9.8(三衣千月さん作)
くるくる回る 君が笑う
寝起きの朝の君はとても不機嫌で
シーツをくるくる巻きつけて
ミノムシなんて言ってたっけ
ずっと一緒にいようって 約束の花束
小さく君の笑顔が咲いた
ああ、僕は幸せさ
29.5
欠けて満ちる月をただ見ながら
一歩一歩、階段を昇るのさ
君への場所 君に向かう場所
くるくる回る 君を想う
静かに眠る白い君はとてもキレイで
花にふわふわ囲まれて
ちょっと微笑んだように見えたっけ
ずっと一緒にいたいって 約束の指輪
受け取った君は笑顔で泣いた
ああ、僕は幸せさ
2.1
目には見えない電波が飛び交う
僕の携帯は、もうすっかり夜色さ
君との場所 君のいない場所
もう君は起きることはない
もう君は笑うことはない
9.8
これだけはみんな誰もにイコール
屋上に吹く夜風が優しく僕の涙を拭う
君への場所 君に向かう場所
9.8
僕を強く強く引っ張る
夜の隙間に僕は落ちていくのさ
君に会おう 君に会いに行こう
さあ
三衣さん、寄稿いただきありがとうございます。
それぞれの数字の意味は、29.5日(月齢の周期)、2.1GHz(携帯電話の通信に使われる電波の周波数)、9.8m/s2(重力加速度)を表しているそうです。
数字になぞらえた詞が印象的な作品ですね。
また言葉の使い方に奥行きがあって受け手側にstoryを想像させる形になってるように思えます。