お話合いでお口を塞ぐってお話する気もさせる気も無いお話合いだった。
63日目 朝 ムリムリ城
全体会議。各派閥の長全員が出席して方針を出し、行動を決めて各自擦り併せる。
今回だけは約一名擦り併せる気が無いどころか勝手に磨り潰す気満々な問題児が参加している、でも喋らせると会議が崩壊するからアンジェリカさんが後ろからお口を塞いでる。だって何時も何時でも何処でも何処までも会議破壊者で議論爆砕者で参加者全滅だ、お口ばってんだ!
そして議案が出され、議論が始まり、議会が白熱し、遥君は寝てる! 聞く気が無いのにお口を塞ぐと会議に出ている意味は無かったようだ、寝かせて置こう。
A 辺境軍で第1を撃破、王都へ。オムイ様の案だ、私達はムリムリ城で守備。3千の兵で3万の軍を討ち王都で2万を攻め落とす、絶望的だ。
B 王弟軍で第1と交渉、王都へ。王弟様の案、遥君を差し出して第1と和解して王を助けに向かう。和解できる可能性が低すぎるし、差し出される人の和解能力が欠片も無い、破壊能力の3人組放り込み破壊作戦だ。
C 王弟軍と辺境軍で王都へ第2と交渉駄目なら撃破、第1と交渉。これも王弟様の案、だからその人差し出したら和解じゃなくて破壊なの! それって核兵器担いで話し合いに行く様なもので交渉と言う物では絶対ない。
D ムリムリ城で守備、迎撃。私達の案、安全確実だ。だけど……王国の人達は見捨てられる、私達は辺境しか辺境の人達しか知らない。でも、他の人達は……特に王国軍の人達は王都に家族も友達も恋人だっているかも知れない。
E 全員で王都開放 守備は……遥君だけ。当然非難囂々の遥君の案、しかも王都まで付いて来て引き返して叩くとか言う無茶苦茶な案。だけどアンジェリカさんがウンウンしている、スライムさんもプルプルしている。
F は即却下された、シャリセレス様の案て言うか言い分はシャリセレス様が第1王子の軍を止めている間に他の全員で辺境を守りつつ王都を取り戻す案。止める気満々だがたった2人では足止めも無謀だ、絶対却下だ! もし行くんなら絶対に1人でなんか行かせない。
誰もが納得せず誰もが説得できずにいる、Aは無謀で勝ち目が無いが私達が辺境軍に付けば出来なくは無い、ただしそれだと辺境が完全に無防備だ。
Fは死ぬ気は無いみたいだけど普通死んじゃうから論外だけれど、でも遥君が付けばゲリラ戦で足止めと遅延くらいは軽く出来そうだ、足止めで壊滅とか殲滅とかも有りそうだ。
BとCは……違う意味で凄い事になりそうな気がする、それは差し出しちゃ駄目な物なの、受け取ったら悲惨な未来しかない贈り物さん達だ。
そしてDでは説得できない、絶対の安全策だけれどその安全は辺境だけの安全だ。王都に家族も友達も恋人も残してきた人を説得できるはずも無い、私達だって自分だったら認めない!
で……Eだ、
「いやって言うかだってアレじゃん? ほら? ほっといても第1はこっち来るんだって、来るしか無いんだから待ってれば良いんだよ? みたいな? で足遅いんだから先に王都行っちゃって殺っちゃって帰ってくればいいんだよ、どうせ未だ有るんだし? あっ、でもこっちが本命じゃない可能性も有るからオタ莫迦にスライムさん付けてちょっとお使いに出す感じになりそう? みたいな感じで行けば良いんじゃない? みたいな?」
想像していた通りに誰にも意味が分からない、だけど第1王子軍は「来るしか無い」らしいし、第2王子を倒して王都を取り戻し第1王子軍を迎撃で落としても「どうせ未だ有るんだし?」らしい、そして「こっちが本命じゃない可能性」まで有るみたいだ。
私達は王都で圧力をかけて搦め手を潰して待てば良いらしい、攻城戦に見せかけた持久戦で勝手に落ちる?
