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でもお花とお話する男子高校生ならメルヘン路線で好感度?

 

64日目 昼 王都 執務室



 王都では民衆が騒ぎ始めている、たった数日の経済的閉鎖だけで市場は混乱し物価は高騰している。商国からの援助物資を切り崩して市場に流すが一度勢いの付いた流れに僅かな物資なんて一瞬で飲み込まれて消えて行った。


 門は開けない。「究極の錠前プロテクション」の守り無しに教会の軍は凌ぎ切れない、魔道具の数も質も教会が圧倒しているうえに軍勢もあちらが多いのだから尚更だ。 


 「王都の前に城塞の様な商店が建ちました。名は『御土産屋 王都前支店 みたいな?』代王王弟閣下の許可証を持ち辺境の魔石を王都に流通させる為の出店だそうです、如何なさいますか?」


 あの王弟が魔石の流通に成功した? 一時凌ぎとは言え魔石が手に入れば王国にも教会にも利益になろう、だが王都で買い占めて商国に流せば商機だけで無く交渉のカードにも成せる。辺境が持ち堪えれば切り札にも成り兼ねない、誰の得になるのかは分からないが先に手に入れれば有利には違いない。


 「王国府として魔石の確保の交渉を始めろ、他には売らせるな。出来うる限り安く買い占めるんだ。……お土産屋だと?」


 「はい。辺境特産の茸や魔石を始め食料品に雑貨と品揃えは王都以上で品質も高い物ばかりとの事です」


 物資不足の助けにはなるかも知れないな、理論とは異なり人の気持ちの流れはコントロールできない。だからこそ新しい店に商品が豊富に有れば気分が変わる、王都の富が喰われるが今は打つ手が無いし魔石の流通が出来るなら手出しは不要、寧ろ保護すべきだろう。


 「王子はどうしている、ここからは時間の勝負になるがどうしている?」


 「はい、王都の貴族達と会合を開き味方に付けようと手を尽くしておられます」


 せめて王国の半分、いや3割でも取れなければ商国から見捨てられて捨て石にされて終わりになる。ここが正念場だろう。


 小賢しいだけの保身で必死なのだろうがあの第1王子の豚よりはマシと信じるしかない、王弟も心根は未だしも能力的には悪化させる専門家みたいなものだ。他に手立てがない。だが信用は出来ない、後ろ盾が怪し過ぎる、下手に手を結べば商国の部下にされかねない。だが王都は守らねばならない、民も王も此処にいる。


 確かに教会を牽制できるのは商国のみだ、教国と商国の狭間にしか活路が無い以上狭くても通り抜けきって見せるしか路が無い。


 「その土産屋の茸が入荷しているのか!」


 「はい、販売されているようです」


 低い等級でも茸が手に入るならば王の御病気が癒えるかも知れない、最善を求め贅沢を言える状況では無くなっているが一縷の望みでも繋ぎたい。


 「案内しろ。私が出向く、兵は腕のたつもの少数で良い」


 「はい、すぐに手配を」


 藁にも縋るか、王が回復されても後継者問題は残る。だが時が有れば幼く後ろ盾のない第3王子達も成長し才覚を見せるかも知れない、少なくとも可能性はある。そして王が完全に回復されれば事態を覆す事も出来るだろう、王1人に頼り過ぎていた結果が今なのにまた王に頼る事になるが致し方無い。


 それも奇跡を願うようなものだ、だが神に等祈りたくも無いのならお土産屋の茸に奇跡を期待する方が良い。


 辺境の茸は手に入らないと諦めていたがこの際品質には目を瞑り数で勝負……そこまでの数は無くても、せめて注文が出来るなら可能性位は残る。


 だが高価だ。もし等級の高い物が合ったとしても金額が恐ろしい物になる、過度の期待は禁物なんだが我が家の家宝も持って行っておこう。希むも贅沢だが目の前に小さな可能性が現れれば少しは夢見てしまうさ。


 

 「準備が整いました」


 「よし、案内を頼む。」


 王都から一歩出ると人だかり、人の群れ、群衆が店を囲む。


 王都中の住人が出て来たのか? 今攻められたら滅びるぞこれは。


 「人払いしますか? 並ぶとなると少々では」


 「ならん、並ぼう。これで王都の民が安心できれば邪魔は無粋だ」


 王国の民ならば心情的には辺境、オムイ家にこそ味方したいに決まっている。


 最果ての魔と戦い続ける英雄の一族、王国と大陸の剣。かの辺境が魔から王国と大陸を守り抜き戦い続ける真の英雄と誰もが知っている、そして王国や他国の愚鈍さも。


 その辺境の御土産屋が開いた、しかも流通に不安が有る時に豊富な物資が運び込まれたらきっと辺境から救われた気持ちでいる。その気持ちを邪魔するはそれこそ無粋だ。


 辺境の店ならばオムイ様に繋ぎが取れない物だろうか? 


