バターがないので微妙な味だったらパタパタと謎の踊りを踊った。
25日目 朝 オムイの街 冒険者ギルド
怒られるから逃げてきた。
なのに……。
「何で依頼が全く変わっていないのかなー?やる気あるのこのギルド?掲示板係働いてないよね?ニートより働いてないよね?お金がないんだよ?お小遣い無かったんだよ?何時になったらちゃんとした儲かる依頼が出て来るの?俺の一攫千金は一体何処にあるの?」
「ほんとに、何時になったらちゃんとコソコソしてくれるんでしょうか?儲かる依頼は冒険者の物ですよ?冒険者に成って無いですよね?何で又来ちゃうんですか?、、、何処行ってたんですか?みんな、、、凄く心配してましたよ。」
久し振りの、受付委員長のジト目だ、いやー、昨日はジト目成分無しだったからなー、マジ睨まれてました、女子達に、俺悪く無いのに?ま、まさか、生きて帰ったのが悪かったのか!?いや、流石にそれは無いと思いたい、そうか!お土産か!?お土産が無いのがいけなかったのだ。やはり好感度を上げないと命が危ない、説教で殺られる!?
「お金どっかに隠してないかなー?」
「落ちてたならともかく、隠してあるのを奪わないで下さい、それ、もう只の盗賊の考え方です!」
おー。ジトだよ、ジト。泣きながらガン睨みとは違うよ、やっぱジトだよなー、洞窟にはないものだ。
うーん、眠たいんだけど、宿に帰ると怒られる。
街にいてもお金がない。
オタ達は役に立たない、何時も通りに。
莫迦達は寝込んでる。莫迦だからだ。
いや、だって、莫迦過ぎない?死に掛かって、手や足捥がれて、やっと生き延びて、手足も生えて、ボロボロで出て行ったのに、この街まで走り続けて来たらしい、夜も眠らずに、休憩もせずに、HP茸を齧りながら、街まで来て、門で倒れて、門番さんに捕まってたらしい……莫迦だよね? 限りなく?
急いで来たってどうしようもなかったのに、急いだってどうしようもないって解ってただろーに、そもそも、死に掛けてんだから走るなよ!全く回復してないじゃん!
街をうろついていると、何時かの可愛いメイドさんが手を振っている? 俺に? うん、手招きしている……俺だ! こ、これは遂に男子高校生的なあんな事やこんな事が!?
捕まりました。
いきなり兵隊のおっさん達に囲まれたよ! そこはメイドさん達にしてよ! ちょ、これって絶対孔明の罠だよ! 男子高校生の習性を逆手に取るとは、孔明恐るべし。
メリメリさんでした。
「捕まるかなーと思ってましたが、何で簡単に捕まるんですか?探しても見つからなかったのに……メイドで」
「いやー、手を振ってたし?手招きしてたし?」
行くよねー?普通??
「それを兵隊がしたら逃げるじゃないですかー!」
だって、ほら?おっさんだし?逃げるよねー?普通??
「あと、誰だろう見たいな顔しないで下さい、メリエールです、通行証にも書いてあります!メリメーリでもメリメリでもありません!メリエールです!」
「あ~、えっ?でもお母さんのムリムリさん?、「メリメールの母」って言ってたけど?」
「……お母さんも覚えてなかった……。もう、メリメリにします。もう、メリとかで良いです……」
執事さんに怒られた。
だから、あれ程メイドさんが良いと……いえ、何でもありません。
「あれから、お礼をと父と母も遥さんを探していたのですが、居ないのか、逃げてるのか、隠れてるのか、解らなかったので今日は罠を張ってみたのですが、、、居たんですか?」
「いや、昨日の夜って言うか深夜? に、帰ってきたけど入れなくて……入ったら門番さんに捕まった?」
「…………んんっ。とにかくお礼です!父と母をお救い頂き、家族全員があなたに救われた事、深く感謝します。父と母は改めて隣町へ向かい留守にしております、父母に成り代わりお礼申し上げます……って、聞いてますか?本当に? で、ですねっ、些少ですがこちらが褒賞に成りますお納め下さい。」
お金を手に入れた。
これは襲われてる馬車を助けた方がお金になる?
「隣町へ向かって、襲われてないかなー?そろそろ?」
「何で出かける度に襲われるんですか!そろそろって何を待ってるんですか?もう、襲撃の犯人である貴族も捕縛されました、もう、安全です。」
もう襲われないらしい、お金は貰えないらしい。
我が好感度は未だ遠くに在りけり。
お金は出来たので、街をぶらつく。
何時の間にか棍棒専門店になりつつある武器屋さんに行く、おっちゃん鍛冶師なのにそれで良いの?
「おっちゃーん?ゴブリンリーダーの棍棒が落ちてたけど買う?」
棍棒を見せると、ダッシュで店の奥からお金の入った袋を持って来た、ちょろい。
「これで買えるだけ売ってくれ!! って、何でそんなもんが普通に落ちてんだよ!?」
「いやー? なんか衝突したら事故死して? うん、棍棒が落ちてた? みたいな?」
「……落ちてたって無関係みたいに言ってるけど、それ、殺してるよね?無関係所か殺しちゃった犯人だよね?」
いや、人が落下してるのに棍棒振りかざして突っ込んで来るとか莫迦過ぎない?それ、俺のせいじゃないよね?
