SS 文庫12巻&コミック16巻同時出版御礼SS 本日6月25日より発売ですヽ(=´▽`=)ノ
本日、6月25日からひとりぼっちの異世界攻略Life.12及びコミック16巻が発売ですヽ(=´▽`=)ノ
という訳で、なんと皆様のお陰で12巻となりました。沢山の方にお買い上げありがとうございますと、お礼と告知のSSでした(*´∀`*)
SS タイムカプセルとかパイルドライバーとかの思い出は地面に埋まっているものらしい?
それは暑い何月かの何日かの何曜日かの何時かだったかなある日だった。って言った方が思い出っぽいから言ってみたけど、多分そんなに暑くも寒くもなかっただろうけど――そう、忘れもしない、あの日。うん……あんま覚えてないけど何かの日だった? 多分?
「「「それ、結局何一つ何も覚えてなくって、結局何のエピソードも情報の欠片も含まれてないじゃないのよ!!」」」
そう、あの日俺は……何食べたっけ? 何か食べただろうか?
「「「その思い出さなくていい覚えてもないエピソードを捻じ込もうとするから、結果ボケちゃったお爺ちゃんの日常みたいになっちゃてるでしょ!!」」」
そう、今でも鮮明に思い出すものは………………………………………?
「「「戻ってきてー! それ絶対何も覚えてないやつで、その記憶の奥底に潜っても、そこって虚無なのよ!!」」」
まあ、そんな感じであの日から俺は……何を食べたか覚えていない? いや、昨日は……何食べたっけ!?
「「「それ忘れてるんじゃなくって、手当たり次第いっぱい作るから覚えきれてないのよ!」」」「そして記憶にも残らないほどの瞬間瞬間の思い付きでご飯を適当に際限なく増産しないでよ、全部美味しいでしょ!!」
だけど、俺があの日思った、その気持ちだけは決して忘れていない。
うん、何かムカついたから何かをボコった。うん……どの日のどの件だろう?
「あーーん(泣)」「「「何で日常的に行き当たりばったりにボコり回って、その関連の記憶がボコしか無いのよ!!」」」「いや、不良に絡まれて救けられたって言われても……それ、知らなくって邪魔だからボコっただけなんじゃないのかな? 多分?」「「「何で不良さんより凶暴なの! どうしてそんな状況に構わず自分に邪魔だっただけで背後からサスペンスに犯行に及んじゃうのよ!!」」」「うん、多分前の晩にサスペンスを見たせいで背後から殴打しちゃったんだから犯人は影響を与えたメディアの所為で、やっぱり公共放送なら一切の犯罪や暴力や虐めや不倫は放送したら駄目なんだよ……うん、停波で良さそうだな?」「「「うん、それは確かに何も面白くなさそうだね!!」」」
そう、男子高校生への悪影響をちゃんと配慮して、全部エロい番組にしてくれたら平和でいいんだよ?
「だって、ナンパというには悪質な輩に囲まれて攫われそうだった時に、輩達が背後からサスペンスされたら俺が凶器を持って立っていたとしたって……それって、寧ろサスペンス的には逆に絶対犯人は別にいるよっていうフリだよね?」「「「他に犯人が存在し得ないし、前もそんな謎理論で謎の無罪を勝ち取ってたけど……よく考えたら、あれだって実は全く全然無実を立証できてないでしょ!!」」」」
悪魔の証明――それは、やっていない事を証明しろという不可能な要求で、思わず悪魔っ娘たちも飛行に走って滑空で旋回して輝きながらいつもより多く回っちゃうUP-Flights-Operationな悪魔の照明? うん、明るいな?
