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話が長いからお魚を炙ってお醤油を掛けただけなのに有罪判決だった?


26日目  深夜   オムイの門前 



 私達がダンジョンから出た所ですぐ町に戻るように言われた。


 近くの村が壊滅したらしい。


 魔法で連絡が有ったらしい。魔物の襲来だ。


 でも、連絡をくれた村も音信不通になった。


 進行方向から次はこの街、冒険者ギルドの緊急収集が掛かった。


 今は門の前で柵を作り、篝火を焚き、戦闘に備える。


 やっと、平和になったのに。


 遥君が平和にしてくれたのに。


 たった、ひとりで、森の中で戦って。


 だから、今度こそ私達が守る。


 寝込んでいた柿崎君達も参加してくれた。


 装備がボロボロだったけど、小田君達が予備の装備を渡していた。


 もう、何時来てもおかしくない、寧ろ遅いくらいだ。


 ギルドの人達は昼前から迎撃準備をしていたらしい。


 門の上には、領主のお嬢様も武装して来ている。


 其れ程の事なのだろう、街の存亡を掛けるような、其れ程の大事なのだろう、でも、此処には私達が居る。


 遥君に守られ、命まで掛けて、、、違う、あの話は、、、遥君は命を捨てていたんだ、ずっと。


 「莫迦でごめん」あれは、柿崎君達の事じゃない、きっと、遥君の遺言だった、、、最後の言葉だった、、、みんな、それが分かってる。


 また、守られたのだと。また、何も出来なかったのだと。また、見殺しにしてしまったのだと。


 でも、帰って来てくれた、帰って来た本人が何故か納得いかないみたいだったけど、、、、帰って来てくれた。


 それ程の、遥君が生きて帰る事なんて考えてなかった様な戦いだったんだろう。あそこで死ぬ気だったんだろう。


 私達はまた駄目だった。何一つ守れない。誰一人助けられない。守られ、助けられるばかりで。強くなったのに何も出来ない。一番守りたいものが守れなかった、失った、そう、みんな思ってた。でも、それすら遥君自身が助けた、助けてくれた、遥君自身を。そして、帰ってきてくれたんだ。


 だから、今度こそ守る。


 遥君がくれた強さだから。


 だから、今度こそ助ける。


 遥君にして貰った様に。


 そして、遥君も守る。


 多分、遥君なら大丈夫なのかも知れない。


 未だに、遥君が弱いっていう事が理解できないけれど。


 でも、普通の顔をしてたけど、本当はボロボロの筈だ、満身創痍の筈だ。。


 普通な訳が無い、柿崎君達が腕や足を捥がれるような相手だったのだ、そんな攻撃を浴び続けてきたんだ、自分自身と引き換えに、全部を受けて来たんだ、私達の為に。


 大丈夫な訳が無いんだ、それでも、帰って来てくれたんだ、普通の顔をして、ただいまって、言ってくれたんだ。


 だから、今日こそは守るの、せめて遥君がゆっくりと休めるように。


 私達は、そのくらいしか、こんな事くらいしか出来ないんだから。


 幸い、遥君は冒険者じゃない、だから召集もされて無い。


 柿崎君達が姿を見てないのが気懸かりだけど、せめて、今日くらい、守らせて欲しい。


 だって、私達はまだ何も返せていないのだから、こんなに沢山の物を貰ったのに、


 せめて、遥君が傷を癒してる間くらい守らせて欲しいんだよ。

   

      ・ 

      ・

      ・


 なのに、、、魔物が来ない、、。


 で遥君が来た?


 「何でみんなキャンプファーイヤーとかしてるの?何で俺除け者なの?ぼっちだからなの?お腹空かして帰って来たら、みんなBBQとかしてたの?ちゃんと俺は悪くない事がフルーツケーキによって証明されたじゃん!俺だってBBQしたかったのに、苛めるんならオタ達にしよーよ?やっと、捕まえたんだし?、、何で俺だけ?てか、お腹すいたよー」


 えーと、お腹がすいてるらしい?、、BBQ?

