参加した覚えも無く開催すら聞かされていないのに勝手にPart2に巻き込まれて敗者扱いだ!
62日目 夕方 ムリムリ城前
2パーティー1組の3ユニオンに別れての様子見の訓練を兼ねた軽い迷宮探索で3ユニオン全てが50階層の迷宮王を倒し迷宮を殺してしまった、後は隠し部屋探しだけ。
みんな唖然として呆然として全然実感がないまま帰って来ちゃったみたいだ、そして私達もそうだった。
迷宮王を倒せるようになるまでが長かった、触手に捕まり乙女の危機でギブアップしやっと倒せたと思ってもお鍋をつついて不合格になった事も有った、やっとこの間6パーティー全員での集団で勝利して合格点を貰った。それが 2パーティー1組で圧倒出来てしまった、みんなが圧殺して帰って来た。
全パーティに配られて配備された新武器が凄すぎて強過ぎる、圧倒的だ。火力が上がり戦闘時間が短縮されて2パーティーだけのユニオンでたったの半日で迷宮が死んだ。あれほどまでに苦労した迷宮王まで圧殺した。
「強くなってる? なってるんだよね? 私達強くなれてるよね?」
「2パーティーで迷宮王を押し込み切って勝てたんだよ! 凄いって!」
誰もが目標が遠すぎて追いかけても追いかけても高速で遠のいて最近では転移までしちゃう超高速移動目標さんのせいで自信喪失に意気消沈気味だったけどちょっとだけ自信が付いた。
まあ夜の訓練でまた粉々に砕かれるんだけど今くらい喜んでも良いだろう、すぐに絶望するんだし。
「火力が上がって戦闘時間が短くなるとここまで違うんだね~。」
「まあ、1撃必殺の高速強襲極悪3人組と比べると遅いんだけど……」
あれと比べちゃ駄目だからね? あれは迷宮踏破してるんじゃなくて迷宮王を虐殺しに行ってるの。あれは良い娘も普通の娘も悪い娘すらも真似したらいけません、あれは極悪非道な迷宮虐待です。
柿崎君達も興奮状態だ、興奮状態で異常状態なのか同じ台詞が繰り返しだ。
「「「この剣すげえええっ! まじすげええっ! 何か凄くてヤバかった!」」
大剣の破壊力も凄かったみたいだけれど言語破壊能力も凄かったみたいだ、効果に-INTがあるらしい、もうさっきからずっと大剣の威力を語っているのに「凄い」と「ヤバい」しか形容詞が使われていない。もう駄目みたい。
でも1撃で倒せると言う事の意味も意義も途方もなく大きかった、瞬く間に敵が減り圧倒的に数の差が作り易い。実際全員がMPを大量に残している、未だ戦える状態のままだ。
「装備も充実しちゃって中層でも殆どダメージ無しだった。何と言ってもブラが動き易い!」
大きい娘はとっても悩んでいた、大きくない娘は……悩みは尽きないらしい。とにかく動き易い、邪魔にならなくて疲れないし擦れや蒸れなんかの不快さも無い! これは3千世界最強だ、未来世界(SF)ですら敵わないだろう。これは下のヒップアップ効果も期待大だ。
そして防御力も地味に底上げされてスキルも効果も満載だから全員がほぼノーダメージで終わった、安全に戦い切った。これこそが最大の成果だ、みんな唖然としているけどちゃんと強くなれたんだよ? これが遥君がくれたもの、これが遥君が目指したもの、命を守る安全。
やっとLv100を超えて装備の力に追い付けた、発揮できている、遥君がくれたものを使いこなして戦えた。だから強かった。だって此処までして貰って守られてこれで強くなれていなかったらそんなの嘘だ、許されない。だからちゃんと強くなれていた。
ムリムリ城に戻ると城の中は騒然としざわついている、そしてその原因はすぐに教えて貰えた。第2王子の王都での謀反、敵の敵も敵だったみたいだ。
王国の兵は家族の身を案じ、辺境の兵は敵だらけの状況への対応に追われている。王国が混乱し崩壊し始めている。
「でも分裂したなら有利なんじゃない? 兵力の文さん? 文さんって誰?」
え~と兵力の分散は確かに有利な点ではあるだろう、文さんが何者で何をしているかは分からないって言うか誰!
「でも敵が2つに増えたとも言えるんだよ? 2正面作戦だったっけ?」
「王弟さん……備えもしていなかったの? それで王都から出て来ちゃったって……」
3竦みになるには状況が悪い、どちらにとっても辺境は落とさなければならない。そして兵力が段違いだから交渉に出てくる可能性は著しく低い。
「まあ、私達に決定権が有る訳でも無いんだしお風呂と晩御飯だよ!」
それもそう私達は付いて行くだけだ、あの非運と悲劇が大っ嫌いで非運と悲劇を悲惨に斬殺して廻る我儘な有るがままの誰かさんに付いて行くだけだ。
訓練所に遥君を探しに行くと……
王女とメイドさんが目がばってんで倒れている、先客だったみたいだ。訓練だったのかお饅頭を食べ過ぎてワンモアセットだったのか?
