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本日のみのスペシャルが本日のみだった事は滅多に無いらしい。


64日目 朝 御土産屋 王都前支店 



 昨日は1昼夜駆け続けて疲れたし夜遅かったからお風呂に入ってすぐに寝た、やっぱり女子用の大浴場は用意されていた。勿論あの危険な巨大なベッドしか無い床一面ベッドオンリーでそのベッドは上がると危険な乙女蹂躙キルゾーンな部屋じゃ無いお部屋で普通に寝ました。乙女です。


 「おはよ~遥君。そして自然過ぎて流しちゃって聞くの忘れてたんだけれどこの城塞何? 王都の目の前に城塞作って城VS城の白兵戦でもするの? 何でお城同士で接近戦しちゃうのかなー、あと『御土産屋 王都前支店 みたいな?』って知らない人が見たら「みたいな?」が名前だと思うからね?」


 「あ~おはよう委員長、今日も委員長だね。朝ごはん出来てるし食後に先着30名様の粒あん饅頭も用意してあるんだけど、ブートにキャンプしてくれる人は予約受付中でワンモアセットなご様子だったよ。って言うかすぐ閉店するから名前いらなくない?」


 昨日作ったのにすぐ閉店しちゃうの? 確かに本命は辺境に引き込む計画だ、遥君一人でお迎えする気だから遥君は戻る気だ。そして自分で作ったお店すら名前覚える気が無いんだ!


 でも眼前には王都が有りその門は全て閉められて守りに入っている、その中の第2王子と王国軍の第2師団を排除か説得しないといけないのだろう。行き成り攻める訳にもいかないがこっちには王女様がいる、交渉位は出来るのだけれどオムイ様を待たずに勝手に動くわけにもいかない。でも王弟様も来るから面倒そうだ。



 そして朝起きたら目の前に城塞が出来ていると、大体普通の人は何事かと見に来るし聞きに来る。って言うか来たの。軍人さん達に守られてお役人さんがやって来た。


 「こちらが代王で在る王弟閣下の直筆の許可証になります、王都で不足する魔石の流通を目的に造られたお店です。商団を迎える為に作りが大きいですし、魔石を大量に売買しますから盗賊への安全面から防御壁も備えております。勿論新王に即位される第2王子のクザリュスヴェリ様が許可できないと仰せなら店を畳み辺境に引き上げますが? 我々は王都に適正な価格での魔石や商い品の販売を任されただけですから」


 完璧な台本だった、王都だって魔石が欲しくてたまらないし現代王の許可証に文句も付けれないだろう。何より食料や武具防具が緊急で必要らしい、だから怪しい店でも潰すに潰せない。仮に略奪してもそれっきりで次の入荷は永遠に無くなってしまう、ならば取引に応じた方が得、と言うよりそれしか無い。


 急いで来て良かった。完璧な台本だったがこの交渉遥君がやる気だった、きっと王都からの使者は死者になっていただろう。どうしてあの言語論理破壊能力で交渉しようと思えるんだろう? そしてこれだけ完璧な台本が書けるのに喋るとああ何だろう? 間に合って良かった。


 そしてお役人さん達の検査と言うか交渉が終わった頃に遥君達仕入れ班が帰って来た、確実な仕入れルートを確保しているらしい。


 だけど仕入れのお手伝いに付いて行った娘達の目がジトだ? あれはドン引きのジト目だ。


 「いやだって折角鍵が掛かってるんだから開けたいじゃん? しかも魔法での完全侵入防御に無限の罠作成装置だよ? 此処で行かないとまじ出番ないまま終わる気がしたんだよ、鍵穴出て来たから鍵開けるよね? ほら俺悪く無いんだよ? だってそこに在庫が有るんだから仕入れるんだよ~! みたいな? 違うって、だって入って持って来て売るだけだって。ほら商売の基本じゃん、それにちゃんと鍵開けて出入りしてるんだから、鍵で開くっていう事は入って持ってってい良いよ~って言う意味に違いない? だって開くんだから開けるし開いたら入るし有ったら持って帰るんだから俺は悪く無いんだよ? これは自然な経済活動で仕入れて売って無くなったら仕入れるんだよ? だって売ったんだから持ってるよ、絶対? いや鍵有るからご自由にお持ちくださいって言う事に間違いない様な違いが違わない互い違い? 的な?」


 王都攻めの最大の難関にして難問、決して落とせない王都ディオレールとディオレール王宮、その理由こそが魔法守護。王国の最高の秘宝にして王家の至上の宝具「究極の錠前プロテクション 指定範囲の完全封鎖 完全防御 完全侵入禁止」と「千古不易の罠 無限に指定範囲に罠が作成され続ける」の究極の2つの防衛システム。


