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タッチはYesなのかNoなのか?お前が問題だ

8日目 洞窟



 朝飯を食べながら、重たく長い話が続く、文句と悪口と恨みと憎しみを抜いてくれると、話が早いのだが、どうやらオタ達にはそちらがメインのようだ。


 異世界に召喚され、魔物と戦い、サバイバル生活、そんな一週間の話の殆どがクラスメイトの悪口、もう異世界じゃなくて良くね?


 朝飯を食べながらも悪口、、じゃ無くて話が続く。ちなみに、当然茸だったのは言うまでも無い。


 「高LvスキルはSP貯めて、アクチベーションしないと使えないって話したらさー……」

 「3日目位から、あいつらが急にLv上げを始めたんだよ」

 「そうそう、近場の弱いゴブだけ狙って」

 「拠点から離れない、RPGの安全に城の周りの雑魚狙い」


 あー、犯人分っちゃったんですけど……。最早推理の必要も無いだろう、じっちゃんの名は聞かなくて良い位だ。


 「あいつらかー、まじで碌な事しねーなー」


 忍が探ったらしい、気配消してストーキングしたそうだ。男をストーキングしても楽しく無かったそうだ。


 良かったな、楽しくなったら終わってたぞ? いろいろと。


 あいつら=なんちゃって不良達は盗み聞きされているとも知らず洗脳した後の女子の分配とエロ話ばかりしてたそうだ。アホなの? 越後屋なの? 何で聞いてる傍から喋っちゃうの?


 なるほど強制ハーレム狙いか、って言うかオタ達にオタオタ言って苛めてた不良の割りに詳しくないですか? まあ、なんちゃってだし?。


 当然、対策を始めた。「傀儡」と「魅了」の効果と危険性、アホ達の話していた事を委員長に教え、発現した時には封印する事を伝えると、委員長も腹が決まったのか積極的にLv上げを始めたらしい。ちなみに委員長まじチートらしい。


 そうこうしながら、作戦を立て、準備をしつつLvを上げながら備えを進めて行った。

 

 そうしてこの世界に来て5日目。遂に傀儡が発現した、ポイントが貯まるLv15迄ずっとちまちまちまちまちまちまとLv1,2のゴブを倒し続けたそうだ。それをずっと見守っていた忍もさぞ感慨深い物が有ったとか無かったとか。

 

 その手堅さ、根気、見上げたなんちゃって不良達だ。


 ゴブのとどめも魅了持ち、傀儡持ちに譲りこつこつこつこつこつこつこつこつ戦っていたそうだ。見守っていた忍も退屈の宝箱だったとか。まいうーだったとか。


 その日も帰ったら俺ハーレムするんだ! だとかれっつ乱交ぱ~り! うぇぇ~だのと大騒ぎしながらも最後までLv1ゴブを倒し続け、遂に魅了まで発現させたそうだ。


 何て健気に真面目に切磋琢磨なななんちゃって不良達、もう只のなんちゃってだけで良いよね。不良向いてないよ君達。


 そしてそこに、まあ偶然にも学校一の美人委員長が他に誰も居ない森の中に、たった一人で現れたのだ。


 その時のなんちゃって達の心から溢れ出す様な笑顔は、それは大輪の腐臭花が咲き誇ったの様な不快さだったそうだ。


 そしてニタニタと嗤い合いながら委員長に近づき、醜悪な笑顔で委員長の眼を見つめ、なんちゃって達は…………揃って引っ繰り返り、痙攣しながら動かなくなりましたとさ。南無?


 って言うか、委員長様いったい何者ですか! えっ、プライバシーだから教えられない?


 いや、君は何日間も野郎をストーキングしてませんでした? めちゃプライバシー覗いてなかった? 野郎の?

 

 そうして倒れている間に、スキル持ちの二人に封印を施す。誰が封印したかは委員長にも秘密らしい。


 こいつらにばれた時、確実に狙われるからな。


 そのまま動かないなんちゃって達を縛り上げ、引きずって帰り拠点で全員にやつらの魅了傀儡奴隷ハーレム補完計画を暴露した。


 それを聞いて怒り狂う女生徒軍団にびびりながらも、なんちゃって達はオタ達に封印を解けと凄む。当然、完全にアウェイで非難の大合唱。


 当然、奴隷にすると言われていた男子生徒も非難のビッグウェイブに乗る。完全に殺気立つ中、ビビルなんちゃって達。


 散々に罵りながら全員一致でなんちゃって達は拠点から追放された。オタ達は羨ましい事にリアル「覚えてろよ」を聞けたらしい。


 これでやっと解決。



 とは行かなかった。

 

 その日の夜、オタ達は4人共警備の休憩でテントで仮眠を取りつつ話し合いをしていた。


 最初に気付いたのは忍、テントが遠巻きに囲まれている、しかも6人。


 魔導師が探知結界を牽いているので魔物なら直ぐに反応する、しないのだから人間だ。


 あいつらが柵や罠にかからずにここまで来れる筈は無い。警備の誰かが通したのか?何故?


