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雨夜の星  作者: 葉七
1/1

始まり。

「雨夜の下にいる君がいつか星に巡り会えたらー」

明日で終わりにしよう。

机の上に置いてある卓上カレンダーの明後日からの日付を破り捨てた。

ようやく終わる。

安堵した僕は眠りにつこうとベットに横たわる。

そう明日僕の人生が終わる。

「長かった。」

と言っても僕はまだ17年ほどしか生きていない。大人から見ればまだまだ短い人生なんだろう。と思いながら僕は眠りについた。


翌朝、いつもと同じように起床していつもと同じように母が作った朝食を食べる。そしていつものように学校に行く。

いつもなら「行ってきます。」の一言を言って学校に向かうがもう帰ることはない。無言で僕は学校に向かう。

学校に着いても何も変わらない。いつもと同じように誰とも特に話すこともなく学校が終わる。

やはり自分が消えても何も変わることないんだろうと実感しながら学校を去る。

そしてこの街一面を見渡せる鉄塔に向かう。

そう今日ここで僕はこの鉄塔から落ちて終わるつもりだ。

何も考えることなく鉄塔を1番上まで登る。

すると先客がいることに気づく。


「あれ?君こんなところで何してるの?」


聞き覚えのある声に少し驚く。

クラスメイトの東雲燈(しののめあかり)だった。

「いや、僕は夕焼けを見にきただけだよ」

まさかクラスメイトに会うとは。クラスメイトに死ににきたなんて言えるはずもなく嘘をつき言葉を続けた。

「君こそ何してるの?」

「私も君と同じ理由かな。ここから見える夕焼けは綺麗だから昔から好きなんだ。」

「そうなんだ。」と適当に相槌を打つ僕。

東雲燈は学年でも知らない人はいないくらいの美少女だ。

そんな東雲を夕焼けが照らしとても美しくまるで絵画でも見ているような気分になる。

そんな姿に見惚れているうちに当たりは日が落ちて暗くなりつつある。

「ねぇ君はまだ帰らないの?」

と東雲。

「いや僕はもう帰ろうかな」

クラスメイトに最期の姿を目撃されるなんて嫌にも程がある。

「そっか、じゃあ私も帰ろうかな。」

じゃあまた学校でねと手を振り帰っていった。


僕は少しその場で考えた。

なぜ東雲がいたのか。

僕はこの鉄塔には誰もこないことを確認した上で最期の場所をここに選んだ。

考えてもわからない。僕も帰ろう。

来ないと思っていた明日という日を迎えることになってしまった。

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