普段は莫迦で喋るともっと莫迦で紙一重の紙が破れてたらずっと莫迦だ。
22日目 深夜 洞窟
脳筋体育会系莫迦共も、ようやく起きた、体調も大分回復した様だが、死に掛かっていたのだから万全には程遠いだろう、そして、死に掛かっても莫迦が治ってないという事は、永遠に莫迦なんだろう。どうやら未来過去現在を通して莫迦のようだ。
「、、、って訳で、まだオタ達が見つかってないんだよ、だから先に街に帰って委員長達に合流しといて、あと、会ったら「莫迦でごめん」って言うんだぞ」
おそらく、身体が完全に戻るまで3日は掛かるだろう、何せ治ったというか?生えてきたというか?生えたてほやほやなのだ、そして、こいつらから聞いた話、莫迦だから何を言ってるか訳解らん話の文脈を無視して、単語を並び替えれば、何と無く何があったか推測できる、そして、こいつらが生きていた理由は偶々で、偶然で、果てしなく運が良かっただけなのだと解る、日本でも天才と称されるアスリート5人、しかも、身体を動かし、敵と争い、弱点を見極め、それを突き、自らを防御し、状況を見極め、瞬間で判断し、天才的な閃きを持ち、天分の才を持つ、勝利する事だけに特化し、連携も、戦術も、布陣も、一瞬で理解できる人間が5人で、奇跡的に生き延びた、それほど酷い状況でも生き延びた、そして、勝つ方法を見つけられなかった、引き分ける方法すら無理だった、惜敗ですら限界だった。ならば無理だ。無理し過ぎだ、だからやっぱり莫迦だ。
「いや、もう怪我治ったし、、」
「俺達だけって、、、」
「なら、残るよ、、、やるんだろ?」
「一人とか無茶苦茶だよ、、、あいつ等は、、、」
「それが駄目なら一緒に街に、、、」
一斉に文句を言い出すが、こいつ等は喋ると莫迦だ、考える事も莫迦だ、当然やる事も莫迦だ、大莫迦だ。
瞬間的に全てを理解し、判断し、実行に移せる天才らしいが、頭で考えてない、感じた時は動いてるのだ、つまり、普段は莫迦だ。喋るともっと莫迦だ。紙一重の紙が破れててずっと莫迦だ。
面倒だ、莫迦にわかるように説明するのが面倒だ。
「おまえらは莫迦だから、説明とか解んないだろう?だから、お前達は街に行かなければいけないし、俺は此処に居なければならない、それが最善の解答だ。解ったか?」
「「「、、、、解った、、、。」」」
面倒だ、もう、答えなんて出ているのに、いちいち途中の解を書かなきゃいけない位面倒だ。
1+1=2の解の補足くらいに面倒だ。
1=1以外に解なんかない、それが成立しなければ算数所か数学も何も成立しない絶対条件だ。
その説明とか、余計に面倒だ。
普通の男子、その後、豹変して女子に襲い掛かる、が簡単に委員長達に撃退される、なのに、それなのに、誰か解っていない。
だから分裂した。
ならば、分裂させたのだ。
それは、分裂させられたのだ。
それが解だ。
普通の男子?
最初から豹変なんてしていないのだから。
普通の男子の振りをしていた訳ですらない。
普通にしていただけだ。
普通と言われる行動を取っていただけだ。
何時でも、何処でも、どんな時でも、異世界に来てまでも、普通?
異世界に来ても空気。
魔物が出ても空気。
仲間割れが起こっても空気。
そんな奴が普通なわけが無い。
とびっきりの異常だ。
最初からずっと普通?それほど見事なまでの異常な人間が何処にいるというのだろう。
それほど見事なまでの異常な人間がいたから、あの委員長ですら纏められなかったのだ。
だから、分裂させられたのだ。
この莫迦達が疑い行動出来なくなるなんて有り得ない。あのオタ達をあの状況で誰も助けないなんて有り得ない。あの委員長が周りを纏めるのを諦めるなんて有り得ない。あのビッチ達が孤立してまで意地を張るなんて有り得ない。そもそも、俺が来た時に誰もいない何て言う事が有り得なかったのだ。これだけ異常なのに誰一人異常だと気付かないなんて有り得ないのだ。
最初から、異常だった。
此処に来た時から、異常だった。
分裂させたのだ。
だから、俺が残るのだ。
これは、そう言う事なのだろう。
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「うをーっ、ひさしぶりのぼっちだー」
久し振りの帰宅だ、ひきこもりだ。
莫迦達も、街に向かった、茸も山ほど持たせたし、街に着く頃には回復してるだろう。
懐かしいなー、まだ異世界に来て1っヶ月も経ってないのに、帰ってきたーって感じだ。これが住処って奴なのだろう。
こうして一人で洞窟にいると、この最近の大騒ぎが嘘の様だ、この洞窟の中で女子達が大騒ぎしていたなんて幻の様だ。
静かだなー。
22日目終