 

 「えーと?遥君?あの、別に私達除け者にとかしてないから?あと、キャンプファイアーとかじゃないからね?此処は危ないから中に入ろう?ね?」


 何時遥君がフルーツケーキによって悪い事して無いと証明されたのか分からないけど、今の遥君に魔物の大群となんて戦わせられない。


 何も言わないけど、普通にしているけど、もうボロボロの身体の筈、戦えるような状態じゃない、ポーションで怪我は治っても、蓄積された疲労もダメージも計り知れないんだろう、表情に疲れが見える、もう、今にも倒れこみそうだ。


 「あのねっ、近くの村が魔物の異常発生で襲われたの、それで、次はこの街が危ないの、今兵隊さんと冒険者の人達が迎撃する準備してるから、私達も此処で街を守るから、だから、ゆっくり休んで、此処は大丈夫だから?」


 私の話が長過ぎたんだろうか?途中から遥君はお魚を炙ってた?そしてお醤油を掛けた瞬間、周りに人だかりが出来ていた。


 みんな物欲しそうに見てる、美味しそうに食べる遥君、辺りにはお醤油の焦げる香ばしい匂いが、全員が唾を飲む。


 何人かが遥君に話しかけてると思ったら、遥君が地面に手を着き、急にテーブルが地面から現れ、遥君はお魚を並べ、炙り始めた?


 何時の間にか行列になり、遥君から焼き魚を受け取るとお金を渡している、屋台?あっ、、、けっこうぼったくり価格だ。


 あれ?魔物の大群が襲来するんだよね?何でみんなお魚を美味しそうに食べてるの?実はキャンプファイアーとかだったの?


 遥君もそんな所で勝手に商売始めたら怒られるよ?なんで、ギルド長まで並んでるの?どうして、領主のお嬢様が美味しそうにお魚に齧り付いてるの?なんで、副委員長Bさんに一番大きいお魚を上げるの?って言うか、何時の間に並んでたの?あれ?今から、戦いだよね?街を守るんだよね?なんで、私まで並んでるんだろう?Bさんよりお魚が小さかったら赦さない!絶対に赦さない!!



 来ないねー?

 

 遥君は小田君達と話しこんでる。


 此処に居たら危ないのに。


 遥君はギルド長の所に引き摺って行かれた?


 何か揉めている?やっぱりあの屋台がいけなかったんだろう。


 領主のお嬢様まで呼ばれて来たみたいだ?何かあったの?


 何故かお嬢様が地団駄踏んでる?何故か遥君も地団駄踏んでる?遥君はどうして不思議そうな顔して地団駄踏んでるんだろう?


 ギルド受付のお姉さんが、私を呼びに来た?此処持ち場なんだけど良いのかなー?


 「もう、持ち場とか、警戒とか、索敵とか、どうでも良いので来て下さい。通訳が必要なんです、言語的な問題ではない通訳が、、。」


 其れは良くないと思うけど付いて行く、、あ~。



 犯人は、遥君だった。


 「いや?聞かれて無いし?魔物の襲来とか知らないし?何か出て来たから?殴ってた?みたいな?えっ?朝から?だってずっと出てくるんだよ?そうだよ、夜までずっとだよ?襲撃?爆買いツアーだよっ?今、何とかの街大人気らしいよ?いや、聞いて無いけど?誰って?オークの?うん、居た居た、オーク、オークみたいな顔してた、え?いやオークなんだけど?違うって、殴ってただけだって?何でって、出て来るんだよ?うん、ずっと、だって賞品とかあるかも知れ無いじゃん?え、魔物叩きの?でも、魔物の達人かも知れ無いじゃん?だから、ずっと叩いてたのに、賞品無かったんだよ!俺、被害者じゃん?何も貰えなかったんだよ?クリアーしたのに、え?クリアー?オークキング、そうそう?違うよ?騙されたんだよ?だって、どんどん出て来たし?がんばったんだよ?お腹すいてもずっと?何で?違うよ、叩いてただけだよ?俺悪く無いじゃん?だって、魔物出てきたら殴るじゃん?普通?ほら、悪く無いじゃん?、、、叩くよね?みんな?」


 みんな意味が分からないみたいだ。私にも分からない、確かに言語的問題ではない様だ。


 でも、遥君が「俺悪く無いじゃん?」って言ったら、大体いつも犯人だ。


 今迄、無実だった事は一度も無い。


 真実は何時も遥君が犯人だ。



 日が昇り始めると同時に、みんなで犯人の自供の下、犯行現場に向かう。


 魔物の死体は消え去っており、犯行現場にはおびただしい魔石と棍棒が当たり一面に山積みされている。


 魔物の死体は何時間かたつと魔石を残して消えるらしい、つまり此処が犯行現場だ。大量虐殺の現行犯だ。


 普通、魔物の大襲撃を退けると英雄扱いなのに、犯人になる人は珍しいと思うのだけど、、、。


 でも、情状酌量の余地は無い、だってそ素知らぬ顔で焼き魚を販売し、大儲けしてるから。


 ましてや、再犯性が極めて著しく高いのだ、常習犯だ、再犯性が高いのに反省しないのだから。


 判決


 やっぱりお説教でした。



         26日目終了が27日目に突入した。


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