 封鎖されると王都に侵入も出来ずに破壊も出来ない、中に潜り込んでいても罠が無限に続き突破出来ない。「究極の錠前プロテクション」の鍵を持たなければ手の打ちようが無い完璧な引き籠り作戦だ、長期戦による兵糧攻めしか手は無いだろう。


 なのに入って行って食料や武具防具を持って帰って来た、大迷宮で手に入れたまま使い道が無いとぼやいてた「マジックキー Lv Max Lv以下の鍵を開ける事が出来る」大迷宮の最下層クラスの迷宮アイテムでで最高の秘宝にして至上の宝具「究極の錠前プロテクション」を開けて入って行ったらしい。


 大迷宮の最下層で出た最上級迷宮アイテムは迷宮の探索で使うものかと思っていたらお土産屋さんの商品の仕入れ用だった様だ、って言うか仕入れと言う名の強奪だ。


 そして無許可の者を通さない一帯に張り巡らされた「千古不易の罠」で無限に作成される永劫の罠は「トラップリング 罠を自動的に解除する」をしてるから発動しないらしい、侵入阻止不可能で通行禁止不可能な相性最悪の強襲お土産屋仕入れ担当者だった!


 「なんか普通に入って行ったらって普通に鍵開けて普通に持ち出してたから普通に手伝ってたんだけど、よく考えたら普通に犯罪行為だったよ!」


 王都の周りの魔法結界に近づくと鍵穴が現れる、それを解除しない限りは入れないのだから警備していなかったのだろう。解除できるのも出入りの許可が出来るのも鍵の持ち主ただ一人、と信じていたのだろう伝説に謳われ王族に代々引き継がれてきた王国の守りの要、大陸屈指の伝説級の秘宝なのだ。


 常識的に考えて誰も外から入ってこないんだろうけど世の中って非常識な仕入担当が来る事も有るんだから警備くらいはしておかないと不用心過ぎる、まあいたらいたで警備の人が可哀想な未来しか無いのだけれど誰もいないのは怠慢だろう。


 そして要所や出入り口に罠を配置していた「千古不易の罠 無限に指定範囲に罠が作成され続ける」の元まで罠に掛かる事も無く普通に歩いて行って「偶然にも拾った? みたいな?」と必然の様に貰って帰って来たらしい。王国の最高の秘宝にして王家の至上の宝具は強行突破で強引に拾われてしまった、それが強奪で無ければきっと世界は全て落とし物なんだろう。


 そうして難攻不落、前人未到の王都ディオレールとディオレール王宮を出入り自由で強奪して廻って来たらしい。確実な仕入れルートを確保しているらしいと言う話は確実な侵入ルートを確保していると言う意味だったらしい、あれ? 合ってるの?


 「だって簒奪したんだから簒奪品だよ? 奪ったんだからこれ第2王子の物じゃ無いんだよ? だから簒奪禁止で没収で貰ってきたんだし、額に汗水垂らしてコツコツと運んだんだよ? これが悪事なら働きアリさんはみんな国際犯罪者集団だよ、だって一生懸命に運んだんだよ? ほら俺悪く無いじゃん? 地道な勤労男子高校生な運送業? 」


 遥君は犯罪者に厳しく見えるがやってる事は犯罪者に犯罪行為をしてるだけだったりする、一見悪を倒しているように見えるんだけどあれは詐欺師を騙してお金巻き上げる様なもので全く以て良い事はしていなかったりするんだけれどその儲けで良い事してるから何だか良い事に見えてしまうと言う恐ろしい心理錯覚現象だったりする。


 そして人だかりの中営業が開始された、女子は全員日払い制のお洋服とお菓子の現物支給で雇われた。だってクレ-プ作ってたんだよ! 生クリーム無しの試作品らしいんだけれど従業員契約した人限定だったの! で、みんな雇われちゃったの。そのうちみんな使役されちゃうよ? クレ-プはとっても美味しかった。



 大繁盛だった! 王都からの大量買い付けにお土産品も飛ぶように売れる、侵入禁止の王都から都民も兵も貴族までもわらわらと買い物に出て来ては買い漁って行く。


 「お饅頭は1人1個だけだよ! 買い占めは駄目だからね!」


 「はい辺境木刀5本セットで茸人形プレゼントです。茸人形は全6種でコンプです、頑張って下さい」


 「お役所の大量買い付けの注文は奥でお願いしまーす。一般でも大量注文は奥のカウンターでお願いしまーす」


 「ハーイ、お待たせしました。ハンバーガー3、ポテト2です。予約券と引き換えです」


 「本日のみのスペシャルですよ~薬用ポーション(F)が3,000エレですよ~? 普段なら4,000エレは間違い無し~……かも?」


 もう人が全く切れない、次から次へと並び買って行く。


 辺境とは違う、むしろ逆だ。お金は持っているのに商品が無い、供給が需要に追い付いていない。そして装備品や武器が無駄に死蔵されている、結構いいものを売りに来る。これが辺境に在ればどれだけの人が救われたか、辺境の商品を買ってくれればどれだけ苦しい生活をせずに済んだか。


