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その11「ゴールデンウィーク到来!!」

 それからまた数日のことだった。



「も、もうすぐ体育会ですね……」


「あぁ、そうだなっ! 結構楽しみだよな!」


「そ、そう、ですかね……私は少しというか……かなり嫌ですけど……」


「……スポーツ、苦手か?」


「それはもちろん、その……苦手ですよ? でも、それ以上になんか……あの、雰囲気というか、感じというかがやっぱり……肌に……あい、合いません……ね」


「まあ、難しいよなぁ」


「え、えぇ……う、羨ましいですっ……鈴木君、は……」


「ははっ。まあそこまでうまくはないはないけど、腐っても体育会系だし?」


「……私、どうせまた……」


「また?」


「……また、恥ずかしめ、られますっ……」


 騒がしい昼休みのクラスにて。


 翌日に控えたゴールデンウィークなど眼中になかった地味はミートボールを口に含みながらそう言った。


 まあ、地味の気持ちも分かる。


 中学からサッカーはしていたし、運動は割とできる方だったが——確かに、あの盛り上がった雰囲気は嫌いだった。


 嫌い……というか苦手と言った方がいいかもしれない。


 クラスの中心メンバーは僕を使い勝手のいい運動ができる奴としか思ってないし、変に盛り上がるから目立ってしまうし、特にリレーの時なんて最悪だった。


「……それはあるな。僕もあったし」


「あ、あったん……ですか?」


「まあね。リレーでさ、選ばれてアンカーになっちゃったんだけど前の女子がこけちゃってね、今考えれば友達もいないからそこで手を抜いてビリにでもなればよかったんだけど、思春期でカッコつけちゃって……一位でゴールした後なんか、盛り上がちゃって最悪だったよ……」


「……」


「ん、どうしたんだ地味?」


「————自慢ですか‼‼」


「え」


「……こっちは運動音痴なのに……な……なんなんですか、もう……へ、変に期待しました‼‼」


「って……」


 すると、途端にキレ出した地味は僕の肩を一発箸を握った手で殴った。


 ボコッと力の籠ってない弱弱しい拳が当たると、固まった地味。


 数秒後、虚しくなったのか眼鏡を外して机に突っ伏した。


「髪、弁当に入っちゃうよ?」


「う、うるさい……ですっ」


「いやまじで……」


「……わ、わかってます……そのくらい」


 おっと真面目に目が怖い。

 ちょっと揶揄いすぎただろうか。


「……まあでも、そうだな……今度、部活がない時でいいなら練習とか付き合うけど?」


「……れ、練習……?」


「うん、嫌ならいいんだけど……しとくだけ恥じはかかないかなって……?」


「……」


「じゃあ、どうする?」


「や、やぅ……ぅ」


「?」


「や——、や、やりますっ‼‼」


 そうして、僕達二人の体育祭に向けたトレーニングが始まった————————わけではなかった。







 一方その頃。

 数メートル離れた地点にてだべっていた二人はというと。


「なあ、どう思うよ?」


「————ん、にゃにがぁ?」


「食べてから言いやがれ」


「ぁむ……んっ。はぁ……聞いてきたのはそっちじゃんか」


「そういうのは一旦置いといて……まずはあの二人だよ? どうだ、どう思うかって話」


 はむはむとサンドイッチを頬張った見慣れた顔の幼馴染。

 まったく、見慣れたとは言ったが流石に近くにいると緊張するな。


「はぁ」


「な、なんだよ?」


 人の顔を見て溜息とは……まったく、失礼だな、こいつ。

 幼馴染だからって許してやっているけど、これが男なら金的入れている所だ。


「出流……ほんとに、そういうどうでもいいこと好きだよね」


「え?」


「いやぁ、別に……翔の恋愛事情なんてどうでもいいじゃん?」


「どうでもはよくないだろ、こう、さ? 幼馴染の友情に傷がつくというか……?」


「出流……まさか、私が翔のことが好きだとでも?」


「いやぁ……そういう可能性も無きにしろあらずっていうか?」


「……うわぁ、マジきも」


「そういうこと言うなや、俺も傷つくんだぞ……」


「傷つけばいいんだもーん」


「おい」


 何気なく言いやがって。


 なぜか翔とか周りのやつが勘違いしているようだが、俺は案外シャイだ。何もみんなが言うほど陽キャラってわけでもない。人並みだからこそ、言われると傷つくんだよ。


「…………まぁ、でもいいんじゃないの? 私からしたらあの……えっと……」


「地味さん?」


「あ、そうそう! 地味さん! あの子も……なんか前より見てて楽しそうだしねっ」


「まあな、あんまりパッとしないイメージだったからな」


「何、隣のクラスまで行ってたわけ?」


「引くんじゃねえよ……それに行ってねえよ」


「そ……なんだっ」


「なんで残念みたいな顔した?」


「面白い話のネタが……」


「お前、女子の前でそんな話してたのかよ」


「面白い話は大抵するけど?」


「……ま、まさか……お前か、お前だったのか‼‼ 最近、女友達に「舐め舐め」って言われたのって——」


「え? だって前、耳舐めの音声聞いてt——!」


「貴様ぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼‼‼」


 その後、女子生徒を追いかけたことにより、俺のあだ名が「ストーカー」になったのは俺史上最大の屈辱になったのは言うまでもないだろう。


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