「「「アンジェリカさーん。迷宮王倒して来たよ! ちゃんと強くなったんだよ!」」」
その一言にアンジェリカさんの顔が綻ぶ、大輪の花が綻ぶような笑顔ってこういう事なんだっていう位に笑顔が零れ落ちそうだ。
そして、
「「「ぎゃああああああっ……ギブ。」」」
「「「ぐわああああっ! もう駄目ぽ!」」」
でも容赦はなかった、寧ろ武器や装備に頼ろうとして隙が増えていた、戦い方が崩れてしまっていた。だからボコボコのばってん娘の山が積まれて行く。
ちょっとだけついた自信さんは短命でまた粉々に砕かれてお亡くなりになられてしまったみたいだ、絶望中です。
「大火力に魅せられちゃってたんだ~、突っ込み過ぎだったね~?」
「うん雑に一気に決めようとしちゃってたんだよ、「慢心が過信で危なかったんだよ」とか怒られそう!」
反省会、今日は反省点が多い、強くなったと思った分思い知らされて叩きのめされた。叩きのめしてくれた、危険を先に教えて貰えた。
いつの間にか武器に頼り装備で誤魔化そうとしていた、だからボコボコだった。勢いと慎重さのどちらも無くしてはいけないと、強くするのは武器で無く自分自身だと。
最強の最高の指導者さんの稽古は最恐に過酷だった、でもきっとまた強くなれた、諦める事なんて出来ないから強くなる。
アンジェリカさんはどんなにボコボコにしても本当に強いのは遥君だと言っていた。
強い相手に勝つには相手より強くなるしかない、だったら最強はアンジェリカさんだ。なのにただの強さに意味は無いと言う、誰にも殺せない者を殺せるのは遥君だけだと。あれこそが本当の強さだって。きっとアンジェリカさんがあんなに強くなっても手に入れられなかったもの、それこそが弱くても強いものに勝つ強さ。
まあそういう意味なら遥君は最強最悪最狂最大級の最有力候補だろう、でもその最凶最盛最恐最高峰有力候補は女子高生たちの水着の注文と言う名の押し競饅頭大会Part2で敗退の危機だった。危機って言うかもう駄目かも?
むぎゅむぎゅと押し潰されてもにゅもにゅに叩きのめされて女子校生達に沈没中だ、きっとお風呂に行こうとして装備を外していたんだろうあの軽装でLv100越え女子高生押し競饅頭大会を生き延びる事は出来ないだろう。もう天に伸ばした腕しか見えないが遂にその手も見えなくなった。沈んじゃった? 「浮沈」のスキルは取れていなかったみたいだ。
だって前の世界では照れも有ったし人目も世間体も気になった、でもここは異世界! 知り合いは仲間だけ、そう遂にビキニ デビュー!
遥君の屍に大量の注文票が積まれている、私は黒ビキニ! ってマルチカラーだから無地のビキニだ。
今だに柄物はパターンオーダーなんだけどマルチカラーに柄を転写する技術があるらしいの、転写技術がまた例の如く遥君しか出来ないから水着の注文も熾烈だった。って言うか水着さんを甘く見ていたんだ、注文が殺到すると思ってもいなかったから装備を外してしまって油断していた、甘いよ?
女子達の手で花柄の原板は現在作成中らしいから花柄ワンピも夢では無くなったし楽しみだけど転写機が高価そうだからお金も貯めないといけないしでも水着も欲しい、花柄の次は格子柄らしい、って言うか遥君が自分だけ千鳥格子柄のワークパンツをはいてるのが見つかって自白させられて柄物計画が露見したのだから自業自得でそれからもうみんなワクワクしている。
現在島崎さん達が柄のデザインを出し、服飾部の天羽さんを中心に文化部が総力を挙げて柄のトーンを作成中だ、水玉やストライプは既にかなりの原板が出来ているし後は転写機の完成待ちだったのに今度は水着が出て来てしまったのだから大騒ぎで連夜の女子会だった。
私も注文票を置いてみたんだけど返事は無いからただの屍のようだった。女子達もお風呂前で装備は外していたから怪我は無さそうだ、だって幸せそうな顔の屍さんだった。
さあお風呂女子会だ、戦争の行方も気になるし乙女戦争の開催日も気になる、次は柄物計画の試作品が放出されると言う在る筋からの情報だ。何せ柄物の新作を着て深夜の戦いに挑んだ毎晩泣かされる最強の人からの情報だから間違いないの!




