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partner  作者: 皐月 悠
7/12

【7】


【7】


 私、理佳は、お菓子作りに興味をもった事が少なかった。

 全く興味がなかったわけでもなく、学生時代には交換もしていた。レシピを見ながらであれば、作れないわけもないのだと思う。

 帰宅してから部屋の照明をつけた。

 「・・・美味しかった」

 チョコの味を思い出して、口元を手で触れる。

 どうして作り方を教えてもらう事にしたのかは、優しい甘みがちょうどよくて、口の中の触感も溶けるように自然に消えた。そのすべてが美味しかったからだ。まるで・・・。

 「何が美味しかったの?」

 後ろから玲の声がして振り向くと、きょとんとしている表情と目があった。

 「なんでもない」

 連想してしまったものを頭の中から追い出すために、慌てて顔をそらした。

 「ふーん」

 特に追求するでもなく玲は、部屋の中に入ると荷物を置き、電気ストーブをいれた。ベランダに干してある洗濯物をとりこみ、そのまま畳む。

 「今日、休みじゃなかった?」

 「本屋に行っていたら、この時間になっていた」

 「そうなんだ。あ、これお土産」

 「ありがとう♪ここのお菓子、美味しいよね」

 目をキラキラ輝かせて、洗濯物をそれぞれのタンスの引き出しにしまっている。私は荷物を置くと、そのままお湯を沸かす。

 私があの喫茶店に時々行くのは、お菓子が美味しいからだ。行ってみたいなと思ったのは、執事な服装のスタッフが居るからだったけれど。

 紅茶の茶葉をティーポットに自分の分を入れる。

 「紅茶でいい?」

 「いいよ」

 一人分を追加してからお湯をいれ、お皿を二枚食器棚から出して置く。焼き菓子を袋のまま食卓の上に置いた。

 「こういうのを作れるっていいよね」

 「そうだよね。玲の場合、そのまま餌付けされそう」

 「・・・・・・人の事をなんだと思っているの?」

 不機嫌にそう返してくる。

 「うーん、可愛い生き物?」

 「・・・・・・ま、いいけど」

 コップに紅茶をいれて、玲にも渡す。美味しそうに焼き菓子を食べている様子を見て、教えてもらえるように頼んでみてよかったと感じた。

 「ね、理佳は果物だと何が好き?」

 「苺かな」

 「・・・苺か」

 「?」

 「なんでもない」

 玲が、その質問をしてきた理由は、後日分かる事になる。


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