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イタタタタタタ

「ハァ、ハァ、クソっ」

追われるその人物は、少年。

「俺のインフィニティフィンガーが効かないなんて…なんてやつだ。仕方ない、プラズマキャノンを使うしかない…あれは使ったらしばらく動けなくなっちまうが…こうなっちまったらしょうがねぇ…死ぬよりはマシか」

男は右腕を左手で持ち上げ、右手をみえない何かに向け…

「プラズマ・キャノン!」

吠えた。




「くぁーあ、よく寝た」

伸びをするこの少年、中学1年生の鋼勇乍はがね ゆうさく。学校生活にも慣れてきて、友達も沢山できた。

「やべっ!こんな時間!」

慌ててベッドから飛び出し、1回の食卓へ。

「かあさん、なんで起こしてくれなかったんだよ」

「起こしたわよ、何回も。すーぐ布団にくるまっちゃうから、もう諦めたわ」

ぶー垂れながら、食パンを頬張る。卵焼きをつまんで口へ。これがほんとのつまみ食いである。

牛乳で口の中の食べ物を一気に胃に流し込み、慌てて歯磨き、うがい。

鞄を担いで家を飛び出した。学校までは歩いても10分、朝の会まで残り20分。余裕で間に合う。あんなにあわてる必要なかったな、と勇乍は少し損をした気分になりながら、道を歩いていた。

「くっそ、こんな時間からぁ!」

と、突然道路のわき道から、学生服を着た少年が飛び出してきた。どうも同じ中学らしい。上級生かな?

「えっと、おはようございます」

「何やってんだ、こんなところで!死ぬぞ!」

食い気味にそう叫んだ男は、汗だくで憔悴していた。

「危ないから早く逃げろ!巻き込まねぇようには戦えねぇ!」

勇乍は、危ない人を見るような眼・・を隠しながら、

「わかりました、とっとと逃げます」

その男から全力で離れた。



授業も部活も終わって、クラスメイトで部活仲間のヒデと家路を歩いていた。

「うーん、何だったんだろ、あれ?」

「どうしたんだ?今日は上の空っていうか、考え事してるみたいだったけど」

「いやさ、今朝登校中にさ、変なことしてる人がいたんだ。多分先輩なんだけど…戦えないとか巻き込むとか…意味わかんないこと言ってたからさ。」

「うーん、もしかしたらそれ、中二病かもね」

「ちゅうにびょう?」

聞きなれない単語に、勇乍は首をかしげる。

「男子は中学二年になると、イタいことするようになるってやつ。モンスターと戦ってみたり、右手に意味もなく包帯を巻いてみて、”静まれ!我が右腕”ってやってみたり…やべぇだろ?」

「うわぁ・・・俺絶対そんな風にはなりたくねぇ。オタクじゃん。だせぇじゃん」

「だよなぁ…なんであんなこと平気でできるのかわかんねぇな。しかも、外で大声で」

一時期まで子供は万能感を持っている。それが、3歳くらいになってくると、徐々にできないことも沢山あるということに気づいてくる。中二病患者は、ある意味では万能感が復活している、地震の塊なのかもしれない…。


こんな風に言っている二人が、中二病になることはまれである。いや、少なくとも表に出すことは“ダサい”のでしないだろう。


だが…彼らにも中二病は無関係ではいられないのである…。


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