宿屋におっさんが来たんだけどどれだけのフラグを立てても何と驚くべきことに全員おっさんだった。
56日目 深夜 宿屋 白い変人
深夜に黒ずくめのおっさんなんかに用は無い、入口から押し入った本隊はスライムさんが食べただろう、美味しくはなさそうだからポイしそうだが逃げられはしないだろう。窓から飛び込んで来たのは全員死んだ、だってワイヤー張ってる窓に飛び込んだら大体切断されるんだよ?一般常識的には?あれだけフラグを立てたのにおっさんを送り込んでくるとか使えないから罰があたったんだよ!
8人で8部屋を一気に制圧しようとしたのだろうが防犯体制はばっちりだ、しかも勢いを付けて飛び込めばそりゃー切断されるよ?毒を使う気だった様だがほぼ全員即死だった。瀕死の1人を除いて。
みんな気配察知と気配探知で気付いていたようで武装を終えている、どうして室内で巨大ブーメランを握った莫迦がいるのかは気にしたら負けなんだろう。駄目だ、突っ込むと長くなる!今こそ俺のスルー力が試されているんだ!って試すなよ!急がしいんだよ!
そして生き残りとスライムさんが捕まえたおっさん暗殺者を領館に連れて行く、きっと向こうも何かあっただろう。なくてもおっさんとかいらないし。
おっさん暗殺者達の移送は委員長達に任せ、先に領館へ向かう。
深夜にも関わらず篝火が焚かれて兵隊さん達が警戒している、もう終わったみたいだ。
「今晩は~?ってこっちは何もなかった?宿屋におっさんが来たんだけど何と驚くべきことに全員おっさんだったんだよ!一体どれだけのフラグを俺が立てて来たと思ってるの?何でたった1人も美人女暗殺者さんを連れて来ないの?何で俺の所にはいつもいつもおっさんが来るの?こっちもおっさんだったの?こっちだけ美人女暗殺者さんだったら許さないんだよ!交換を求めるんだー!差別だからノーモアおっさん!」
側近さんが門まで出迎えてくれたんだけどどうしてこの領館って素通りできるのだろう?門番に止められたりも無ければ用件どころか名前すら聞かれた事が無い。どんどん通されるけど門に意味は有るんだろうか?
「夜分にご心配を掛けました。こちらは兵が一名軽症を負っただけで済みました、毒が使われましたが遥様の毒消し茸ポーションで大事には至りませんでした。ただ耐異常状態の装備が無ければ即死か即効性で治療は間に合わなかったでしょう、かなりの猛毒の様です。敵は生かして捕らえられなかったのですが全員男性の様でしたがおっさんかどうかまでは未確認です。」
被害は無かったようだ、まああの程度なら大丈夫かな~とは思っていた。ただ分からないのは全員が大した腕では無かった、ならどうやって偽迷宮を通り抜けたのだろう?この程度のおっさんで通り抜けれるとは思えない。
そしてメリお父ーさんと話をしていると委員長達がおっさん暗殺者を連れて来た、そして尾行っ娘が情報を持ってきた。ちょっと間に合わなかったが、ちゃんと情報を掴んでいたのだ。ドヤ顔だった。
「どうも「バルーン・バット」と言う魔物を使って空から人を送り込み始めたようです、既に暗殺者とは別に間者も入って来ていると思われます。朝から調査と捕縛を始めますからそれまではお気を付け下さい。未だ人数は掴めていませんが大した人数では無いはずです20~30と言ったところでしょうか?全員軽装の筈です。」
気球の様な魔物みたいだ、空に浮き続けている魔物らしい。まさか空中輸送があるとは考えていなかった、ただしかなり珍しい魔物の様で数はいないみたいだ。ならば空戦で殺せばいい、気球なら狙い放題で仕留められる。こっちには浮遊できるスライムさんに俺の空歩がある、空中突撃戦は得意だ。着陸方法が未だに発見されないが飛んでぶつかるまでは熟練者と言っても過言ではないだろう、撃墜王と墜落王なら自信がある。
「しばらく夜は偽迷宮のお城に移動しようか?ムリムリ城からなら迎撃にすぐ出れるんだから後手に回らずに済むんだし、そろそろ地上からもなんか来そうだし?」
迷宮回りも向こうにも手付かずの迷宮が有るのだから移動しても問題が無いと言えばない、雑貨屋だって現状在庫は充分過ぎるほどあるのだ、あれは注文を片っ端から聞いて来るお姉さんの問題だ。ほっといても良いだろう。と言うか宿から逃げないと絶対に注文を取って来る、村の次は何なんだろう?考えちゃ駄目だ。
委員長もおっさん暗殺者の引き渡しが終わった様で此方に向かってきた、そしてお辞儀する?なに?
