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二話 「空木 未麗」

背中に届くほどの長さの髪。


切りそろえられた前髪。


それが、一歩ずつこちらに向かってくる。


距離はそう遠くない。


俺は、葵が俺の後ろにいるのを確認した。


距離が縮まる。


それの顔は、暗くてよく見えない。





「君、見えるね?」





それは確かに人間であったが、暗がりから湧いた彼女はまるで









――まるで幽霊のようであった

「ごめんごめん、驚かせちゃった?」




硬直する俺に、わずかに反射する眼鏡が印象的だった。




「えっと、その......」




戸惑いを隠せない俺を横目に、彼女は続ける。




「三年の空木 未麗(うつぎみれい

君とその幽霊ちゃんとのお話が聞こえちゃってね、ついついお邪魔したくなってしまって」




彼女は、空木美麗は葵が見えている。

葵が口を開く。




「私が見えるの?」




首を傾げる葵の問いに、彼女は答える。




「見えるさ、君以外にもたくさん見てきたからね」




俺と葵は目を合わせる。




とりあえず、自己紹介をする。




「二年の大石 一徹(おおいしいってつです、それで、隣の.......」




「隣の、片霧 葵(かたきりあおい)です!」




俺と葵はそう答えた。




「そうか、これからよろしく頼む

まぁなんだ、ここで出会ったのも何かの縁だ」




空木未麗は続ける。




「ここで一つ、私のお願いを聞いてくれないか?」




「なんですか!?」




わざわざ向こうからやってきて、何かの縁とはまた興味深い疑惑を残してくれるが、俺以外に自身の存在を認識してくれる人がいたことが嬉しかったのだろうか、そんな唐突な申し出を物ともせず葵が意気揚々と反応した。




「オカルト研究会に入会してほしい」




またもや唐突な申し出。

再び俺と葵は、顔を合わせる。

片方は無表情で、もう片方は目を輝かせた。




「まぁ、すぐに答えを出さなくてもいいから

明日も来るね」




そう言い残し彼女は去った。

そういえば、辺りが少し明るくなったように感じた。

気のせいだろうか。




少しの間何もない時間を過した後、葵と共に帰路についた。




 日を跨ぎ、俺と葵は空木未麗を待つ。




「研究会の部室ってどこなんだろうね?」




恰も、もう入会しているような言い回しに俺は訝しむ。




「まず部活じゃないし、いきなり湧き出て来てなんか怪しくないか?」




「えー、いいじゃん入ろうよー

ていうか、いきなり湧き出てきたのは私も同じだしー」




葵が俺の肩を揺する。

そう、俺の肩を揺すったのだ、幽霊なのに。

そんな一般的な幽霊の定義をことごとく崩壊させる葵と戯れる内に、教室の戸が開いた。




まだ日は落ちず、こちらに近づいてくる反射で光る眼鏡が不気味に感じた。




「どう?決まった?」




「絶対入りませ......」




「一徹君と一緒に入ります!!」




絶対入りません。

そう言いったつもりだが、葵がそれを許さなかった。




「それは良かった」




空木未麗は安堵する。

半ば諦め、俺は彼女に問いを投げる。




「ところで、会員の人数や活動場所ってどこなんですか?」




「私と君たちの三人、活動場所はここね」




は?




「え?」













――こうして、俺と葵と空木未麗のオカルト研究会は始まりを告げた

お読みいただき、ありがとうございました。

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