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南の王、5
「嫌なのかよ。昔は一緒に寝てただろ?」
「ザイ!変な言い方してんじゃねぇぞ!まだ昼寝とかするようなガキの頃の話だろ!」
ガイがため息を吐く。
普段自信満々で偉そうなガイがザイの前ではタジタジになっていたりしておもしろい。
「しゃーねぇなぁ。…昔の隠れ家覚えてるか?親父が死んで王になってもあそこはずっと残してあるから…そこを好きにしろ」
ため息を吐きながらザイが鍵をガイに向かって投げる。
「リーリアはここに残るか?俺、美人好きなんだ!満足させるぞ」
満面の笑みで言うことか?
「お前、婚約決まってんだろ」
ガイがギロリと睨んだ。
「ガイ…元カノか?しかも再燃?でも、お前そういうこと気にするタイプじゃねぇだろ」
何か最低な会話始まった気がするんだけど…ここ謁見の間だよな??
「相手を考えろっつってんだ!姫に申し訳なくないのか!?」
相手違えばいいって問題でもないぞ!
てか、ん?
「姫?」
引っかかった言葉を口にする。
「あぁ、北が乗っ取られて捕らえられてる姫はザイの婚約者なんだよ」
「マジで?」
「いくら俺でもそんな時に女口説かねぇぞ」
言いながらガイはザイを見た。