村で
続きます
メイヤードさんが村を案内してくれた。村の人に僕の顔を覚えてもらうためでもあるらしい。不審者ではなく客人だと。
ありがたい。
今日は家に泊めてくれるらしい。夕食も出してくれた。そういえば異世界に着てから食事をとってなかった。ありがたくいただく。傷の手当てもしてくれ、寝床も用意してくれた。すごくいい人だ。今日は大変だった。寝よう。
次の日の朝、メイヤードさんに魔法について聞いた。
どう出すのか、どんな魔法があるのか。
メイヤードさんによると魔法は属性というものがあるらしく人によって使える魔法は違うらしい。メイヤードさんがちょっと待ってろと言って立った。戻ってきたその手には水晶玉のようなものが乗っていた。台をおきそのうえに玉を固定する。ここに手をかざしてみろと言われる。言われるがままに手をかざすと玉の中に木や花が浮かび上がった。
「おめえの属性は植物だな」
まじかー。あんま強くなさそう。
「授かり物は…ないな」
なんだそれ?
「授かり物って何ですか?」
「うん?ああ。簡単に言うとだな魔力がいらない特殊能力だ。持ってる奴は少ない。気にすんな」
たぶんだが異世界に転移された奴らに与えられた能力というのも授かり物というやつなんだろう。魔力がいらない能力。スタミナ切れみたいなのはないわけか。つえー。うらやましい。
「よし、魔法の基本くらいなら教えられる。ついて来い」
魔法というのは魔力を炎や木などに変換するものらしい。魔法をつかうときに必要なのは明確なイメージ。
詠唱によって明確なイメージを組み立て魔法を顕現させる。
つまり複雑な魔法ほど長い詠唱が必要。
植物魔法だけがもってる特性として他の生物のエネルギーを吸いとることができるらしい。
これは便利だ。
教えられるのはこれくらいだとメイヤードは言った。魔法が発動できるようになるには何日かかかりそうだ。森の中で修行をしよう。その後異世界勇者達を探しに行こう。彼らがやっていることをこの目で見るために。あちらの世界に戻るために。
大きな町に行きたいのだがここからどうやっていけばいいのかとメイヤードさんに尋ねる。
「ちょっと待ってろ」
しばらくして簡易的なリュックと片手剣をもってやってきた。
「こんなかに地図とコンパスと衣服と水筒と食料と金がすこし入ってる。これを持ってけ」
「あ、ありがとうございます。で、でも、どうしてここまでしてくれるんですか?会ったばかりの他人に」
さすがに親切すぎる。
「ウィルが選んだ人間だからな。あいつがこの村に連れてきたんだろ、おめえを。だったら悪い奴じゃねぇ。あいつはこの村の守り神みたいなもんだからな。それにわしにはおめえが悪い奴には見えない。なにか大きな町にいかなくちゃいけない理由があるんだろ?だったらわしのやることは決まる」
顔が赤くなりうつむく。恥ずかしくなった。こんなにいい人を何かあるんじゃないかと疑ってしまったことを。
「お世話になりました。ありがとうございましたっ!」
村の入り口まで見送ってくれたメイヤードさんに深々と頭を下げた。
「おお。近くまで来たら顔出せよ」
いい人もいる。
いるんだ。
やっぱり。
よし。頑張るぞ!
目指せ魔法習得!
ついでに体鍛える!
次回魔法猛特訓アンド筋トレ祭り