 夢を見過ぎて贅沢になっているな、幾ら辺境の店とは言え伯爵にそう簡単に繋がれるはずも無い。



 長い列に並び長い間待たされたが中に一歩踏み入れると開いた口が塞がらないと言うのは本当みたいだな、警護の兵たちも口を開けたままで店内を見回して呆然としている。まったく警護で無ければ駆けだして行って買い物を始めそうな顔だ、目が離せない様だし本当に行きたいんだろう。


 「あら? テリーセル様、いらっしゃいませ。ハンバーガーはいかがですか? 美味しいですよ?」


 急に店員に声を掛けられたが辺境に知り合いもいないし私の顔を知る者なんて……え?


 「メ、メ、メリエール様で……すよね? 何で伯爵家の令嬢、辺境の姫君メリエール嬢が売り子してるんですか! 自分の御身分を……え?」


 軍神の娘、最果ての双剣姫、辺境姫メリエール・シム・オムイ、歌にまで歌われる辺境の姫君がお土産屋で売り子をしているなんてと意見を述べているとメリエール様がこっそりちょんちょんと指を差す?


 思わず指の先を目で追うと……行方が分からないと噂されていた王女シャリセレス・ディー・ディオレール様そっくりの店員が商品を並べている? 分かっているんだけどね? あれは姫様だ、何故に王国きっての最強の美姫が2人してお土産屋を営業してるんだろうね? そして見回して戦慄する、店員が全員絶世の美女ばかり……そして全員が途轍もなく強い! これは土産物屋などでは無く少数精鋭の軍、一騎当千の騎士団だ!


 

 奥に通された豪奢な応接室は王宮の諸国の王族を御招きする応接室が見劣りする絢爛とした装飾に囲まれながら調和がとれた気品がある。


 そしてメリエール様が売っていたハンバーガーなる料理は美味しかった、強く派手な味だがそれすらも調和のとれた味付けだった。


 調和。それこそが深い知性と教育された品性と積み重ねた教養が現れる、それを持つ者が世界を1つ上から見る事が出来る統率者。個を見て全を見る者。


 何者が付いている? 



 「テリーセル卿、王都の様子は? 父の容態と他国の動き貴族の陣営と後は……猿はどうなっている」


 「姫様よくぞご無事で、王都はひとまず平穏ですが経済流通は商国のものが指図しております、教国と商国は依然探り合いのままです、王都の貴族は日和見ですな、猿……王子は貴族と交渉中です。そして王の御容態に変わりは有りません、ここで茸が手に入ると聞きつけまして買い付けに来ました」


 「そうか。父の事礼を言う、茸は安心して欲しい。必ず最高級品を手に入れて見せる」


 「はっ」


 帰って来られた。姫将軍にして剣の王女シャリセレス王女閣下、これで軍は纏まる、第1、第2師団と近衛連隊は確実だ、第3師団は貴族派と一般兵で割れる事だろう。そしてメリエール嬢がご一緒と言う事は軍神メロトーサム様が辺境軍が味方して下さる、夢など希望など持ってはいけない現実だけを見て最善を選ぶしかないと考えない様にしていた希望が纏めて土産物屋の中に有った。


 だがオムイ様が辺境を離れる事はお出来にならない、第1王子軍は未だ辺境に兵を進めている。


 そして商国から送られてきている特殊部隊と傭兵が王都にいる、此処の事がバレれば御命すら危ないがさりとて王都や王宮は更に危険だ。王子に知らせれば商国の者に情報を流しかねない、この兵力と城塞の如き建築物なら安全は安全だが暗殺の危険が有るのに売り子って……だから気付かれていないのか?


