プロローグ
仕上げられるよう頑張ります。
現実世界から異世界に行くのではなく、異世界から現実世界にくる場合も異世界転移?
「では勇者よ。必ず魔王を倒し、攫われた姫を助けてくるのだ!」
俺は片膝をついた姿勢からゆっくりと立ち上がり、まっすぐと王様の顔を見て自信に満ちた声で答える。
「お任せください国王様。必ずこの勇者、柊木隼人が魔王を打ち倒し、姫様をお救いして見せます!」
・・・決まった。
突然異世界に勇者として召喚されたときはビビったが詳しく話を聞いてみたら、このテルオルンという国の姫様が数日前に魔王に連れ去られ、勇者を探す時間が惜しいと国王の直々の命令で召喚儀式が行われたらしい。
結果、その儀式によって召喚されたのがこの俺ってわけだ。
「ふふ・・・」
「どうした?勇者よ」
おっと、思わず笑いが出ちまった。
「いえ、何でもありません」
「・・・?そうか」
いや、笑いたくもなる。
これから助けに行く姫様は肖像画を見る限り超絶美人。長い金髪に切れ長で緑色の目。そんな姫様を助けた暁には、姫様とのラブロマンスが!
それにだけじゃない。
俺はちらりと隣の女性を見る。
(ニコッ)
この国の最強クラスの剣の使い手らしい女騎士、レイリア。
このどちらかというと可愛らしさすらある女騎士様は、さすが最強の剣士だけあって引き締まった体に、それでいてその細い体に似合わない二つの山!
いままで全くモテず、非リア充生活を送っていた俺には今日でさよならだ。俺は美人でスタイルのいい年上女性との二人旅!
ここ数日レイリアにはすぐに戦える程度に鍛えるとボコボコにされたが、もともと剣道をかじってたおかげですぐに多少は戦える程度にはなった。
それに、俺の腰に提げられた剣。
これは国王が召喚儀式と同時に命じて作らせたもの。国一の鍛冶師と国一の錬金術師によって作られた魔剣。
一振りで魔剣から放たれる魔力の雷が魔物を蹴散らしてくれる。
資金も潤沢。
あまりにも揃いすぎている。
「では行け!勇者よ!必ず私の娘メリルを助け出すのだ!」
「はいっ!」
今始まる。俺のファンタジーライフが!
「誰を助けに行くって?」
え?
ちょうど後ろを振り向いて歩き出そうとした瞬間。
謁見の間の大きな扉がゆっくりと開いた。
開かれた扉から、白いドレスと長い金髪を揺らしながら謁見の間へと堂々とした足取りで歩いてくる緑色の目をした女性。
「・・・え?なんで・・・?」
この城にいた間に何度も見た、肖像画に描かれていた女性。
女性は肖像画よりも鋭い目で俺を一瞥するだけで隣を通り過ぎる。
「メリル!」
国王の声に我に返る。
「おぉ、メリルよく無事で帰った」
「はい。お父様」
姫は優雅にお辞儀をする。
「メリルよ魔王はどうした?誰がお前を助けたんだ?」
国王の言葉に少女はあっさりと答える。本当に「何を当たり前のことを聞くんだ?」と言わんばかりに。
「魔王は、私が討ちました」