解ってもらうこともない


そう割り切って話せれば なんの期待もいらぬのに


そう()やんでは咳をする




他人ひとに笑っていられても 他人には合わせられるとも


血を分けたなら、他人よりは わかり合えると誤解して


解り合えぬと、後悔の (あきら)めだけの咳をする


言わぬが勝ちと咳をする




早い日暮れにせかされて 所詮しょせん、ひとりと咳をする


ともに歩んだわけもなく


ともに暮らした記憶さえ 過去の(ほこり)(うず)もれて


そうさ、ひとりと咳をする


それでいいさと咳をする




会津八一氏が法隆寺夢殿の救世観音像を詠った「あめつちにわれひとりゐてたつごときこのさびしさをきみはほほえむ」や松尾芭蕉翁の「旅に病んで夢は枯野を駆け廻る」や若山牧水氏の「白鳥は哀しからずや空の青海のあおにも染まずただよふ」なども淋しい詩の中で、好きなものです。

個人的な思入れなのですが、日本人にとっての「淋しさ」や「哀しさ」は、情緒的で複雑な感情のように思います。その一言の中に「優しさ」や「愛しさ」を内包しているように思うのです。

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