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いつも何処かで誰かに貶されている気がするのは何故なんだろう。


30日目  最果ての迷宮 51F



 迷宮の50FはLv50のサイクロプスだった、一つ目の巨人。とんでもない位に強かった。29名の防御陣が何度も崩され、前衛は何度となく治療の為に入れ替わり、後衛も魔力茸を齧りながら攻撃を続け切りギリギリで倒し切った。でも全員が負傷し疲労して倒れ込む様な有様だった。辛勝と言うにはきつ過ぎる、疲弊しきっている、Lv50一体で全滅させられそうに成る位の脅威だ、あれが階層主。50Fまでは居なかった、これからは小田君たちも解らないみたいだ、10Fごとに出るのか、25Fごとに出るのか、50Fと100Fだけなのか?最悪の場合これから5F毎に階層主が居るかも知れないらしい、階層ごとに今よりもLvが上がりながらだ、、、。


 実際に前衛に柿崎君たちがいなかったら支えきれなかった、あの5人の近接戦闘能力はステータスの数字を遥かに超えている、怪物染みている。周りとの連携も合流したばかりなのに、見なくても解っているかのように行動する、遥君は「あいつ等は本来この世界が最適なんだよ、平和な世界だからトップアスリートしてただけだよ、あれはただの戦闘民族。」って言ってたけど自分の目で見たらそうとしか思えない圧倒的な戦闘能力だ。


 それに島崎さん達の撃破力、既に小田君たちのLvも超えてLv80をオーバーしている。そして何よりも小田君達に謝罪と感謝をし、遥君とも再会できた、それでやっと精神が安定してるんだ。だから無駄な怪我も、消耗もなくなった。今まで周りを気にし過ぎてたけど今は集中してる、今では攻防、魔法戦にも八面六臂の大活躍だ。そしてまだまだ上がり続けるLv、いまだ遥君から経験値が分配されている。つまり遥君は私たちよりもずっと高Lvの魔物たちと戦い続けている、今この時も。


 そして、その動きを小田君たちが適切にフォローしていく。スキルを使いこなし、状況判断も的確だ、本当に異世界に来てから本気を出しているみたいだ。私達女子20人に9名増えただけだ、だけど戦力は倍以上になってると思う。前衛と中衛の厚みが違う、破壊力と防御力が格段に上がっている、そのおかげで、女子に多かった遊撃戦闘や一撃離脱が機能している、攻撃に変化を付け主導権を握れる。もしも、もしもクラス全員が纏まり機能すればもっと強かったんだろう、きっと。でも、もう、13名も減っている、それでもなおこれほどまでに強いんだ、私達は。


 それで尚のこと遥君の強さがわからない。あれは一体何なんだろう?Lvは12しかない、上がらない、上がってない。いつの間にか「魔導士」を持ってたけれど、でも無職。スキルは相変わらず暗殺者か斥候よりで、でも武技は近接回避戦闘型?なのに、魔法も6種類使えて、でも杖術がメイン?そして、空が歩けるようになったと喜んでいた?一体何なんだろう?そして、何処に向かってるんだろう?ステータスを見れば弱い、でも戦うと何故か強い。


 実際に遥君は一人でLv50のゴブリン・エンペラーを倒している。私達が29名でギリギリ勝てたLv50だ。


 おそらく今は最下層のLv100とかの魔物たちと戦いそれでも生き延びている。


 大丈夫なのかもしれない、でも大丈夫じゃないかもしれない。だって普通なら大丈夫なんて事有る訳が無い、有り得ない。


 普通に考えれば絶望的な状況なんだけど、考えれば考えるほど落ちた人が絶望的に状況を普通にしてくれない。


 何故ならば、本人に普通にする才能が欠如している。


 でも心配だし、だから心配なんだよ。


「今度は大丈夫だよ。前みたいに、あの時みたいに死にに行った訳じゃ無いんだから。」


 そう、今度は落ちただけ。


 フェロモンの指輪問題はあるけど、その時は没収だ。


 今度はさすがの遥君でも無理はしないだろう。


 それでも、、、、、。


 一緒にいても何かしでかしてた、みんなでお説教して、でも反省してなくて。


 それが目を離したら何してる物だか分からない、分かった物じゃない、何もしない訳が無い。


 疲労困憊のみんなを休息させて、回復した小田君たちが偵察に出てくれたんだけどどうも迷宮が死んでいるかもしれないらしい?上の階の魔物たちがリスポーン、つまり再発生や復活をしていないのだそうだ、要は倒せばもう復活しない?ならば後ろは気にしなくて良い。帰り道が安全なら行ける所まで行けば良い、そこに遥君がいるんだから。


 「みんな、疲れてるしー、私が下を見てくるよーっ?」


 「駄目です、パーティが揃うまでは全員待機です。」


 「私達のとこ五人揃ってるし、偵察だけでもしとくよ?」


 「後衛が魔力切れでしょう。駄目ったら駄目です。」


 「中衛なら3人復活しましたよ~?」


 「正規のパーティが揃わないと駄目ったら駄目。」


 みんな、少しでも先に、少しでも早く、下へと、遥君の所へと進もうとする。


 どのみち私たちは強くならないと追い付けない、横に並んで戦うこともできない。


 焦りが有るのかもしれない。


 焦がれているのかもしれない。


 遥君に。


 遥君を守りたい気持ちは本当なのだけれど、皆、遥君に焦がれているのかもしれない。


 あの何もかも不条理に蹂躙する、あの絶望も虐殺し殲滅する、あの不可能も殴り続ければ死ぬって言っちゃう遥君に。焦り、焦がれているのかも。


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