「え~、まー、なんか?落ちてた?って感じ?」
おっちゃんは、あーでも無いこーでも無いと棍棒を鑑定している、結構、棍棒が売れてるみたいだ、この街は危険かもしれない。
実は、キングやエンペラーのも有るが、破産しそうなので教えない。
何故かこの街では、お店が破産しそうになると、俺のせいにすると言う恐ろしい風習があるのだ、全く何て街だ。
雑貨屋のお姉さんは、残念ながら茸中毒から脱していなかった。思っていたより重症のようだ。
茸が欲しければ、お米を探して来れば良いじゃないの?と、マリーしてみたらマジ泣きしてたので、現金とドライフルーツで売ってあげた。茸に泣きながら頬ずりしていた、末期症状だろうか?絵面が怪しいので止めて欲しいです、マジで。
怪しい行商さんは、まだこの街に戻ってないみたいだ、俺の好感度も戻ってこないようだ。フェロモンが帰ってこない!
さて、委員長達はダンジョンだ、申請してるとかで行かなきゃいけないらしい、夜までは安全だが、夜には帰ってくる、あの、怒涛の説教が、あの怒号と説教がだ。
洞窟で暇つぶしにつくったクッキーはバターが見つからないので微妙な味だったが、宿で看板娘を餌付けしてみたら歓んでた、パタパタと謎の踊りを踊っていた。まだ、砂糖が貴重なので甘い物は出回らないらしい、ドライフルーツもあるし、フルーツケーキでも作れば怒られた時に良いかもしれない。と言うか帰ってきたら説教の続きが始まる危険性が高い、逃げたから余計やばい。
今回、お土産無しで帰ってきたのがいけなかったのだろう、それが怒られている原因に違いない、なんか、凄い怒られたし?本木君?の武器とかじゃ駄目だったみたいだ、やはり甘い物だろう、この調子だとその内にビリー隊長も女子達に召喚される事だろう……ワンモアセッツ!?
そんなこんなで、フルーツケーキだ、やはりバターがないので甘いパンっぽくなりそうだがフルーツケーキだ。
宿屋の台所を借りてフルーツケーキだ、宿屋の看板娘も買収してあるから大丈夫。
小麦粉も、ドライフルーツも、ミルクもある、何のミルクかはわからない、ミルクだ。パンになってしまえば蒸しパンにして誤魔化そう、とにかく今は、莫迦達を除く全員がダンジョンに潜っている、夜まで帰らない、帰ってきたら説教が再開される、それまでにフルーツケーキが必要なのだ!時間との勝負だ、俺が悪くない事を証明するにはフルーツケーキしかないのだ!何故なら俺は悪くないのだから!!
実際、服や装備は相変わらずに全く破れてないし、怪我も茸ポーションで回復しているが、わりと結構ぼろぼろだったのだ、特に最後に街まで飛んで、落ちたのが効いた、瀕死までいってた、とにかく結構ぼろぼろなのだ、寝ても無い、なのに怒られない為にフルーツケーキを作り続ける、粉を振るい、泡立て、ねって、こねて、寝かせて、莫迦達は寝てるのに、焼いて、蒸して、オタ達も頭焼いてやろうか?何故助けない?街にきたら恩返しするとか言ってなかった?来たらいないし?説教から助け無いし?空気読めよ!空気を入れて泡立てる。何で俺だけこんなに働いてるんだろう?にーとなのに?
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勝利だ、完全勝利だ、圧倒的勝利と言っても良いだろう。俺は無罪を勝ち得た、やはり冤罪だったのだ、これだけ毎回冤罪だと、俺が岩窟王になりそうだ、洞窟にすんでるし、誰に復讐しよう?取り合えずオタ達だな。
女子達はフルーツケーキもどき蒸しパン的な何にかに齧り付いている、おまえまるかじり、とか言い出しそうな勢いだ。
泣きながら食べてる娘もいる、無言で喰い付き、飲み込んでる。切り分けておいて良かった、テーブルの真ん中に塊で置いていたら、デスゲームが始まっていただろうって言う勢いだ、何故か、みんな泣いている、笑いながら……茸は入れてないのだが?ヤバイ物が入ってたんだろーか?笑顔で泣いてる。
そのまま晩御飯に突入し、みんな相変わらず大騒ぎだ、莫迦達まで降りてきたので会話がカオスだ、もう何の話をしているかだれも解って無いだろう、俺も解らない。名前もわからない。
結局、順番に風呂に入りながら深夜まで騒いでいた、全く騒がしい奴らだ、相変わらず委員長は近いし、ビッチ達は背後からプレッシャーを掛けるし、体育会系は騒ぎまくってるし、看板娘はオロオロしてるし、莫迦は懐いて来て馬鹿な事言ってるし、オタ達は会話無視してオタオタやってるし、副委員長Aさんはチラチラ睨むし、副委員長Cはあっちこっちで餌付けされてるし、副委員長Bさんは相変わらず揺れてる……いえ、ナニモミテナイヨ?何で一斉に睨むの?突然みんな無言なの?ジトさんが増えてるの?感染してるの?おしい、十二人なら二十四のジト目とか名作になりそうだが、四十のジト目は破壊力が高すぎる、何故か看板娘までジト目に感染している、全く、相変わらずで、騒がしい、賑やかしい上に、姦しい、もう高校2年だというのに困った物だ、そろそろ常識っていうものを身に付けて欲しい、まったく。
そんなこんなで夜も更け、やっと部屋に戻り気絶するように眠った、と言うか、気絶のような気がする……うん、疲れたよ。
25日目終了
誤字ぺったんさせて頂きました、いつもありがとうございますm(_ _)m