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勇者、9
やっとガイが足を止めて木の扉を開けた。
間口が狭くて薄暗い室内。
ガイがランプに火をつけるとゆらゆらとオレンジの明かりが揺れた。
腰にあった剣を古びたテーブルの上に置いて首元を緩めたガイ。
木のコップを2つとボトルを持ってくると荒々しくイスに座った。
「…ユースケ。お前がその剣を抜いたのは事実。信じられねぇけど俺の目の前で軽々と抜きやがったんだ。認めるしかねぇ。明日朝一で出発するから覚悟決めとけよ」
言いながらコップを渡された。
「これ…何?」
「出発の前と言ったら葡萄酒だろ?」
何言ってんだ?こいつって顔。
「いや、俺未成年なんだけど」
「訳わかんねぇこと言ってんじゃねぇぞ」
ガイは一気に飲み干してパン、豚肉、骨のついた肉、チーズ、でっかい塊の肉…どんどん机に並べた。
ほぼ肉。
俺、どうなんの?
こっちで寝て起きたら教室に戻ってないかな。