「オムイ様、夜分にお騒がせして申し訳ありません。宿に暗殺者が現れましたので捕縛した者を連行してきました、事情はお聞きになられたでしょうか?お聞きになられて理解はできたでしょうか?多分そちらのスライムさんに聞いた方が理解し易いと思いますが大丈夫ですか?何なら遥君隔離しましょうか?」
「お騒がせなどと本来ならば我らが街と民を守らねばならぬのに申し訳が無いのはこちらの方なのだ。寧ろ街の危険を鎮圧して貰い何と感謝すれば良いか。この街の領主として皆に感謝をさせて欲しい。」
なんかメリお父ーさんが不気味な喋り方をしている?さっきまで「ねーねーマッサージチェアーの順番待ちが長いからもう一個作ってくれないか~い?」とか言ってたのに?キャラを立てているのだろうか。確かにあの位しないと領主って気付かれないのだろう。だって服装が兵士だし側近さんの方が身だしなみが良い。
しかし、何故この程度の雑魚おっさん達が暗殺を仕掛けたのか?これでは他の間者たちが動きにくくなっただけだろう、ならばそれでも仕掛けた理由があるのだろうか?だとしたら陽動?でも俺も領主もここにいる、本命なんて他にいるのだろうか。
「あ~!王女っ娘はどうしたの、あとメリメリさん達は。」
後危険があるとしたら人質としてメリ家族、そして王族であり将軍である王女っ娘だろう。ならば本命が一人はいる、雑魚のおっさん暗殺者を捨て駒にしてまで動かす価値がある程の本命だ。王女っ娘を殺しに来たのか攫いに来たのか確かめる必要がある、攫うのならば助けと言う可能性が高い。だったら返した方が安全だ、此処に留まれば裏切ったと思われる危険がある。
「すでに完全武装で館の中にいるよ、メリエールだって辺境の騎士の中でも最高クラスの使い手だよ?そして姫騎士様は国内で最高峰の剣士、あれなら襲われる心配は無いよ?兵も付けて有る。」
気配探知にも索敵にも反応は無い。
「ちょっと見て来るんだけど誰か付いて来てくれないとまさかの「きゃあああH」展開が起ったら大変な事になるからチャイナドレスは宿に置いて来たけどレオタードさんが危険で危ない?って言うかなんで「きゃあああH」でオタと莫迦が手を上げてるの?「きゃあああH」で更に男来ちゃったら何の解決もしないで悪化の一途だよ!辿るどころか突進だよ!って言うか普段空気なのに何でそこでだけ突然やる気見せてるの?どんだけ「きゃあああH」に夢と希望を膨らませているの?俺もちょっとだけ期待していない訳では無いんだけど、今まで期待してもおっさんで終わりなんだよ。大体何を期待してもこの世界っておっさんなんだよ?経験者は語っていて泣きそうだったりするんだけど、これで部屋に駆け込んでおっさんが「きゃあああH」って言ったら焼くよ?うん、この館ごと灰燼に変えてくれるんだよーーーっ!」
「「「領館焼かないでー!」」」
話が進まないので王女っ娘が懐いている甲冑委員長さんに行って貰った、万が一に備えてスライムさんは宿に残っている。
ちょっと誘ってみようか?
そろそろ夜が明けるだろう。高速移動で街を巡回してそのまま城壁を出る。誰も付いて来ないし気配探知も索敵共に反応無しだ、それならば尾行っ娘もやっていた、ただ空間把握にもかからない。警戒し過ぎ?それとも狙いが違うのか?同級生29人に甲冑委員長さんがいれば領館の守りはは要塞並みだ、例え狙いが本命の王女っ娘かメリお父ーさんでも手は出せない。其処には恐怖のボコ委員長がいるのだから、ダイエットにも最適なのだ。
だから誘ってみたが誰も来ない。やはり好感度が無いからなのだろうか? 一人で無防備に飛び出しても誰も来ない、夜明け前の暗がりで一人で駆け回った変な人だった。更に街から離れてみているがそろそろ引き返そうか?
気配探知にも索敵にも反応は無い。だがそれは見た事あるんだよ?