 「いらっしゃいませ~、的な? え~と第2師団の偉い人? 偉い人は話長くて苦手なんだけどエロい人となら話が合いそうなんだけど今まで一番話が合いそうだったのがラフレシアって人間ですらないじゃん! って言うか喋れないじゃん! 危うく触手友達でズッ友さんになる所だったよ、触手友達いる時点で好感度さんがステルス機能全開でお隠れあそばしていらっしゃる? って言うか、いらっしゃい? みたいな?」


 上下関係に煩い貴族社会に係わり、軍と言う縦社会に身を置いていれば自然と分かる。この少年は偉い人だ、だが「偉い人は話長くて苦手」と前置きされた? お忍びで身分を隠されている? だが王女と姫君を両隣に侍らせるかのように真ん中に立ち平然としてのける貫禄、そして王女と姫君の一歩下がるかのような立ち位置。何者だ?


 「始めまして、第2師団の師団長を任されておりますテリーセルと申します。突然のお伺いに斯様なお持て成しを頂き真に有り難く、そして軍に身を置く者ゆえ偉い人ではありませんので敬称も固い言葉も要りません。」


 辺境の華と謳われる辺境姫と王族の姫にして姫将軍の剣の王女すら霞む格、質素と言えば聞こえは良いがみすぼらしい黒マントに身を包む黒髪黒目の少年が目の前に座る。


 「商国は? 入ってるんでしょ、王都に? 何処までやる気か分かる? 目的より目標? あと取って置きとか隠し玉とか金目の物とか分かるかな?」


 身分は明かされなかったが姫様達から普通に振舞うよう言われた、やはりお忍びか? そう言えばあの美姫達も漆黒の烏の濡れ羽の様な艶やかな黒髪と黒曜石の如き黒目をしていた、だが黒髪で黒目の民や国など聞いた事が無い? だがただ物では無い、姫様が横にいてこれだ、王族などと言っても王弟や猿では話にもなるまい。圧倒的な格だ。


 あくまで謎の少年として失礼にならない様にだけ気を付け話をする。


 「だったら正面からは来ないか? 搦め手で来るなら盗人か暗殺者か誘拐も有るか? あ~誘拐とか楽しそう? まだ一回もされた事無いんだよ、美人女誘拐犯に攫われて誘われて迫られちゃうの! ちょっと誘拐されに行ってくるよ! 何処? 美人女誘拐犯は何処にいるの? もう身代金はプライスレスなんだよ~!」


 ふざけて見せて道化を演じていても英知と鋭利さ怜悧さが覗き見える、あの短い話、少ない情報で商国の者の動きを読み切っている。


 暗殺か誘拐だろう、手勢から見ても目的から考えてもどちらかだが情報員が盗みに入る事も充分に考えられる。


 かなりの遠方の国、そして所属は「男子高校生」と言われる様だ、だがこの店と商品、そして姫様達のお召し物を見れば分かる。王国より上だ、商国や教国でも格で負けかねない。


文化的で知性が高く教養が有り過ぎる、只者では無いが何者か分からない。


何かが動いているのか? 途方も無く大きなものが?


みなさまからブックマークや御評価を頂き31,000pt以上もの総合評価を頂いておりました、本当に分不相応な評価を頂き本当にありがとうございます。これからも日々励みにさせて頂きます。

油断してたらまた連投なんですがまたもお礼投稿と言いうのも烏滸がましいお礼投稿です、もし万が一何かの間違いで御気に入って頂けてお付き合い頂ければ本当に幸いです。


実は昨日から気付いていたんですが、前回の謎の連続お礼投稿の連投で日々の更新分に追い付けてなかったりします、すいません。

でもこれでまた書き溜め未完成がパラパラとしか出来て無くて、明日の投稿分すらももう……夜なべで頑張ります。

乱文に誤字脱字だらけの、小説らしきものを書き始めて2月半のど素人の書いてるお話に本当に過分な評価を頂きまして只々本当にありがとうございます。

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6月25日にひとりぼっちの異世界攻略コミック24巻が刊行されます。 公開された書影はこちら。

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[一言] 第二師団団長?慧眼?マトモな軍人が!!ヽ(゜д゜ヽ)(ノ゜д゜)ノ!!ドンキーみたいな?
[一言] テリーセル卿SAN痴チェックのお時間です
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