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どう考えても質問に問題が有るのに答えると俺のせいになる。


37日目  朝 最果ての迷宮 外



 1Fの、エントランス、、、と言うか、迷宮の出入口をくぐり地上に出る。眩しさに目が眩むが、きっとみんな笑顔だろう。


 どうやら外は夜が明けたばかり、一日の始まりみたいだ。やっと、みんな一緒の一日が始まる。


 「やっと外だー、大脱出だー、イリュージョンだー。」


 一週間ぶりに迷宮の外に出られて、遥君も喜んでいる。でも、イリュージョンの欠片も無く全部が力業だし、大脱出しないで丹念に大虐殺を繰り広げて皆殺しにしちゃったよね?最下層から殲滅戦して上がって来たんだよね?「外だー」以外全部間違ってるよ?あと、あのエントランス誰がやったの?


 外には大人数の人だかりが?こっちを見て驚いている様だ。


 冒険者ギルドと冒険者の人達。受付のお姉さんや、ギルド長さんまで居る、それに、大量の物資。


 心配して来てくれたんだろうか?冒険者を掻き分けてギルド長のハキエスさんが駆けよって来る。

 

 「みんな無事かね?治療師もつれて来た。怪我人は何人いる?、、、!?」


 そして、ギルド長さんは遥君を見つけて驚きながら詰め寄って来る。


 「、、、って遥君?え!?下層に落ちたんじゃなかったのかい?大丈夫なのか?」


 「?、大丈夫って?落ちたから上がって来るよ?落ちて上がって来なかったら大丈夫じゃないよ!?多分?」


 ギルド長さんが悩んでいる。この人は真面目過ぎて遥君の言葉を理解しようとしてしまうんだ、だから全く理解できずにいつも悩んでいる、遥君の言葉に意味を求めちゃ駄目なんだよ、遥君自体が意味不明なんだから。何が質が悪いかって言ってることは間違ってないのに、意味が解らないんだ。


 救助に集まってくれた冒険者の人たちも、意味が解らずにこっちに注目している。


 だって、私達も説明に困ってるんだよ、遥君に聞いて話は理解したけれど、頭が理解してくれないの、頭の中の常識が受け入れ拒否しちゃってるの、受け入れると常識と頭が壊れちゃうから拒絶してるんだよ、だから説明できないの。誰一人。


 「おひさー?って、初対面?って言うか、誰もこっち見ない??」


 遥君に気が付いた冒険者の人たちが一斉に首を90度捻る、何人かは無理矢理に捩じって首を痛めちゃっただろう。凄い音してたよ?もう、目を合わせるのがトラウマになっちゃってるんだ、きっと。


 「無視だよ、苛めだよ、しかとだよ、ガン無視だよ、余所者苛めだよ、ハブだよ、マングースだよ、、、、、(以下長文)」


 遥君が何か文句を言っているがマングースの辺りから意味不明だ、ほっとこう。既にエゾシカまで出て来てるし、意味は無いだろう。


 冒険者ギルドは私たちを支援するために、ベースキャンプを造ろうとしてくれていた、迷宮の地下に、皆で魔物と戦いながら、私達が補給できるように、最下層まで向かえる様に、そのために集まってくれていたんだ。ここにいるみんな私達の為に。


 それなのに、落ちた張本人は未だ文句言っている、「もう、イワトビペンギンだ」とか文句言っている、最早、文句ですら無くなってるよ?、、、ほっとこう。


 何とか頑張って状況を説明した。


 何があったのか分かっている事を。


 きっとみんな意味解らないだろう。


 私達だって解らない。


 やらかした本人が訳解らない。


 だから、大事なことだけを。

 

 もう迷宮が死んだこと。


 中の魔物も全滅したこと。


 みんな無事なこと。


 もう迷宮は復活しないことを伝えた。


 迷宮皇さんが居ないから復活できない。


 迷宮皇さんが素知らぬ顔で横に立ってる事は言わない。


 だって迷宮皇さんって街で宿を取ったり、買い物に出たりとかあんまりしないと思うんだー?普通。


 多分、宿屋で「この人は迷宮皇さんだよ。」とか言うと、看板娘ちゃんは泣きながら不思議な踊りを始めちゃうよ?


 「この人迷宮皇さんです。」とか言うと、あんまり門番さんが通してくれる気がしないし?でも迷宮皇さんに意地悪すると遥君がもっと非道い仕返しするし、黙ってた方が街にとっても平和だと思うんだよ。だって、街に危険なのは使役者の方なのだから、迷宮皇さんはとても良い人外だ、でも使役者は人の皮を被っているかどうかすら怪しい位の自称人族の埒外だ。


 そうやってお話したり、説明したり、ちょっぴり誤魔化したりしながら街に向かう。


 みんな喜んで良いのか、納得して良いのか、まだ頭が理解を拒んでいるのか、一様に複雑そうな顔だ。


 良かった。あれがすんなり納得できる人がいなくて良かった。この世界には遥君みたいな悪逆な人は居ないんだ。


 街が見えて来た。なんだかとっても懐かしく感じる。


 遥君が一緒に居るだけで、街がとても懐かしくて、宿も、、、名前以外は、恋しい。


 門の前には武装した兵隊さん達が整列し、何かの準備をしている。


 「あれは、オムイ様が遥君の救出の隊を用意されてるんだ、ちょと事情を話して来るよ。」


 そう言って、ギルド長さんは兵隊さんたちの方に走って行った。真面目だ。


 みんなが、街の人達が心配しててくれたみたいだ。助けようとしていてくれたんだ。


 遥君を、私達を。余所者の、新参者の、厄介者の私達を。


 いや、厄介者は一人だけなんだけど。


 その人は更にある意味凄く厄介な人も使役して連れて来ちゃってるけど。厄介者どころか災厄者なんだけど。


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