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異世界勇者たちのための葬送曲  作者: 浪人生NEW
異世界に来て
3/33

魔力の目覚め?

 眩しい。


 なんだ?

頬の傷がヒリヒリする。顔が生温かい。 

目を開けると目の前に狼の顔面。

「うぉっ!」

ビクッと後ずさる狼。

この前会った狼だ。何故かそう思った。どうやら敵意はないらしい。ただ僕に興味があるだけのようだ。なんとなく話しかけてみる。

「心配してくれたのか?」

くるくると尻尾を回す狼。可愛らしい。

「この前はごめんな。怖がらせて」

狼をなでる。

ペロペロと顔を舐められる。

「ははっ」

気にすんなとでも言ってるのだろうか。

太陽が眩しい。

どうやら長い間気を失っていたみたいだ。

よく襲われなかったな。もしかしてこの狼がいたおかげだろうか?

「ありがとう」

狼はいきなりどうした?とでも言いたそうな顔。

クスリと笑い立ち上がる。



 さて、体の変化はあるか?

気持ち悪さや体の痛みは、もうない。

鼻血は、止まっている。地面はひどいことになっていたが…。

 しかし何かが変わった感じはあまりしない。 

試してみるか。

「ちょっと離れてて」

何となく体に力を入れてみる。そして右手をかざす。

「出でよ、炎!」

…………。

何も起こらない。

いやいやいやいや恥ずかしっ!顔が真っ赤になる。

 ちょっとかっこつけて出でよっとか言っちゃったし。

地面をごろごろと転がる。

 うわぁ土に帰りたい。



よし、誰かに教えてもらおう。魔法は。

一人で試してたら使えるようになる気がしないし、恥ずかしいし。

 よしそうと決まれば村か町を探そう。

地図、地図。

「狼に聞け。

なおこの地図は今後一切使えなくなる。

あ、でもたまにこんな風に我からのメッセージを送るから、大事にとっとけよ」


との文字が表示される。


 もう、地図は使えないらしい。

仕方ない。狼をチラリと見る。

 綺麗な眼。

でも、狼に聞けと言われましても...

 まあ、ダメもとで聞いてみよう。



「狼君、この近くの人間がたくさんいるところを知らないか?」

「ワォッ!」

歩き出す。

 驚いた。

ほんとに僕の言葉が分かるのかもしれない。賢い。

「ついて来いって?」

しかし、歩みを止めて伏せをする狼。こちらを見てウォウと吠える。

「乗れってこと?分かった」

狼にまたがる。

スクリと立ち上がり走り出す。

だんだんと速く、速く。道は険しい。落とされないように必死でしがみつく

  


 

 筋肉痛がやばい。

しかし、文句など言ってられない。狼は僕のために湧き水が湧いている場所に寄ってくれたり、果実の採れる木を教えてくれたのだ。

狼も食べていたので、あれ、狼って肉食じゃなかったっけ?と思ったが細かいことなので気にするのをやめた。

狼はこちらのためにいろいろ考えて行動してくれている

頑張らなければ!



 夜、すやすやと眠る狼を眺めて思う。

なぜこの狼はこんなにも自分を気遣ってくれるのだろうか?

なにか、この狼に特別なことをした覚えはないし、むしろ脅かしてしまって迷惑をかけた。

いつかなにかお礼がしたい。


 どれくらいしがみついていたのだろうか。体がだるい。家っぽいものが見えてきた。

「ワォッ!」

狼は立ち止まった。

「ああ。ここまででいいよ。ありがとう」

背中を頭をなでる。森の中に帰っていく狼を見送る。

「本当にありがとう!!!」

狼は一度吠えると去っていった。




 さて、ここからどうしよう。どうやって人に話しかけようか。人に話し掛けるのは苦手だ。不審者扱いされないようにしないと。まあ、頑張るか。それしかない。猿の時みたいに、いきなり襲われたりはしないだろう。…たぶん。

だいじょーぶ。

僕からしたら、あれからしたら、



村人に話しかけることなんて、簡単なはずだ。


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