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茸の禁断症状だろうか?茸物依存症だろうか?ヤバイ茸が混じっていたんだろうか?

22日目   朝   宿屋 白い変人 


 

 嗚呼、何と言うことだ、考えもしなかった、考えが甘かった、異世界を侮っていた、異世界なんてそんなもんだと、所詮は異世界だと、この異世界如きがと、侮っていたんだろう、だから考える事すらしようとしなかった、考えてみようとする事すらしていなかったんだ、とても愚かな事だ、何て愚かな行為だ、愚の骨頂と罵られるべき事だ、まさかこれ程までの驚愕を、まさかこれ程までの喫驚を、驚嘆し、吃驚仰天で賛嘆するしかないだろう、まさか異世界の朝御飯で此処迄の愕然を、震撼を、戦慄を味わうなんて、、、って言うか味わいました。お醤油です。異世界にお醤油がありました、吃驚です、買いに行きます、勿論。


 問い詰めました、審訊です、 締め上げました、糾弾です、詰問しました、訊問です、聞き出しました、自白です、これで崖っぷちまで連れて行って聞き出さずに済んだ。看板娘も涙目です。

 

 この間の雑貨屋さんだ、騙された、裏切られた、踏み躙られた、お醤油あるなんて言わなかったじゃん!


 「さあ!隠してるのは解ってる、出せ、さあ出せ、直ぐ出せ、ここに出せ、隠してももう解っているんだ!正直に出せば嘘だけど赦す!」

 

 「なに?何?何事?何があったの?って、この前の少年?キャラ変わってない?一体どうしたの?」


 まだしらばっくれる気らしい、


 「お醤油だよ!お醤油だよ!お醤油だよ!お醤油だよ!お醤油だよ!お醤油だよ!お醤油だよ!お醤油だよ!お醤油だよ!お醤油だよ!醤油に決まってるだろう!醤油どこ?醤油!はやく醤油!早く醤油!速く醤油!すぐ醤油!醤油プリーズ!カモン醤油!っていうか醤油!だよ。」


 「、、、、醤油?」


 「隠しても無駄だ、白い変人が昨日ここで買ったと吐いたぞ、泣きながら自白したぞ!」


 「あー、ソイの事?黒い、塩辛い、しょっぱくて、、、って、なんで看板娘ちゃん泣かしてるのお!」


 怒られた。


 えー、だってみんな俺に隠してたんだよ、この世界に醤油が在る事を、この世界の真理を、この世界の摂理を、この世界の真実をだ、醤油だ。

 

 「この前、調味料見せてって言っても隠してたじゃん、無かったじゃん?秘匿され、隠匿され、販売拒否されたじゃん!」


 「ソイは昨日入荷したの!隠してない。それに滅多に入って来ないし、珍しくて、そんなに売れるもんでもないんだよっ、何を大騒ぎしてるの!?」

 

 そんなに売れない?お醤油が?お醤油だよ?はんっ、所詮は異世界。お醤油の素晴らしさを解らないとは、全く異世界だ。たかが異世界如きにお醤油の偉大さは解るまい。この田舎異世界が、鮒異世界が、異世界如きが、異世界なんてそんなもんだ、異世界なんてこんなもんだろう。まったく、お醤油が人気ないなんて赦しがたい、、、が、


それならば売れてない筈、売れ残っている筈、故にまだある筈なのだ。


 「全部くれ。全部よこせ。さあ売れ。すぐ売れ。速く売れ。」


 「どーどーどー、落ち着いてよ、完全にキャラ変わってるよ、この前は礼儀正しい普通の少年キャラだったよね?」


 「だって、お醤油だよ、お醤油」


 全く何を言っているんだ。


 「いや、売るのは良いんだけど、寧ろ買ってくれたら嬉しいんだけど、全部って樽だよ?でかい奴、2樽がほぼ満タンだよ?そんなにいるの?」


 「全部買う!茸払いだ!」


 茸はまだ充分ある、女子達の簡易アイテム袋に押し込んでも入り切らなかったから、山ほど残ってる。


 「茸何処!茸!速く茸!早く出して、何してるの?茸よ茸!まだなの茸!茸は何処!茸!茸!茸!茸!茸!茸!茸!茸ーっ!!」


 完全にキャラが変わっている、茸の禁断症状だろうか?茸物依存症だろうか?ヤバイ茸が混じっていたんだろうか?全く落ち着きのない事だ。


 明鏡止水、只在るが侭が大切だというのに、日々之日常、そんな事で我を忘れるとは情けない。


 雑貨屋のおば、、、お姉さんはこの前お店の有り金をはたいて茸を購入し、徹夜で分別や加工を済ませ、翌日販売を始めたところ、その日の内に完売し、一日で半年分の利益が出たらしい。


 まったくお金に目がくらむとは、其れからも毎日次の入荷の問い合わせがあるそうだ、商人たる者は質素堅実にして、簡素清貧の志を持ち、開源節流に商い、勤倹質素に勤めねばならないというのに困った物だ。


 「喰ってみ?」


 お醤油と茸のトレードも済み、全部買い占めたし、、、茸を一本「温度魔法」で乾燥させながら、お醤油を何度も塗りながら「火魔法」で炙る。く~っ、このお醤油の焦げる匂いが堪らないぜっ!って言う訳で1本お姉さんに上げて見た所、、、、めちゃ美味しそうに食べてる、異世界って味が単調なんだよね。


 「お醤油売って下さい!」


 また一人この街にもお醤油信者が、って異世界で一人目だがお醤油に目覚めた様だ。


 小さい瓶に1瓶程小分けして、倍の値段で売ってあげた。涙目だった。



 お姉さんにはお米の情報を与え、見付けて来たら茸で買うと伝えておいた、目がまじだった。


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