 「くそオタっ!出て来いやぁ!武器持つんじゃねーぞ、早くしろぉ」


 外から怒鳴り声がし、テントに火を点けられる。


 4人は外に飛び出し、守護者が結界を張る。周りから一斉に魔法が打ち込まれる。


 聖者が光魔法で結界を強化してながら耐える、その間に準備していた忍が閃光忍術で敵の眼をくらませ、魔術師が空気弾を連射し制圧する。


 テントの中で話合っていた通りの連携だ。


 それでも奇襲を受け、囲まれた状態では不利だ。


 まして、オタ達は空気弾や水の鞭といった威力の弱い魔法で対抗しているのに対し、向こうは本気で火炎弾や爆破魔法を打ち込んでくる、完全に殺す気だ。


 このままだと拙い。


 周りは見ているだけで助けにも来ない。


 結界も長くは持たない、本気で殺し合いをするしかないのか?人間同士で?オタ達は決断できなかった。


 そこでやっと外に巡回に出ていた委員長達が帰って気きた。遠くから魔法で援護射撃を始めてくれた。


 やつらが逃げるのを周りは誰も止め様ともしない。


 「次は絶対ぶころすからなああ!!」


 そう怒鳴りながら、逃げて行った。


 委員長達が帰り着いた時には拠点は燃やされ、流れ弾と火で怪我人多数、食糧の備蓄も燃えてしまっていた。


 警備に就いていた男子も「話をしに来ただけ、邪魔するな」と脅され黙って通したらしい。


 これから狙われ続ける以上、オタ達も分かれて単独行動はできない。


 拠点の再建と防備、食料の再調達、そして自分達の警護。眠るのにも警護が必要となれば身動き取れない。


 とにかく、自分達は怪我をしたまま辺り火災を消し止め、周りの怪我人を治療し、残骸の中から使えるテントを探し張り直す。


 皆に非難されながら。


 「お前達のせいだ」

 「あいつ等と揉めたせいだ」 

 「責任を取れ」

 

 怪我を治療してやっても、お前らのせいでと蹴られる。


 火を消していても、どうしてくれるんだと石を投げられる。


 テントを張り直していれば、お前らが調子に乗るからだと殴られる。


 警護に立てば、後ろで罵り続けられ、唾を吐きかけられる。


 味方はいない。 


 これで、オタ達は逃げるか、殺す2択しか無くなった。


 たった4人だけで毎日24時間自身を守り続けるのは困難だ、撃退するだけでは何時か殺られる。


 今までの様に、仕事を分担していれば一人のときに狙われるだろう。

  

 ここに残れば、一人ずつ殺されていくだけだ。


 やつらを殺すか、ここから逃げるか。


 委員長達は、周りの生徒達を必死に説得してくれたらしい、オタ達がいなくなるデメリットもだ。


 オタ達を警護する事、食料もオタ達に頼らず、せめてローテーションでやろう。


 あいつ達とも戦わねば為らない、もちろん魔物ともだ。その為のLv上げだって必要だ。


 このままで、オタ達が殺られればどんな事になるかもだ。


 今までとは違うのだ、この世界で生き残るために協力し教えを請うべきだと。



 それでも変わらなかったらしい。


 便利なパシリ、八つ当たりの相手、未だに学校と同じ気分なんだろう。


 戦うのは怖い。生き物を殺すのも嫌だ。殺されるのも、怪我をするのももっと嫌だ。


 学校で味噌っかすだったオタ達だ、強く言えば言うこと聞くだろう。数の力は自分達にある。

 

 せめて、オタ達に頼むと言うなら話し合いも出来ただろう。だが、できなかった。


 ならば、縋れば、頼み込めばオタ達も妥協案くらい出せただろう、できるわけがない。

 

 あいつらのプライドが許さなかったのだ。

   

 だったら、そのプライドとやらで自分達で生きて行けば良い。それだけの事だ。


 そして、オタ達は逃げてきた、四人だけで。


 不良もどきに追われ、助けた生徒達にも追われながら。


       ・

       ・

       ・


 重い話は終わり、遅めの昼ごはん。もちろん茸です。そして白い部屋でのことを話し合う。


 それ以外にもいろいろ情報交換、直ぐ出来ると言うので隠蔽を習ったり、お返しにジュースを持たせたり。


 武技は杖術しかなかったと言えば神道夢想流杖術?有名な杖術が在ると教えてもらい、お返しにキノコをカバンに突っ込み。


 朝が来るまで喋り通した。こんなに喋るのはいつ以来だろう?一ヶ月や2ヶ月の話では無いのでぼっちLv2のせいでは無いだろう。


       ・

       ・

       ・

         

 遅めの夕食、食べて直ぐ寝ると牛になるらしいが、オタなので問題ない。オタから牛へクラスチェンジだ、進化と言っても良いだろう。


 朝昼晩と茸を食わせ、牛にまで育て上げたのだ、この牛達は俺が育てた!!と言っても過言ではないだろう。良し、ドナドナだ。


 風呂にも入り、オタ達も旅の準備は終わったようだ。後は寝るだけ、


 「と言う訳で、これから街に行こうと思っているんですが、一緒に行きませんか?」


 勧誘か。幸せの壺?


