等級に意味無いのは歴史の謎なのだそうだ。
19日目 昼前 オムイのギルド
誰にも絡まれない。誰も目を合わせない。誰もこっち向かない。そして自動的に道が開く。
いいけどさー、便利だし。
とりあえず受け付けカウンターに行ってみると、
「すいません。これで有り金全部です、勘弁して下さい。残りは、必ず、必ず後日お払いしますから、今日はこれで、、、お願いします」
「「「「お願いします。」」」」
いや、強盗とかじゃないんですけど?冒険者でもないけど。無職だし、住所不定ってか洞窟住まい?怪しい人だった!
「遥君、すまない、魔石の換金だが量が多すぎて未だ終わってないんだ。そして、終わった分だけでもギルドの現金が足りない、すまないが、分割にしてもらえないだろうか?」
「「「「お願いします。」」」」
うぉぉーっ、何これ?とりあえず強盗と間違われている訳ではないらしい。怪しい人とは思われてるかも?俺なら思う。
「本来なら、買い取れなかった魔石は返却するんだが、、、遥君は冒険者ではないので、本来は買取できない。が、この量を他所に流されるのも困ると言うか、惜しいと言うか、、」
ギルド長のおっさんの説明によると、魔石の買取でギルドは一割の手数料を受け取る。本部の決まり事なので取扱量の一割は引かないといけないらしい。
これは、冒険者ギルドと冒険者の為に使われるので、冒険者は他所に売る事は禁止、売ったら除名らしい。
所が俺は冒険者じゃない、冒険者ギルドのお世話にならないし、なれない。
冒険者でも無いのに特例だ御礼だと言っておきながら、一割徴収することに罪悪感を感じていたらしい。
冒険者じゃないから商店に売りに行っても問題ないし、文句も言えない。買い叩かれるので、親切で買取をしようとしてくれたわけだが、大量で買い切れない、が、逆に大量に安く売られると価格破壊だ、ギルドの運営に係る問題になってしまった。
「当然、命令も出来る訳がないし、お願いできる立場じゃないのは解っているんだ、、、すまない」
色々気にしているようだが、別にいいんだが、頼んでるくせに遠慮して話が進まない。
が、目に熊を作った受付のお姉さんの一言が決め手になった。その小さな声は、
「これだけ売買できればボーナスが、、、新しい洋服買えるよー、、、、」
「別にいいよ?徹夜させたみたいだし、ボーナス出してあげてね?みたいな?」
別にいいし、本屋が無いんだ。お金持ってても本屋が無いんだよ。
「俺がなれなくても、委員長達も冒険者の登録したんだし、多分知り合い?も四人入ってると思うし?24人も面倒見てもらうんだから別にいいよ気にしなくて、まじで。」
ほっとした雰囲気が流れる、受付のお姉さんははしゃいでる。あ、怒られた。うん、気持ちはわかる、俺も何時も、、、。
取り合えずとして、800万エレ貰った?アホなの?そりゃあ、現金なくなるよ。ちょっとは買い叩けよ。
「800万って、F級の魔石が殆どだったはずだけど?1番下の等級だよね?」
怒られていた受付のお姉さんが、前に出て来てドヤ顔で説明を始めた。説教から逃げてきたな、、、。
「あ~、それはですね~、Sは伝説、Aは災害級で倒せない。逃げます。Bも国を挙げて倒せる、、かも知れない?Cはギルドで結集したらもしかして?Dで、やっと1流が集まってればいける?かな?Eが、トップクラスが頑張って何とか?それ以外全部Fです。Fだけです。Fしか無いです。Dとかあったら王様が飾ってます。」
駄目じゃん、等級意味無いじゃん。
道理でF級しかないと思ったよ、価値全然わかんないよ。
「Fで1~10に別けて、更に+-で30等級です。」
「何でFで止めたの?なんでZまで使い切らないの?めっちゃ解りにくいよ!」