そしてムリムリ城の守備は遥君1人で問題無いらしい、アンジェリカさんを尾行っ娘ちゃん達に付け、スライムさんまで小田君達に付けて別行動の護衛も無しのたった1人。この城でたった1人で戦うらしい。
王弟様は「逃げるか」だの「捕まえろ」だのと喚いているが他は全員黙ってしまった、どう考えてもEは有り得ない。だけど戦争の裏やその後まで読んでいる案はEだけなのだろう、そして実は心配性で超過保護で離れるのをすっごく嫌がるアンジェリカさんがウンウンしている、スライムさんまでもがプルプルしている。
「1人って言うか1人の方が早いみたいな感じ? だって隠し玉持ってるけど持って無いみたいなんだよ? だから隠せない様に引き込んで出したら潰すんだよ、出さなくても潰れるし。潰しちゃうから人が沢山いると逆に困るし? 生えるから邪魔だし? みたいな?」
策は有るらしい、意味はやっぱりさっぱり分からない。無謀にしか聞こえない、ただ分かる事は第1王子の軍3万を警戒していない、寧ろもう滅びて終わっているかのように語っている。これはきっとその後の話をしているんだ。
物別れ。これは決まらないし決められない。
遥君は小田君達と話し込んでいる? 一緒にいるけれど柿崎君達は話を聞いていない、もしかして「お使い」のお話だろうか? 珍しく小田君達の顔つきが鋭い。
「委員長~。女子会だけでも総意を決めない? 動きが急だからこそ指針だけは決めとこうよ」
「「「賛成、多分ばらけそうだし?」」」
各自がバラバラに動くのが最悪だ、最も数が少ない辺境側が割れれば戦いにすら持ち込めなくなってしまう。
王弟様はオムイ様が説得して下さっている、私達は王女を止める。最も暴走の危険が有るのは王女様、そして王国軍。
「シャリセレス様、女子会会議を開くんですがご一緒しませんか? お茶とお菓子も用意していますよ?」
これで王女様は大丈夫、もう既にお菓子の一言で悲壮な顔つきが笑顔になっている。前に遥君に言われたんだそうだ「死んだらお菓子が食べられない」って、ある意味凄く名言だ。普段は迷言どころか迷幻で真実が欠片も無い妄言が大量生産の戯言騙しの狂言回しだけれど、そのふざけておちゃらけた言葉には誰にも何も言い返せない物が極稀に希少にだが入っている。
「尾行っ娘ちゃん、遥君要注意で。報酬はお菓子10個で。」
「任せて下さい! 甘美味しいのを希望します」
遥君の首に鈴は付けた、今回はアンジェリカさんやスライムさんまで遥君の案に賛同している。動きが読み切れない、そして動く前じゃ無いと間に合わない。
大部屋に移動してお菓子付き女子会会議だ。
「遥君が一人で良いって言うなら策は有りそうだし、遥君が策を用意して待っている所にのこのこ来たら普通~全滅しない?」
「遥君が一人って言うのが不安ではあるけど、偽迷宮とムリムリ城に仕掛けしてお出迎えだからね~、しかも出迎えるのが遥君って……」
「「「歓迎ようこそ~って感じ?」」」
でもその後が有るらしい、寧ろ一緒に王都に行って帰って来て第1をお出迎えしてまでは良いとしよう。その次に私達は間に合うんだろうか? 王都がそんな短期間で落とせるの? それも策が有るのだろうか、待っているだけで落ちると言い切っていた。
「本番はその後って感じだったし、小田君達のお使いも重要そう?」
「アンジェリカさんが尾行っ娘ちゃん達と別動するのが心配なんだよ、誰も付いて無いって……」
「誰か護衛に残す? 楯委員長とか新体操部っ娘ちゃんとかなら……」
護衛がいれば安心感は上がる、回避不能なスキル攻撃なら楯委員長、暗殺者か殺し屋なら新体操部っ娘ちゃんだろう。でも集団も余裕があるとは言えないし、何より遥君なら大丈夫でも楯委員長や新体操部っ娘ちゃんが危険すぎる。
きっと一番傍にいたい島崎さん達は何も言わない、使役組は集団から絶対に外せない。特に柿崎君達と小田君達が外れるのなら絶対だ、だから何も言わずに我慢してくれている。
「小田君達と柿崎君達が外れるのなら集団は外せないの、20人でギリギリだと思ってね」
遥君の説明が分かり難い、あれは何か誤魔化している時の話し方だと思う。危ない事をしそうだけどそれならアンジェリカさん達は絶対傍を離れない、大丈夫なんだろうか?
「あの~、私も集団に入れませんか? 一緒にいる間だけでも役に立ちたいのです。」
「「「本当に? 大賛成で大歓迎~!」」」
「お姫様集団誕生だね!」
お姫様は1人だけで集団でいないんだけど、まあメリエール様も呼んだら2人? 声かけてみようかな? 集団かどうかは微妙だけれど複数形にはなるかな?
「集団訓練しよーよ? 王女様も一緒に!」
集団戦闘訓練は王女様に軍事戦闘のレクチャーを受けながら集団行動を王女様が学ぶ勉強会な訓練になった。
指揮官としても勉強になった、複雑な軍事行動や命令は出さないが的確に指示を出す、陣形や作戦は単純だが効率的で状況判断よりも危機察知と好機を逃さない判断力が凄い。正に将軍だ。
「皆さん強いです! 個々の力も圧倒的なのに集団になると桁違いの戦力! これって30人で万の軍とも戦える戦力ですよ!」
逆に私には戦術から連携まで、スキルの合わせ方や攻防の手順まで質問責めだった。勉強家さんでメモまで取っていた。
そして22人のお姫様集団は良く纏まっていたし連携も布陣も機能していた、お姫様なのに前衛職で壁も近接攻撃もこなし当たり強く崩されない、これが王国軍の象徴、王国の姫将軍。
ずっと王国の為に戦ってきた強さ、ずっと王国の民を守ってきた強さ、だから今度は私達がお姫様を守る。
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