「「「何で無罪を気取って悪魔っ娘ちゃん達を飛ばせて光らせながら、さり気なくUFOさんの所為にしてるのよ!!」」」」「うん、わざわざ人気のない公園の更に目立たない隅っこで地味にひっそりと犯罪を犯そうとこっそりしてたのに、それだけ気を使ってた犯罪者さんたちなのに邪魔だったって……」「そこまで行くと、もはや存在すら認められてないんだね」「そうそう、あの日何か名もなき大して有名じゃない公園で、名もなき何かがなんか邪魔で邪魔って言ったら邪魔してきたから投げっぱなしジャーマンを決めたのだけは思い出したよ!!」「「「どうして其処なのよ!?」」」「いえ、小手返しからのぶっこ抜きジャーマンだったけど、フィニッシュはパイルドライバーでしたよ(泣)」「「「しかも結局間違ってるじゃないのよ!!」」」
うん、違ったらしい?
※
既視感――それは懐かしい、よくある逆さまに地面に埋まった盗賊達の脚。
そう、あの日なんだか変な車が追ってきている気がして、だから普段なら通らない人気のない公園を通り抜けようとして、そして……知らない男の人達に囲まれていた。
公園の中を怪しい人たちを避けているうちに追い詰められ、気が付いたら助けを呼ぼうにも誰もいないくらい公園の奥で……私は襲われそうになっていた。いたら……襲おうとしてた人たちが大騒動に襲われて、気が付くと全員の頭が地面に埋まって脚だけが生えていた。
それが、あの日の思い出。暗い公園で泣いている私と黒い黒い影……そして、地面に頭を埋めて突き立った沢山の脚。
「「「うん、その背景は確かに絶対ロマンスの始まらないやつだね!!」」」
ただ瞬く星空だけが綺麗で、そして地面から生えたいっぱいの脚が……痙攣していた。
「寧ろ、その状況から始まるロマンスは嫌すぎだよ!!」「そしてフィニッシュはパイルドライバーで間違いないみたいだね!!」
結局何も言わず、助けてもくれず……だけど私が立ち上がるまで待っていてくれて、そして何も言わずに私が公園を出て大通りに出るまで先を歩いてくれた姿だけは忘れない。その沢山のお財布を拾ったと、両手にお財布を抱えて歩く姿を。
「「「やっぱり犯人に犯行を滅茶犯してるんじゃないのよ!!」」」「いや、落ちてたんだよ?」「「「それ、地面に刺さったまま必死に藻掻いてたから落ちたんでしょ!」」」「はっ、まさかそのためのパイルドライバー!?」「「「めちゃめちゃ計画的犯行だよ!!」」」
だから誰かはわからない。
「だけど絶対ほかに犯人がいないよね?」
だけど誰もがわかってる。
「「「うん、だって全人類レベルで消去法をしても、絶対犯人は一人だもん!!」」」
だけど何も言ってくれなかったから、何も言えないままだった感謝の気持ち。今あの時のような……沢山の足が地面から生えた犯行現場で。
「「「うん、実際目にすると改めて此処までロマンス要素が皆無な状況って凄く珍しいよね!」」」「うん、きっとそれでも既視感だったんだろうね……あの笑顔で盗賊さんのお財布を拾ってる姿が」「「「うん、あれは絶対に犯人は他にはいないよ!!」」」
ありがとう――あの日小さな声で消えていく後ろ姿に投げかけたけど、届いたかどうかも解らずに夜に吸い込まれていった小さな小さな声。
だけど今ならちゃんと言える。ちゃんと大きな声で。ちゃんと犯人に。
「だから10回地面に突き刺して、お財布を10回拾ったら全部俺の物って、それカツアゲより酷いでしょ!!」「「「ああ、それで連続パイルドライバーだったんだ!?」」」「うん、謎は全て解けたね!!」「いや、法律的に正しい解釈の拡大版な10割全部俺にお礼な感謝の気持ちだったんだよ? うん、ちゃんとみんな深々と頭を下げてたし、お礼? みたいな?」「「「埋まってたのよ! それ土下座よりも五体投地よりも深く埋まってるだけで、そもそも頭下げる云々以前に自分が埋めたんでしょ!!」」」」
そう、だから私は男の人が怖かったけど……うん、今なら頭から地面に突き刺せば良いってわかる。だから、今の私は笑っていられる。そう、今は普通に言える。落とし物の分け前をありがとうって♪