 「経済が正しく循環していないんだよ、無駄に貴族達が規制を掛けて税をかけて流通を殺してしまっているから循環できないでみんなが苦しむんだよ。だから俺が一生懸命働いても一文無しなのはきっと貴族のせいなんだから王都からパクっても問題無いし、パクっても売るんだから循環して良い事なんだよ? だってみんな喜んで買ってるし? 俺もお大尽様でお喜び申し上げてます? みたいな?」


 何が怖いって言ってる事は一瞬だけちょっと良い事を言っているように聞こえるが真面目に聞くとただの暴論ぼったくりなのに、何故だか結局良い事をしているように見えてしまうしいい結果になったりする所こそが恐ろしい!


 「辺境ペナント完売で~す! 後は茸ペナントが残り僅かで~す」


 「謎鳥のから揚げさん4パックコロッケ2パックです、え~と5,200エレになりま~す」


 「桶、笊、盥、鍋入りましたー。右奥のコーナーに展示中ですよー。現品限りでーす」


 遥君は超高速内職で品薄品を大量生産し注文を個別生産しながら料理もこなしている、そして手が空くと王都に仕入れに行く。第2師団が買って行った小麦の大樽がまた戻って来ている、だから減らない。って言うか元々は王宮の備蓄だ。


 「多分バックは商国、商業連合だよ。じゃ無かったら大量の人口を抱えて食料の生産能力の無い王都が門を閉ざしたらすぐに干上がるんだよ? つまり商国が密輸して王都の第2王子に支援している、で俺が貰うから俺も喜ぶ? 善き哉善き哉?」


 それだと商国だけが損をする、密輸で援護しても儲かるのは遥君。そして王都も遥君から買うしかない、お金や物が尽きるからまた支援が必要になる。でもそれも遥君が奪う、だから商国は王国から手を引くまでずっと延々と商国の資産を遥君に喰われ続ける。


 短期でも王都の維持で大損する、長期なら商国の資産が喰い付くされて行く。商業連合がお金儲けの為に始めた策略でお金を巻き上げられ続けるのだから質が悪い、軍事力で攻めれば殲滅され、経済力で攻めれば巻き上げられる、政治力で圧力何て無視される。係ると不幸にしかならない、関わらないのが最善だ、だって何をどうしたって損にしかならないぼったくり特化の貧乏神だ。 何故なら何も奪わせずに奪い尽くす、戦乱の覇者でも凶悪な魔王でも悪徳な扇動者でも何でも無いただのぼったくりさんだ。関わったらぼったくられる、嫌なら関わら無いしか手立ては無い。


 「商国は商業連合だしガンガンに巻き上げても商国の持つ資産からすれば微々たるもんだよ? でも損をするって言うのが大切なんだよ、お金を出して損をするなら誰も出したくないよ? 当たり前じゃん? 儲かると思ってるからお金を出してるのに損をしたら出したく無くなるよ、お金が集められ無くなれば戦う力は無くなるんだよ。まして連合なんだから誰かが命令して損すれば揉めるし割れるよ? 商国に圧力をかけるんなら損をさせて儲けさせない事なんだよ。商国なんて名前の癖に商売に政治力を使い過ぎてるから商売にやられるんだよ、だから商売でぼったくられて政治力すら失うんだよ? 商売を舐め過ぎてるんだよ、お金儲けと商売は別物なんだから」


 あきない売って儲けている、利権も権益も他人の資産も何も必要ないただの商売。だから潰せない、ならば武力か政治力で潰しに来るしか無いが来たら可哀想な事になるだろう。だって一生懸命袋詰めしている娘は迷宮皇さん、せかせかと商品を運んでいる剣の王女様に、ハンバーガーを売ってる辺境の姫君、そしてLv100越えの売り子たち。きっと大陸最強の御土産屋さんだろう、ここより強い御土産屋さんが有ったら寧ろそれこそが問題だろう。


 もうお土産屋さん無双なお土産ウォーズが始まっちゃう!


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6月25日にひとりぼっちの異世界攻略コミック24巻が刊行されます。 公開された書影はこちら。

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― 新着の感想 ―
[一言] メリメリはともかく王女の方に気付く奴居なかったんか?城の文官等役人やその家族も買いに来てそうだけど つーか、メリメリ来てたんかいw
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