官僚と言う者は無駄遣いが好きなようだ、俺も公立図書館勤務を狙っていたのに、自分達だけ利権に塗れやがって。
22日目 朝 オムイのギルド
今日も今日とて、いつものギルド、もう何日も通ってるのに誰とも目が合わないとか凄いよね、噂によると最近首を寝違える冒険者が多いと聞いたが、その影響なのだろうか?
「どうして毎日同じ依頼しか出てないのかなー?毎日通ってるのに。」
「どうして毎日いるんでしょうねー、ハア-」
ため息交じりのジト目だ、さすが受付委員長のお姉さんバリエーションが豊富だ。
今日もオタ達を探しに行こうと思ってたんだが、どうも昨日の事件が思いの他に女子達は堪えたようなので自粛中、何故だろう?怪我も何も無いのに?盗賊は勝手に息切れを起こして、顔を紫色にして倒れただけなのに?何時も俺は何も悪い事をしていないのにとばっちりで怒られる。不可思議だ。
かといって、お金を稼ごうと思っても良い仕事がない。何時も無い。見たこと無い。
お小遣い一日5万エレは非道だ酷すぎる。
こんな事では俺の異性の好感度が、好感度が、、、先生、好感度が、好感度が欲しいです。男子高校生的に。
「何かこう、依頼じゃなくていいから、お金が儲かるような話ないかなー?」
「それもう、冒険者ギルド全く関係ないですよね?そもそも冒険者じゃないですよね?それに、私が聞き及んだだけでも冒険者ギルドに続き武器屋や雑貨屋が有り金を奪われたそうですが、そのお金は何処に行ったんですか?何で、毎日無くなってるんですか?毎日一軒有り金を奪わないと気が済まないんですか?」
やはり異世界は現金がショートしている様だ、貨幣が足りていない、だから貨幣が足りずに循環できずお店の資金がショートする、そして俺のせいにされる、これはデフレスパイラルも異世界に召喚されて来たという事だろうか?クラスメイトには居なかったと思ったのだが?
街を出ても仕事がない、町にいてもお金がない、街を出ると心配される、街に居るとお金が欲しくなる、でも仕事が無いに戻る。
あっちの店を覗いて見たり、こっちの店を冷やかして見たり、お金が全部なくなってみたり、、、やっぱり、ゴブでも狩ろうかな?。
何故か兵隊さん達が沢山街を巡回している、何故か俺を見ると追いかけてくる、何故だろう?
「何で逃げちゃうんですか?昨日、使いの者を送るって言ったじゃないですか、何で宿に居ないし、探させたら逃げちゃうんですか?」
兵隊さん達から逃げ回っていたら、若くて可愛いメイドさんに声を掛けられたので、逆ナンかと喜んだら、領館迄連れてこられて、お嬢様に怒られてる?
「いや、知らない人に追われたら逃げるよね?使いの者って兵隊さんだったし?後日って何日か聞いてなかったし?」
「それで、なんで知らない若くて可愛いメイドに捕まるんですか?絶対忘れてましたよね?私を見たときも誰?って顔しましたよね?記憶無くなってますよね?」
怒られてる?
「いやー、久し振り?元気だった?大きくなってるから、、、分からなかったよ?」
「昨日会いましたよね?半日たって無いですよ?何で大きくなっちゃてるんですか?一日で太っちゃいましたか?っていうか、それって誰か解らないから適当に話し合わせてる会話ですよね?完璧に忘れてますよね!そうですよね?無名すぎて憶えてられないんですよね?もう、ぜーえったい私の名前も街の名前も忘れ去ってますよね?」
「大丈夫ですよ、そんな貴女の事を忘れるわけ無いじゃないですか、春夏秋冬、一時たりとも忘れた事なんかありませんよ、メリメーリさん?」
「何でそっちだけ憶えてるんですか!?めちゃカッコ良く言っても最後が疑問系になちゃってるじゃないですか!春夏秋冬どころか一時ですら憶えて無いですよね!大体会ったのは昨日です!昨日初めて会いました!」
怒られてる様だ。
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領館の中に通され、食事を用意して貰った、御持て成し?クリステル?
「今日は改めて昨日のお礼と昼食を、それとささやかですが褒賞をと思ってお招きしたのですが、、、何で私は叫びながら怒ってるんでしょうねー?」
「えーと?不思議だね?」
旅装の昨日とは違い、簡素だが仕立ての良い美しいドレスを身に纏った令嬢が、、、地団駄踏んでる。貴族の間で流行っているのだろうか?舞踏会とかで?「お嬢さん、良かったら私と地団駄を踏みませんか?」みたいな?貴族というのも大変そうだ。
「んんっ!、、、えー、此方は些少に成りますが褒賞に成ります。お納め下さい。また、昨日の一件で身分証が無いとの事でしたので此方で用意させました、宜しければお使い下さい、この街の通行証にも成りますので今後街に入るのに入場料は掛かりません。通行証にはオムイの名を刻んでありますので名前覚えて下さい、オムイです。街の名も私の家名もオムイです。名前ちゃんと有ります。之に書いておきました。お願いだから覚えて下さい。メリエール・シム・オムイです、フルネームで書いときました、メリメーリさんの方を忘れて下さい。」
ご飯は美味しかった。話は、、、何か話してた。うん、大丈夫だ。
「本来ならば領主である父がお礼をしたいとの事でしたが、あいにく今日の朝から母を伴い隣の街に出向かなければ成らず、無礼を謝罪しておいて欲しいとの事です。オムイの街の入り口の看板も大きくするそうです、遠くからでもオムイって読める様に思いっきり大きくするとの事です。街中にも「ようこそオムイの街へ」って、垂れ幕をあっちこっちに架けてアピるそうです。街の外にもオムイ行きの標識を100本作らせています。もういっその事オムイのテーマソングを作って24時間、大音量で流そうか官僚達が会議しています。」
全く、何処の世界でも官僚と言う者は無駄遣いが好きなようだ、どうせ垂幕屋やテーマソングの作曲家とグルで利権の拡大でも狙っているのだろう、全く、公僕たる倫理観も持ち合わせず、社会常識が欠如しているから腐敗するのだ、腐敗していることに気付かないのだ、恐らく自身を非常識だとすら思ってないだろう、究極的な意味で、富の再分配に係る物としての資質の欠如だ、きっと、一般の企業でも人から預かったお金で利権を作ってるものとでも思っているのだろう、非常識極まりない。全く、俺も異世界転移してなかったら公立の図書館勤務を狙っていたのに、自分達だけ利権に塗れやがって、俺だって公金で好きな本買いたかったんだよ!読み放題だよ!もう、図書館を自分の本棚だと言い切っちゃうよ、垂幕作る金があったら図書館だろう!之だから全く官僚や役人と言う物は、、、、、、。
「、、、、おーい、何でいっつも私の話聞いてくれないんですか?無視ですか?しかとですか?耳の聞こえない作曲家ですか?其れ、本当は聞こえてますよね?聞いてますか?あと、なんで名前覚えてくれないんですか?」
あっ、お嬢様が何か語っていたらしい。
「前回と、扱いが、変わってないよー、ドレス着てきたのに、おめかしして見たのに、、、。」
執事さんに怒られた。
メイドさんが良かったんだけどなー、、、。