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青春ハートフル爆笑異世界ファンタジーまみれ

初投稿です。





「ぐわー!!!やられたー!!!!!」


3年間の旅の末、やっと俺たちは魔王デス・ヴォルケーノを倒した。


「やったね!聖騎士ライル!やっと魔王を倒したよ!これでやっと村に帰れるね!もちろん私たちの家に♡」

「さすがですわ聖騎士様!王妃としてこれからもずっとついていきますわ♡」

「ふっ…貴様なら成し遂げることができると信じていたぞ聖騎士ライル…さすがは我に勝った男だ…♡」


3人はそれぞれ、村の幼馴染、一国の王妃、四天王の一人であり全員俺の嫁だ。

さらに旅の道中でも、竜姫を助けたり、エルフの里を救ったり、女性だけの国を戦争から守ったりして今では嫁が15人いる。


そして今。語っている俺は聖騎士ライル!すべての魔法と武の頂点に君臨する男だ!

思えば、10歳のときに聖騎士に選ばれたあの時から。俺の成功人生は決まっていた。

なにをやっても成功する、どんな相手にも負けない!そうそんな俺は聖騎士ライル!

そう俺は聖騎士ライル!俺は聖騎士ライル。聖騎士…












「このものに天から与えられた職業は『催眠術師』です。」


「うそだーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」


美人な女性神官から発せられた言葉に俺は膝から崩れ落ちて叫んだ。


「嘘ではございません。あなたの職業は催眠術師です。それと聖堂であまり大きな声を…」



「なんでだよ!!!!!俺は『聖騎士』になりたいんだよ!せめて『賢者』とか『剣士』にしてくれよ!!!最低でも『シーフ』とか『鍛冶師』にさぁ!!!!!???」


俺は神官の足にへばりつき抱き着きながらなお叫んだ。

この世界の人間は10歳のときに神から職業が与えられる。そして、その職業が今後の人生をほとんど決めるといってもいい。

例えば『シーフ』の職業を得たものは冒険者ギルドの一員としてダンジョン攻略の要となる偵察を担うことになったりして重宝される。

『鍛冶師』の職業を得たものは町の鍛冶師に弟子入りして、何年か何十年修行して独立していく。有名になると王都へ進出していったりしてかなり稼ぐことができるようだ。

そして『聖騎士』や『賢者』なんかになると王宮直属の騎士隊にスカウトされ、将来の平和を担う人間として王都のアカデミーで最先端の教育を受けることができ、卒業後は騎士団や研究所に勤めることになる。いわゆるこの国の花形職業なのだ。そして俺は夢見ていた。成功が約束された聖騎士になることを。


泣き叫ぶ俺を神官は優しい目で見ている。


「ライル君、確かに『催眠術師』なんて聞いたことのない職業ですが、神が与えし職業に優劣などありません。君の努力次第でどのようなことも成し遂げることはできますよ。」


「いやだ!催眠術師なんてエロいことしかできないじゃないか!!!俺は『聖騎士』になって強いモテモテイケメンハンサムになって爆乳美少女に囲まれて暮らしたかったんだよ!!!!」


「…詳しくは知らないけど結構君の願望通りの職業なんじゃないかな?」


神官の目は既に冷めたものへと変わっていたが俺は泣き叫び続けた。













現代日本で社畜として働いていた独身35歳の俺はとてつもないヘタレであり、35年間女性関係も経験も全くなく、せめて仕事は頑張ろうとしていたら過労死、気づいたら異世界に転生していて意識がはっきりしたときには赤ん坊のライル・プリコットとしてこの世界に生を受けた。


どうやらこの世界は剣と魔法のファンタジーワールドなようで、


最初は


「俺の転生知識で富と名声(特に女の子)を手に入れてやるぜー!!」


なんて意気込んでいたが、世の中そんなに甘くはなく、手ごろな知識チートとして考えていたボードゲームや農業の知識なんかは十分にこの世界にあるようだった。特に石鹸なんかはすごく進んでいて、専門の魔法使いがいるみたいだ。清潔は大事だね。

また、よくある魔力を赤ん坊のときから鍛えるといったことも試そうとしたが、そもそも閉鎖的なこの村では魔力を扱える人がおらず、魔力の使い方がわからないため断念した。


どうにかして、魔力を鍛えたかったため5歳くらいのときに町に行って教師を探してくると親にいったところ、父から「そんな金があるはずないだろ!」と拳骨を食らってしまった。うーん。あれは痛かった。


一応、我が家は貴族でありこの辺境を統治するプリコット男爵家であったが、貧乏貴族であり気軽に町に行くほどのお金はなかったようだ。


この魔法習いたい事件の後、母から10歳になったら神様から職業をもらえて、その職業が魔法使いや騎士のような戦闘職であれば町の学校で魔力の使い方を教えてもらうことができるということを教えてもらったが、結局教えてもらう時期がほかの子供と同じ時期になってしまうので魔力チートはできなかった。


その後、父さんが剣を教えてくれるといったが俺の前世から根っからのヘタレ陰キャであり、もちろん運動も嫌いで、当然逃げ出した。だって運動は嫌いなんだもん。そのあとなぜか母さんに拳骨をもらった。父さんの気持ちを考えなさい!だってさ。だってしんどいのは嫌いなんだよ。


そんな俺だが、まだ職業が良ければチートうはうは生活をすることができると息巻いて今日までの10年間を生きてきたのだが、待ちに待った職業が『催眠術師』であったため、俺の野望はこの時をもってすべて打ち砕かれたのであった。






教会から家への帰り道でライルは嘆いていた。

「気が動転していたとはいえ、女性の足に抱き着いてしまった…そのうえ、あんなに叫んでしまって…しかし、やわらかくていい匂いだったなぁ…」

どうやら、さっきの女性神官の冷めた目は既に忘れているようだ。


「っといかんいかん。この先、どうするかを考えないと。なにせこの世界には催眠術師なんて職業はなかったわけだしなぁ」


前例のある職業であればその職業を持つ人に弟子入りしたり、アカデミーで教育を受けることでスキルを学び力をつけることができる。しかし、ライルにはそれができないのだ。


「ただいま…」


「「おかえりライル!!職業はどうだった!?」」


催眠術師だったよ。といったときの我が家の空気は一生忘れることができないだろう。

はぁこの先どうしよ…


初投稿でした。

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