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西の国へ、8
謁見の間の玉座には黒髪を後ろで束ねた中年の王様が座っていた。
身体もがっちとしていて、かなり鍛えられているように見える。
ザッとガイとリーリアが膝をついて、ミルはのんびりそれを見ている。
俺はタイガが普通に立っているからその横で一緒に立っていた。
「勇者、名前は?」
じっとこっちを見られてドキッとする。
「ユースケです」
慌てて言うと王様は少し笑った。
「タイガ、どう思う?」
タイガの方に目を向けて微笑む王様。
「やはり剣は最終的に1つになるようなので、僕はこの剣をユースケ先輩にお預けしたいと思います」
へぇ。…え!?
バッとタイガを見るとタイガは剣を俺の方に差し出した。
「ユースケ先輩。持ってみて下さい」
装飾は少ないけどずっしりとした刃も大きい剣だ。
「今まで持った中で1番重い」
言いながら返そうとすると、その剣が黄色く光った。
「え…」
とっさに剣を強く握ると光は大きくなる。
これって…また??
光に耐えられなくて目を閉じる。
光が消えて剣に視線を戻すと剣は一回り大きくなってグリップに黄色の宝石が増えていた。