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第3話 もふもふ幼女

(フェンリル視点)

「ねえ、私と一緒に来ない?損はさせないから」


嵐どころか、稲妻のように現れた少女は妾の戒めを破壊した。


いままさに尽き果てようとする我が生命。


このままでは本来守るべき森の生命すらも喰い尽くす餓狼へと成り下がる運命であった妾の生命を救ったのはこの少女。


狼である妾の視点で見ても美しい銀の少女は、その見た目に反するほどの恐ろしい魔力を内包していた。


しかし、恐ろしいのは量のみで魔力からはあの方に通じる暖かい何かを感じる。


それはまるで


ジャラルディン様


妾が生涯で唯一の主と認めた男だ。


妾はあの方の為なら自らが滅びても構わないと思っていた。


あの方は何者かに騙され、妾と引き離されていると。


しかし、妾を助けた少女はジャラルディン様の子孫


最初、魔力を解放した時は敵だと思った。


しかし、口調とは裏腹に妾達を害そう等という気配は微塵も感じない。


そして悟る。あれから1000年


唯人に過ぎないジャラルディン様は既に……


妾は忘れ去られ、捨てられたのだ


かつて、灰狼(できそこない)だった妾が親から捨てられたように……


しかし、妾はジャラルディン様との契約を破る気など微塵も無かった。


何故なら


「狼……力が欲しいか?」


「俺に従え!必ず俺達は幸せになれる!!」


何も持たぬ身であった妾を慈しみ、契約で力を与えてくれたあの方……ジャラルディン様の大切な国を守りたかったからだ


しかし、ジャラルディン様の子孫である彼女は魔力以外、何もかもがジャラルディン様とは違った。


かの人はこんなにもまっすぐな目を私に向けてくれていただろうか?


ああ、暖かい、身体に力がみなぎるようだ。


惜しげもなく膨大な魔力を与えるだけではなく……


「ねえ、私と一緒に来ない?損はさせないから」


輝くような笑顔で目線を合わせてそう言われた時、

何か私を縛っていたものが切れたようにその言葉に惹かれた事をジャラルディン様は許してくれるであろうか?


◇◆◇◆


「わかった、よろしくお願いする。」

フェンリルが重々しく頷いた。


よし!もふもふGETだぜ!

異世界転生といったらもふもふ重要!


「改めて自己紹介するわ、私は元アルカイド・ノイエ帝国第4皇女ルナーリリア・ラ・アルカイドよ。リリーって呼んで、貴女は?」


「リリー。私はフェンリルだ、名はない。好きなように呼んでくれ。」


「ならリルって呼んでも良い?」

えーご先祖様は飼い犬に名前すら付けなかったタイプ

ちょっと引くわー


「もちろんだ。パラド、」

フェンリルが名前を呼ぶと


「は、主よ」

さっきのチビ狼君がうやうやしくかしずく。


さっきから空気扱いでゴメン


「すまぬが妾は回復の為にしばらく森を離れる事になる。リリーのお陰で我の寿命は伸びたが…北辺の守護をする為には今暫くの時が必要だ。」


どうやら本当にリルちゃん(?)は瀕死だったようだ。

森に居るだけで魔力を吸われるので、どちらにせよ暫く離れる必要があるとの事。


「承知しました。不肖パラド、主様が居られぬ間一族郎党総出で森を守ってみせまする!……改めてルナーリリア殿、主様をお救いいただき感謝いたしまする。」


あれ?思ったよりもすんなり行けそう?


「リル?貴女は身体を小さくすることはできる?」

そこでちょっと問題なのがフェンリルのリルさん。


体躯がキングサイズのベッドどころか高級ホテルのスイートルームがパンパンになりそうなくらいデカイ。


これでは町に入れません


「ふむ……そうだな。ふんっ」


リルが力むと魔力光が生まれ……


「これでいいかな リリー」


そこにはケモミミ銀髪美幼女が全裸で居ましたとさ


めでたしめでたし


……………………





……………ちょっと待てやオイ


ごつい狼が幼女にへんし~ん


なんでや


いや妾の時点で女の子だとは思ってましたけど、


これはあかん


犯罪だ


「とりあえず服着ようか」(ケモミミもふもふ………)


元皇女として落ち着いてアイテムボックスから出した服を着せた私を誉めて欲しい。


前世なら鼻血吹いてたわ


「ところでリル……麓まで簡単に降りる方法ってある?」


ここは峻険な山の中腹、歩いて降りるのは命がけだ。

異世界ならではのワープポイントやら謎パワーで……


「無い私 達歩いてきた、1月」


リルが、まだ慣れない人間の言葉でおぼつかなく答えてくれる。


おおう……すごいなぁ……瀕死だったのに


しかし、私の淡い期待は消えた。

しゃーない


私はアイテムボックスを開けると

「試製箒VTOL(垂直離陸)型」

試作2号機 オスプレイのように魔力噴流機の向きを変更することで滑走距離を大幅に減らす事に成功したタイプ。


正直実用性は低いです。はい、


「それ なに?」


「人が空を飛ぶ為の道具だよー」


「不思議 人間 空 飛べない 飛ぶ ドラゴン 」 


おおう……異世界では鳥じゃなくてドラゴンが空を飛ぶ生き物の代表格なんだ……


城入り娘歴13年のせいで未だに前世の常識に引きずられている面も多く、非常に新鮮だ。


「確かに、人間だけで空は飛べない。けれど知恵を糧に空を目指す事はできる、これがその証明。」

今現在、空を生身で飛行する魔法は無い。


そもそも魔法使いという存在が絶える寸前なのだから仕方がない。


でも、前世では魔法無しでそれをなし得ていた。


ならば、魔法を組み合わせればもっと簡単に前世の世界よりも面白いモノが創造できる。


「人は飛べる。いいえ、人以外も飛べるようになれる」


そう、この世界の知的生命体は人間だけではない


エルフ・獣人・竜人などが存在する。


空を旅してもっともっとこの世界を知りたい。


叶うならば前世の友人も誘いたかった


きっと面白いものが見れただろう


「変化を恐れない事は大切」


前世の私はよくも悪くも保守的だった

今世では変えようと思った事


「うん でも それ ヤダ さっき 墜ちて来た」


あら、さっきの墜落事故(インシデント)バレてました?


もちろん変化には失敗はつきものです……









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