魔法使い、8
リーリアが王様に挨拶をしてから行きたいって言うから俺たちもついて行くことになった。
中央とは違って兵の数も多いし、ヒラヒラした布で仕切っただけの部屋なんてものはなくて、どこもきっちり石で作られている。
謁見の間も自然の光は一切入らないようになっていて松明がいくつも焚かれているだけだ。
入ってすぐにガイとリーリアが膝をつく。
え!?だから、こういう時俺はどうしたらいいのか教えといてくれよ。
「お主が中央の勇者かの?」
真っ白なヒゲのおじいさんがいつの間にか玉座に座っている。
王ってか真っ白なローブを羽織っていて、この人の方が魔法使いみたいだ。
「はい」
うなずくと
「うむ。…久しいな。ガイ。いくつになった?」
ガイに会話が移ったから俺は黙る。
「ご無沙汰しております。21になりました」
片膝をついて頭を下げたまま丁寧にしゃべるガイ。
「21か。あの頃は18だったのに…立派になったのう」
孫の成長を喜ぶおじいちゃんみたいだ。
「ありがとうございます」
ガイは更に深く頭を下げた。
「リーリア。お前はミナを選ばなかったのだな」
王様はちょっと眉を動かす。
「申し訳ございません」
リーリアも今まで以上に頭を下げた。