ギャップ萌えや喋る金 3
本編3
店「いらっしゃいませー」
弦「さて、どれにしようか。一万あればなんでも買えるからな…」
店「何かお探しですか?」
弦「そうですね。もし勉強好きな親がいて、子供に渡した参考書代で買われるとすごく屈辱的な思いをするゲームを探しています」
店「そうですか。ではこちらへ」
弦「はい」
店「こちらは恋愛シミュレーションゲームのコーナーになります。男性向けで最もえげつな…いえ、エロい…じゃなくて、官能的な…、いや、親御さんを絶望させられるものはこちらです。『コールドクラウド』というゲームです」
弦「どんなゲームなんですか?」
店「アメリカが日本向けに作った自由度の高いゲームです。主人公がいろんな立場の人間になりアクションをするゲームです。一周目だと城主や皇帝、将軍、貴族など階級の高い職につきます。時代は中世をモチーフにしているようです。地位を駆使して少女を集め、恋愛をします。本妻が一人と愛人が五人まで作れるようです。二周目以降は、時代が一周目とおなじ中世か、現代の二種類が選べます。現代では中世に出てきた少女が生まれ変わり登場します。そのほかに現代にのみ登場する少女もいます」
弦「現代ではどんな職業があるんですか?」
店「いい質問です。現代では、サラリーマン、ラーメン屋、株主、学生、銀行員、猟奇的殺人鬼、勇者などが選べます。サラリーマンは外回り営業で少女に近づきます。ラーメン屋はバイトの女の子と、株主は株で儲けた資金で女の子を買います。学生は学園恋愛が楽しめます。銀行員は横領しつつばれないようにとにかくお金のかかる恋愛をし、殺人鬼は通り魔となって少女をさらいます」
弦「勇者は?」
店「プレイしてからのお楽しみです。三周目以降は熟女や幼女と恋愛することができ、主人公は異形のモンスターになれます」
弦「気になるけど…もっと絶望させられそうなゲームはなんですか?」
店「そうですね…。ゲーム自体で絶望させるより…。お客様が男性でいらっしゃるので女性向け恋愛シミュレーションゲームで男性と恋愛するほうがはるかに打撃を与えられるかと…」
弦「俺にその気はないので、もっとえげつないゲームはありませんか?」
店「では店長を呼んできます」
弦「お願いします」
長「お待たせいたしました。さきほど店員のほうから『めちゃくちゃえげつないやばいゲーム』をお探しすること、と聞いてきましたが…」
弦「おおむねそうです」
長「それならこの店で一番えげつないゲームをご紹介いたします。持って参りますので少々お待ち願います」
弦「はい」
弦「なあ、諭吉のおっさん。財布は窮屈ですよね?あんたでゲームを買うことは決まってるから出してあげるよ。ポケットに昇格ね」
金「やめなさい!買うなら参考書や問題集にして、単語帳でもいい。ああ、なんなら英訳をした漫画でもいいんだ!」
弦「店長が来た。静かに」
長「お待たせいたしました。こちらがえげつないゲームです」
弦「内容はどんな感じですか?」
長「はい。主人公が何でも屋になって様々なアクションをするゲームです。モンスターを育成したり、さらわれた姫を助けに行ったり、戦争を止めるために軍に身を投じたり、ゾンビを撃ったり、探偵となって謎解きをしたり、弁護士になったり。まだありますよ。アイドルになったり、ファッションコーディネーターになったり、村を作ったり、借金を返したり、車を運転したり、ボクサーになったり、廃墟を探索したり、ぷよっとしたものを繋げて消したり、クイズに答えたり、大富豪やババ抜きをしたり、魔法を使ったり、魔王を倒しに行ったり、恋愛をしたり」
弦「初心者殺しということですか?」
長「いいえ、むしろゲームに慣れていない方にプレイしていただきたいゲームです。何がえげつないかというと、とにかく不謹慎なことです。軍に配属され昇格を繰り返し、最後に核ミサイルを撃ったり、作った村をやり直すときは火を放ったり。廃墟ではさまざまな亡霊がでますが、鮮明なグラフィックで内臓や脳がむき出しになっているものを描いています。モンスターを育てた場合対戦をしますが、相手のモンスターが倒れると対戦相手はモンスターに泣きながら縋り付いて『もう一度俺の顔を見てくれ!』など、悲劇を見せてくれます。恋愛シミュレーションにおいては女性と恋愛をしながら男性とも恋愛ができるという新しい要素があります。恋愛が進むと年齢確認の画面が出てきて、条件をクリアするとまことにえげつないことができます」
弦「不謹慎なんですね?」食い気味に
長「不謹慎なんです」
弦「じゃあそれください」
長「お買い上げありがとうございます。本品をレジで用意いたしますので、申し訳ありませんがお待ちいただけますか」
弦「はい」
金「やめなさい!今ならまだ間に合う。ゲームは誘惑でしかない、いけない!」
弦「店長が来た。黙って」
長「大変お待たせいたしました。こちらで間違いないかご確認をお願いします」
弦「これです」
長「5298円になります」
弦「一万円で」
長「一万円お預かりします。こちらレシートと4702円のお返しでございます。ありがとうございました」