手を引かれ、惹かれた日々
冬になって
影が伸びていくのを
二人並んで見ていた
背の小さな少女二人の秘密だった
私の手を引き、快活に笑う彼女は
紛うこと無く
初恋だった
彼女が私に笑いかけるとき
それは天使に話しかけられる神聖さで
彼女が他の人と話すとき
軀が燃えてしまう様に嫉妬して
彼女が秘密だよ、と私にだけ打ち明けるとき
それは世界で一番幸福なときだった
彼女の側に居たかった
誰よりもずっと、一番近くに
彼女に手を引かれて走るのは
私だけで良い
他の人に触らせたくなかった
彼女を会話の軸にするのも
私だけの彼女それと同時に
彼女だけの私で居たかった
一人で影を見ていて
隣に誰も居ない悲しさと虚しさに
気付いたのは遅過ぎた
一人で伸びていく影
一緒に居るはずだった、もう一人の
私の女の子
私の
わたしの
ずっと、ずっと言えなかった想いと
想い出を影に託して
ちゃんと少し大人になった私は
少し大人になった彼女に出逢ったら
出逢えたなら
そうやってずっと側にいて良いなら
今度は伝えられるかな
私が手を引いてあげられるかな
美しく、孤独な少女へ
貴女が好きだ
そう言えるかな