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犬なんだからお酢とか、大蒜、唐辛子を混ぜた粉でも投げ付ければ良かったんじゃない?と後日言ったら正座させられた。


31日目  最果ての迷宮 54F



 強すぎる。「ウェアウルフ Lv54」、人狼、狼男、映画でも有名だけど、ちょっと勘弁して欲しいよ。


 全身毛だらけで、狼が2本足で立ってるだけなんだけど。


 コボルトの色違いみたいな顔をして本当に強いの、ただ力が強く、ただ速い、それだけで圧倒的な強さ。狼人。


 追い詰めても力が強いと言うだけで勝てない。


 50~60匹、群れで行動して連携もする、そして狩る。戦うのではなく弱点を見極め一方的に自分の強さを発揮する。それが怖い、それこそが怖い。そしてこれこそが遥君の戦い方だ、だから怖い。深追いは出来ない。


 そして囲んでも速いと言うだけで決めれない。


 一切の主導権は狩る側にある、先手を取ってやりたい放題で後手も取る。付け入るスキがない、微塵も無い。突撃戦かと思えば消耗戦、持久戦かと思えば電撃戦、総力戦に見せかけ神経戦、翻弄されている、こちらから手が打てない。個人能力だけで持ちこたえている、その個々の能力までが強いんだ。ウェアウルフ。


 魔法は翻弄され、防御は搔き回され、攻撃は届きもしない、その癖に力押しで追い込まれる。そして此方だけが疲弊して行く、このままじゃ駄目だ。


 半円型の防御陣を半包囲網に変え誘う、中央には来ない。それは囮、ウェアウルフが狙ってくるのは包囲網の左右の両端のどちらかだ。


 右は私達、左は柿崎君達、これで中央と後衛を休ませ、左右のパーティーで各個撃破する、とにかく一匹でも減らす、少しでも手傷を負わせ後退させる。


 あの魔物は隙が在れば一撃で決めに来る。


 でも、決められないなら揺さぶり崩しに掛かる。


 だから、初手。


 左右に攻撃してきたら確実に仕留める。


 出来なければこっちが仕留められるだろう、一度崩れれば終わりだ。


 こっちに7匹、左には8匹、あとは陽動。此方を揺動させに来ている。


 「はあああぁーっ!」


 中央で突出したウェアウルフが一匹が捕まる。包囲攻撃で擦り減らせる。それをフォローしようと中に入ってくる2匹のウェアウルフを引き付けて、叩く、文字通りの意味で、槍で牽制し、シールドバッシュを叩き付け、槍を上から叩き込む、そして盾で首を刈り取る。バレー部コンビだ、実は盾が攻撃、槍は繋ぎ、低く構えて誘い、上から叩き潰す。中央の要だ。


 更に中に入ろうとしたウェアウルフが一斉に引く。ここだ、左右で攻勢に出る。


 副委員長Cさんが細かく切り付けて誘い、副委員長Aさんの攻撃範囲まで誘い込む。慌てて割り込むウェアウルフ達を私と副委員長Bさんが切り込み、囲むと副委員長A、Cコンビがウェアウルフ達の中央を突破し分離して一匹ずつ仕留める。中で3匹、こっちで4匹、柿崎君達も4匹、後衛が3匹で14匹だ。第2波の攻撃は小田君達が機制を宣して崩壊させる、2匹仕留めた。そのまま中央の女子部活組が攻勢に出て行く、囲めれば殲滅できる。でも向こうが引くのが早い。こちらも引くしかない、半円陣まで後退し体制を整える、数は減らした。こっちは治療もできるから持久戦は選べないはずだ。


 「ふーーーっ、次、準備だよ!」


 「「「「了解!」」」」


 後衛が罠を準備する、向こうは逃げるか、突破するしかない。



 退却した。


 2割五分から3割は削り取った、もう迷宮の魔物は復活しないから数を削れば良い。此方は怪我人のみ、治療も出来る、被害は殆どない。絶対に出さない。遥君が命を捨てて守ってくれたんだ、絶対に殺らせない。


 迷宮の魔物が復活しない、迷宮が死んでいる、つまり最下層で迷宮主が倒された。そして最下層に居るのは遥君だけだ、Lv100の迷宮主を倒しちゃいそうな物騒な知り合いは他に居ない。なら遥君は上を目指しているはずだ、きっと。


 「お疲れー、撤退終了だ。」


 殿の柿崎君達も53Fまで上がって来た、あと何度かの戦闘で54Fのウェアウルフ達も突破できる筈だ、55Fの階層主は居ないみたいだしまだ行ける、きっと行ける筈だ。でも無理だけはさせない。


 「中衛の文化部女子凄いねー。」


 警戒に出ていた小田君達や、女子体育会娘たちも戻って来た。最近誰かのせいで名前呼びしなくなってきてるんだよ、誰かのせいで。


 「元々、文化部女子は直接戦闘より攪乱とかの間接戦闘タイプなんだよ。前衛が止めれば効いてくる感じかな?」


 「幻覚に、状態異常、目眩ましもしてたし、足場にもなんかしてたよ?」


 「あくどい、実は、遥君的なキャラなのかも?」


 「「「「それは言い過ぎ!」」」」


 うん、みんな元気だ。まだ余裕もある。あれほど劣勢でも跳ね返せるようになってる、そしてLvも上げてるし確実に強くなってる。


 「今日はもう終わりで良いのですか?委員長?」


 噂をすれば図書委員さんだ、搦め手、揺動、状態異常、敵が集団なら一番怖い相手だ。


 「みんなは、まだ行きたいみたいだけど此処までだね。今日は。」


 「みんな焦り過ぎでしょう?心配し過ぎてます。確実に進行すれば勝手に上がって来ますよ、遥君は。」


 そう言い切って戻って行った。私と同じ遥君と11年間同じ学校で、遥君を良く知る図書委員さん。


 「まったくだ。遥の何を心配してるんだ?あれはもしスキルなんか何も無くても関係ないよ?全然?」


 高校から一緒の柿崎君達も同じ意見みたいだ。何故か遥君にだけ態度が違う。


 「遥君は、別物だからね。考えると解らなくなるよ。」


 小田君達まで口を揃えて心配すると馬鹿を見ると言い切る。断言する。小田君達は何かを感じているみたいだ。


 「でも~、そー言ってる人達が?一番突っ込んでるよね~っ?」


 と、今日単独突破しようとして引き摺り戻された副委員長Bさんが言う。


 私、高校からの付き合いだけど、親友だって自信も有るんだけどこの子の事が一番解らないかも知れないのは何故だろう?


 何故か戦闘中に遥君と同じものを感じたりするんだけど?


 大体いつも普通に前衛で戦ってるし、目を離すと勝手に無双してたりする。けど大賢者だよね?職業?


 でも、いつも無傷。怪我一つしない?、まさか、胸で弾き返してるんだろうか?「ぽよん」とか?


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