俺の影から剣が生えて来た?貰ってみたがあまりいい剣では無さそうだがスキル付きではあるし武器屋に持って行って叩き売ればお小遣いの足しくらいにはなりそうだ。
そして剣をくれた手が影から出たまま固まっている?もう次はくれないみたいだ。そもそもお小遣以外のお金が何故か消えていくんだよ?大人買いしてるだけなのにいつもお金が無くなっている?そして宿代の為のお小遣いも無くなると怒られて没収される、だからまたお金が無い。ならばお小遣い程度でも貴重な収入源だからずっと影から出た手が次をくれるのを待ってるんだけどまだ固まってる?
「え~と次は未だなの?出来たらハンマーとかが不足してるから高く売れて嬉しいんだよ?急がなくて良いから早くしてね?実は結構期待してるからね?」
「……。」
固まったままだ、無いの?ハンマーは持って無いみたいだ、モーニングスターはレアで高く売れるんだけど持っているだろうか?
「別に無理しなくても剣でも良いんだよ?って言うか現金で良いよ?うん、金目のものなら何でも良いんだからね。無理しないで全部出したらいいよ?」
「……。」
結局影から出て来たなんだか落ち込んだお姉さんは美人女暗殺者さんではなく王女っ娘のお付きのメイドさんで実は諜報と護衛を専門にする美人女情報員withメイドさんだった。せっかく洞窟の傍までおびき寄せたのにお持ち帰りすると怒られそうだ、泡沫な尋問する前に全部喋られちゃったんだよ?もう泡沫液体石鹸も取り出してたのに?
メイドさんの目的は王女の奪還。暗殺者を雇い襲わせて陽動をかけ、その間に王女っ娘を救出する。他の間者は脱出の準備の為の要員のようだ。
「王女っ娘なんて言ってくれれば普通に返すのに?」
「シャリセレス王女は人質にされているのではないのですか?姫はご無事なのですか?捕らわれたと聞いて心配で心配で捕らわれてエロい事とかされて無いか凄く心配してたんです……って、何で目を逸らしたんですか?こっちを見なさい!何をしたの!姫に何をしちゃったの!姫様はどんなエロい事されたの!君は姫に何しちゃったの!」
「違うよ、半裸なのはエロいんだけどギリで18禁だったからセーフだけど俺16だからアウトなのは気にしたら負けなんだから全然俺悪くないし全裸じゃないし問題ないんだよ?それにすぐエロドレス着せたから大丈夫だったけど露出的には却って大丈夫じゃなくなったって言う説も諸説あるんだけど俺は悪く無いんだよ?」
「王国の王女を半裸にしてなんで悪くないんですか!最悪です!しかもエロドレスを着せるなんて言語道断です!不敬罪です!極刑に値します!…(以下罵詈雑言)」
怒られた。半裸ワッショイで怒られてエロドレスで説教された。半裸ワッショイは俺のせいじゃないし旧エロドレスは急だったし現エロドレスは防御効果は高いし見た目の破壊力も高いのに不満なようだ。まあエロいんだけど。
「そんな心算なかったんだよ?あの破壊力は正直王女っ娘を舐めていたんだよ、いやー結構なダイナマイトなバディーの破壊力をお持ちになられていらっしゃられましたよ?マジであられました?」
「……何で姫に対して敬語を使わずにダイナマイトなバディーに敬意を抱いてるの!無礼でしょう!極刑に値します!(以下罵倒中)……」
あれは敬意を抱くって言うか男子高校生的な感情の暴走を抱くから超危険爆発物だった、思わず羅神眼さんが映像を保存してたんだよ?もう裸身眼に改名されそうだ。
だがこれだけは言っておかねばならないだろう、メイドさんのジト目は良い物だった!保存しよう!
お読み頂いてありがとうございます、修正も手付かずの殴り書き状態で申し訳ありません。
恐れ多い事に24,000ptを超える総合評価を頂いておりました、お読み頂き本当にありがとうございます。
また220件以上のご感想を頂きありがとうございます、励みにさせて頂いております。
相も変わらずの拙い文章で申し訳ありません、それにも拘らず沢山の方にお読み頂き、御意見御感想を頂けて日々感謝させて頂いております、重ね重ねありがとうございます、これからも細々と迷走しながら進めていこうと思っております、もし御気に入って頂けてお付き合い頂ければ本当に幸いです。