 「すいません、僕無宗教なんで」


 目を逸らしながら答える、完璧なアンサーだ。


 「いや、宗教関係ないですから!」


 粘るな~。


 「うちTV無いんで、結構です」


 これでどうだ。ファイナルアンサーだ。


 「N○Kでも無いです、って言うか異世界でTV持ってたら怖いですよ!!」


 なに!これでも駄目なのか!


 まあ、余りおちょくっても真面目に誘ってくれているのに失礼だろう。


 「真面目な話、冒険者とか無理だから、俺のスキルでは。この辺りでノンビリ隠居してるよ、誘ってくれて有難うな」


 俺の呪われたステータスでは足を引っ張るだけだろうに。


 かと言って、こいつ等を引き止める訳にもいかない、街に行きたくてウズウズしてやがる。もう、命狙われてるの忘れてるんじゃないか?


 街で冒険者というのは考えた、鉄板だ。しかし、街では宿代、食事代が掛かる。それを稼ごうと思えば強い魔物と戦う実力が必要だ。


 ここなら、洞窟宿泊無料、食事自力現地調達、周りは弱いゴブばかりで安全。


 生活レベルと引き換えとは言え、安全は寧ろ森の方が高いのではなかろうか?街の治安も分からないのだ、余所者なら尚の事だ。


 「異世界に来て冒険者にならないとか、何を言っているんだお前は!!」 

 「一緒に行けば良いんですよ、数は力ですよ!!兄貴!」

 「冒険者できますって、街ならスキル付きの武器だって有る筈だし」

 「街には若い娘がいっぱいですよ!!」

 

 誰が兄貴だ。ずいぶん押して来るがチート持ちの貴方達とは違うんです。 ひきこもりのにーとでぼっちの何が悪い!?いや最悪ですけどね。


 しかも若い娘ってお前16才だろうが、おっさんか。いや待て、こいつの言う若い娘は何才なんだ? おまわりさ~んなのか?。


 「いや、無理だろう。全部外れスキルだし、更に称号が足引っ張るし、、、、土魔法だけじゃな~」


 本当は火魔法もいけるんだが、内密に。


 「そんなこと無いですよ、既にこの辺りの強い魔物とも戦えているんですから、、、」

 「異世界人っていうだけで強くなれたりするんです、スキルが微妙でもLvさえあげれば、、、」

 「土魔法で街を作って領主になり、現代の知識と技術で発展させるって言うのもありますよ」

 「この石の家具でも中世レベルなら大商会つくれるし、、、、」


       ・

       ・

       ・


 「杖術が有るんだから長い棍を試してみれば、、、、」

 「三節棍だっていけるかも!!」

 「土魔法で壁を作って、狙い撃つぜっって言う手も、、、、」

 「健康は大事だよ、病院ないんだし」


 って言うか、なんかオタカルテットの知識量すごくない?


 こいつ等いなかったら42人の大集団で森の中、しかも魔物有りとか一般の高校生なら全滅していただろう。


 学校生活ではあんな目に遭っていたのに42人分の食料を獲って分配し、みんなにスキルの使い方を教えるとか結構好い奴らなのだろう。


 「街は基本川沿いに在るんです、このまま下れば、、、」

 「森の奥にエルフの町が、、、」

 「いや、獣人ならば森の、、」

 「高い所から地図を、、、」


 話を聞いているだけでかなり勉強にな、、、、、、、、る?

   

 「いや奴隷有りでしょう、美少女で」

 「令嬢達が盗賊に追われながら僕が来るのを待ってる筈!」

 「タッチはYesなのかNoなのか?それが問題だ、、、」

 「街と言えば、宿屋の看板娘!!」


 「「「「いやいや、わいのわいの」」」」


    ・

    ・

    ・


 「いや、そこはケモ耳しかないだろう、モフモフだぞっ。」

 「エロフがきっと襲われながら待っているんです!触手に!!」

 「絶対に、ドワーフ娘はチッチャイんだっ!」

 「くっコロ以外は認めない。」


 「「「「あーだの!、こーだの!」」」」


    ・

    ・

    ・


 もういいや、早く追い出そう。


 

         8日目終了





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