「其れは歴史の謎ですが、今回一番上はF10+、初めて見ました。他も殆どがF8~5で、ぶっちゃけF10+だけで1000万エレ超えます、ギルド破産します」
受付のお姉さんはそう言えば買い取りカウンターで泣いてた人だ、最後は睨んでた。鑑定士なのか?かなり詳しい。
「本当に良いのかい?かなり、と言うより凄く虫のいい話で、遥君にだけ何のメリットも無い。正直とてもお願いできる内容じゃないんだが、、。」
「いいよ、どーせ魔石集まったら委員長たち通して、こっそりギルドに売り捌く積もりだったし?ギルドの情報も内緒で横流しして貰うつもりだったし?」
「其れ、お願いだからギルド長とギルドの全職員の前でぶっちゃけないでくれるかなー、、、全然こっそり、内緒にしてないよね?まー、出来ればそうして欲しかったんだけど、、、気付かずに、、、。」
結果、長期返済にして貰う事にした、長期なら俺と繋がる委員長達に何かあれば全額回収や商店への投売りするぞ、と言えば無碍には出来ないし、融通も利くだろう、情報の集まるギルドが味方なら安全性が高まるだろう。と、言うか脅しといたので頑張るだろう。
「じゃあ、買い物行こうかな?どこかお勧めの店とかあったら教えて欲しいんだけど?」
軍資金は得た、予想より沢山だ。
商店の場所も聞いたし、出かけよう?
「遥君、、、ちょといいかなー?」
お金持ちな成った途端、委員長が現れた?
「強請り?集り?カツアゲ?それとも、熊?」
「熊はもう良いから!それに強請ったり、集り、カツアゲしたりしないよ。寧ろ逆だよ!」
思いのほか金額が大きかったので、焦ってるようだ。心配性のおかーさんだ。
「あー、預けた分?いや良いんじゃない?何かあるかもしれないし?」
「だって袋一杯の魔石だよっ、凄い金額に為りそうだよ?持ってるのも怖いよ?」
委員長には何かあった時や、お金が厳しい時用に魔石を一袋預けている。
実際怪我したり、武器壊れたり、でお金の余裕がないと危険だ、非常用と融資用として渡してあるが予想より高額で困ったのだろう。
「余ったり、要らなかったりしたら返せば良いんじゃない?多分?」
「その多分はどうでも良いっていう多分だね?お金は大事だよ?」
だって、洞窟家賃無料だしー、茸も無料無限取り放題だしー、服も永久保障付き?って言うくらい破れないしー、本屋も無いし、、、お金って何?って生活だよ?俺。
何よりぼっちだから交際費も永久無料ー、ってホットケよ!
「だから持っててよ。大事な事が会った時の為に。なかったらラッキーでいいじゃん?」
「うん。ありがとう、皆のために大事に使うよ。」
やっと、委員長を説得し終わり、お出かけ?
「兄ちゃん、お礼をするって言ったよな、良い店が有るんだ紹介するぜっ」
おー、槍のおっさんだ、良い店を紹介されるらしい。
異世界の美人さんたちと、キャッキャ、ウフフできるお店だろうか?洞窟ではギャッギャ、ウグググって鳴くゴブ達しかいなかった。
「まだ、昼前だぞ?」
一応ほら?何ていうの?建前とかいるじゃん、、、索敵で後ろに20の敵が見えるし?
「いや、そっちの店じゃなくて武器屋だよ。ちょっと変わってるし、見つけ難いが良い店だ」
なんて使えないおっさんだ、グリーンウルフに返品してこよう、そうしよう。粉々に為っていたが受け取りして貰えるだろうか?
うーん、Lv9では何も持てないが、お金も有るし、良い店で出物でも有れば委員長達に教えたら良いし行ってみようか?お礼らしいし。
行くだけ行ってみようか?返品は其れからでもいいだろう、何気に異世界の武器屋とか行ってみたいじゃん?、、、キャッキャ、ウフフはもっと行ってみたいんだけど。マジで。